あかり/HN:トウショウファルコ

あかり/HN:トウショウファルコ

仮にAさんとしておこう。

夕刻、Aさんが自転車で家路に向かっていた。寂しい道だが、真っ直ぐ行けば、道沿いにコンビニがある。

すぐそこだ、あの信号を超えた先に。暗くなる道を、コンビニの光を目指して走る。

あの信号を超えたら……

信号を渡る時、冷たい風が吹いた。思わず首を竦めた。信号の先に、あかりが見えるはず……だった。

しかし、見えない。いくら走っても走っても、いつも見ている、あかりが見えない。

コンビニだ、定休日は無いはず。多分ここらへんだ、そう思える場所には、鬱蒼と茂る木々。

いや、見通しの良い道に、ぽつりとコンビニ、暫く行けば、又、信号、その先は住宅街のはずだ。この木々はなんだろう。初めて見る。

しかし、道は至ってシンプルな一本道、間違えようがない。

Aさんは不安な気持ちで自転車を漕いだ。日がとっぷり暮れた夕の空気は、冷え冷えとしている。

随分と走った先に信号が見える。おかしい、いつもより信号と信号の間の距離が長い気がする。

けれど、信号だろうが、あかりはホッとする。

Aさんは、ペダルをぐっと踏み込んだ。

信号を渡る時、暖かな空気に包まれた。ハッキリと、空気が変わった。

信号を渡って、振り返ると後ろにコンビニのあかりが見えた、そう言えば信号を渡る前から、いつも見える筈のあかりを見ていない事に思い至った。

信号を渡って次の信号までの僅かな時間『ここではないどこか』に迷い込んだ事にAさんは気付き、小さく身震いをしたという。

 

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