佳人薄命/HN:山紫水明

佳人薄命/HN:山紫水明

ご無沙汰しています。今回は一陽来復から約二週間後の話。

霊媒師から具体的な対策も得られず落胆していた俺は、あの日言われた『故郷を訪れてみては如何です?』と言う言葉通り、忙しい中休暇をもらい彼女の実家へ向かった。

彼女の実家は北海道の釧路にあった。

珍しい苗字だったので電話番号も調べやすく事前に母親らしき女性に連絡していたのだが、普通信じがたい話しにも関わらず不思議とすんなり会うことを承諾してくれたのが印象に残った。

実家は普通の一軒家って感じだった。玄関のチャイムを鳴らし彼女の母親に会った時、一瞬だが俺の顔を見て動揺していたのを覚えている。

客間に通され、話しの前にまず仏壇に御焼香を願い遺影を見た時に俺は驚いた。遺影の写真の彼女に見覚えがあったからだ。

霊媒師のもとを去る時、廊下で寂しそうにこちらを眺めていた女性、綺麗な人だなぁ…と一瞬見取れてしまったくらいだから間違いない。

(こんな事が現実にあるのかよ…)

なんて言うか非現実的な事なんだ。今こうしている自分が夢の中にいるような感覚だった。

母親から彼女の生い立ちを聞かされた。

生前の彼女は母親と二人暮らし、父親は彼女が11歳の時に父親の浮気が原因で離婚したらしい。仕事人間で家では家族にあまり愛情をかけていなかったうえに外で女を作っていたようだ。

彼女のアルバムを見せてもらったが父親が写っている写真は3枚しかなかった。

そのアルバムの中に1枚だけ目を止める写真があった。これには同伴していた妻も娘も驚いていた。

彼女の横に親しげに写っている若い男性、服装や髪型は違うが10年くらい前の俺に似ていた。…と言うかドッペルゲンガーかって程だ。

もう聞くまでも無く答えは分かっていたが『彼は?』と尋ねた。

母親は俺の予想通り

『娘がお付き合いしていた男性です。さっき山紫さんを見た時は本当に驚きました。それで娘は山紫さんに…』

成る程、一瞬動揺したのはこれか…と妙に納得していた。

『他人の空似って本当にあるんですね…で、今この男性は?』

俺の問いに少し暗い表情を浮かべながら

『10年程前に…ちょうど娘が亡くなってから一ヶ月くらいだったと思いますが交通事故で他界されました』

聞けば聞く程、まぁ何でこんな男に…って思うような男だった。正直コイツが生きていたら文句の一つでも言ってぶん殴ってやりたかった。

…が10年程前って事…交通事故って言うのが俺にはもう偶然とは思えなかった。

霊媒師からある程度聞いていたが実際に母親の口から聞いた彼女はまさに佳人薄命。母親の口ぶりでは器量も良くあの容姿なら生きていればもっと良い男は沢山現れたろうにと思った程だ。

その日俺達家族は旅館に泊まる予定にしていたが、彼女の母親の厚意に甘え一泊させてもらった。

就寝前に仏前で心の中で彼女に祈った。

『これで満足してくれたかわからないが俺が君に出来ることはここまでだ。出来れば毎晩血だらけで枕元に立たないでくれ』

(だってほぼ毎晩血塗れ貞子が枕元や足元とかに来るんですよ…酷い時は引っ張られたり顔アップでガン見とか…)

この切実な祈りが彼女に通じたのかはわからないが、その晩夢の中であの遺影の中の綺麗な姿の彼女が床に手を合わせお辞儀をしていた。

(綺麗な娘だなぁ…)

目が覚めたら既に朝。時間の感覚が麻痺したような感じだったが夢にしては妙にリアルだった。

翌朝せっかくなので観光して行こうと彼女の実家を出るとき、彼女の母親がウチの娘に良かったらと彼女が生前大事にしていたペンダントをもらった。

このペンダントが原因なのか…それとも…。

俺は彼女に見取れてしまったあの時、最期に霊媒師に言われた言葉

『例え可哀相だと思っても決して情をかけてはいけません』

今となっては遅いのだろうが俺は少なからず可哀相と言う以上の感情を抱いてしまった。

結果あれから現在に至るまで彼女は成仏などしていない。

だが変わった事がある…この実家の訪問以後、貞子バージョンでの怪異は全く無くなった。

怪異は現在でも続いているがあるパターンで起こる状態にある、…がそれはまた後日機会があれば…。

 

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