その日だけは/HN:Hustai2013

その日だけは/HN:Hustai2013


これからお話しさせていただく内容は、私の父とその従兄弟が30年ほど前に体験した、今でも忘れられないという話です。

私の父と従兄弟は当時、北海道のとある田舎(当時はかなり栄えていた)に住んでおり、同い年ということもあってよくつるんでいたそうだ。

私の父は全くといっていいほど霊感がない代わりに、その従兄弟は非常に霊感が強く、二人でいると度々不思議なことが起こったという。

その中でも今回は、私が聞かされた体験談の中でかなり怖かった話。

二人がキャンプに行った時のことである。その日はとても暑く、ジリジリとした太陽の日差しとセミの大合唱が印象的であった。

父と従兄弟はキャンプをしようということで、地元の峠を越えたところにある、××公園というキャンプ施設を目指していた。

峠を快調に車で上って行くと大きなカーブに差し掛かった。互いの思い出話やら仕事のことやらを他愛もなく話していたのだが、カーブに入った瞬間に従兄弟は眉間を寄せて黙ってしまった。

父は何か気に触ることを言ってしまったのだろうかと気にしていると、「…今のカーブ、対向車いたか?」と聞いてくる。

この峠に入ってからは入り口付近で大型トラック1台とすれ違ったきりで、それ以外に対向車は見当たらない。

父「いなかったと思うけど…どうした?」

従兄弟「そうだよな、確かにいなかった。だけど…あの大きなカーブ曲がるとき、カーブミラーを見ると古びた赤い車がすれ違っていくのが見えて…。こりゃなんかあるかもなあ」

赤い車ならすれ違えば目立つはずだ。それが父には見えていない…いや、ミラーの中にしかその赤い車はいなかったというのだから現実のものではない。

それでもせっかくのキャンプ、楽しまなきゃ損ということで目的地へと向かった。目的地へ近付くに連れて徐々に霧が出てきた。公園の近くには沢もあるので特別珍しいことではない。

車は無事、目的地へと到着した。霧で辺りがよく見えないのでテントやバーベキューコンロやらを先に組み立てて、霧が晴れるのを待とうということになった。

キャンプ用品を組み立てていると、従兄弟が連れてきていたラブラドールの子犬(ジャックとする)が一点を注視して唸っている。

今まで唸ったことなんて一度もなかったこの犬が何故唸っているのかと疑問に思った。ジャックは依然として姿勢を低くして唸り続けており、二人はジャックの視線を辿っていった。

すると霧で隠れてはっきりとは見えないが、うっすらと公衆トイレがある。

父「なーんだ、脅かすんじゃねえよ。お前公衆トイレ見るのはじめてだからってそんな騒ぐなよ!!」

少々安堵しながらタバコに火をつけようとした瞬間

「ギャワワワワン!!!!」

ジャックが大きく吠え、尻尾をお腹にぴったりと着けて震えている。

これはただごとじゃないと、公衆トイレを見る。すると今までかかっていた霧が嘘のようにさーっと引いていく。すると

ジャックが吠え立てた公衆トイレの上に、白装束を纏った人が横並びに30人くらいこちらを見て立っているではないか。

さすがにこれはやばいと、父も大慌てでタバコをしまい、従兄弟もこれはまずいといった表情で急遽撤収の準備をした。

キャンプ用品を車の中に詰め込み、もつれる足を必死に動かしながら車に乗り込んだ。トイレの上ではまだ白装束が揺らめいている。これでエンジンがかからなかったら洒落にならない…

キーを回す!!

ブオオオーン!!!
エンジンがかかった!

ルームミラーで例のトイレを確認すると、トイレの上から一人の白装束が降りてくるのが見えた。

まずい!!

アクセル全開にして来た道を戻る。父も従兄弟もあまりの怖さに話すことも出来ずに車を飛ばした。

ミラーを何度か確認してみるが追いかけて来る様子はない。少しホッとした気持ちでいると、前方に大きなカーブが現れた。そう、来るときに問題となったカーブである。

そしてその手前には…人? 人が二人道路沿いに立っている。

従兄弟は正直嫌だな…と身体を震わせていた。出来ればあの前を通りたくない。かといって引き返してあの公園に向かって走らせる度胸もない。スピードを落として安全に運転すれば事故を起こすことはないだろう…。

スピードを落とし、なるべく道路沿いの人間を注視しないようにしていた。車が距離を縮めていく…見ないように見ないようにとはするものの、人間見ないようにすればするほど見てしまうもの。

一瞬パッとそれらを見ると、そこに立っているのは軍服を来た兵士と看護婦であった。容姿は整っており、本物の人間のようであったが二人とも足がない。

そして寂しそうな目で道路の一点を見つめている。無表情なのであるが、その目はとても寂しそうであった。

幽霊とはいえ、なんとなく不思議な感情になりずっと彼らを見ているうちに車は横を通りすぎようとした…その瞬間

寂しそうな目は怒りに満ちた目に変わり、ぐいっと車の上を見上げた。心臓が止まりそうになりパッとカーブミラーを見ると、車の上に白装束がへばりついているではないか!!!

父と従兄弟はギャー!!!!と叫びながらアクセル全開にしてどこをどう通って行ったのか…気が付くと父の自宅で放心していたそうだ。

異常を感じたのか、父の母が部屋に入ってくるなりこう言った。

「一年の中には遊んで良い日、ダメな日がある。それと同じように世の中には遊んで良い場所、ダメな場所がある。アンタらはよりによって遊んじゃいけない日に遊んじゃいけない場所に行ったんだよ」

ばあちゃんが差し出してきたカレンダーの備考欄に書かれているのを見て、父も従兄弟も納得した。

確かにあの公園はこの地域を代表する慰霊の場所でもある。

「こんな日によくこんなところに行けたもんだ。わかっていたら絶対に行かなかった」と父は笑いながら言った。

「終戦記念日だもんな」

 

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