美青年と猫/HN:ゆりえるタヌキ

美青年と猫/HN:ゆりえるタヌキ

高校のときの話。

友達の家に遊びに行く途中に、ある家に差し掛かった。

どうやら有名な小説家の家で、今は観光地になっているらしいが、壁に落書きがされており、不快に思った私は

「人の家の壁に落書きするなんて最低!」と呟いた。

友達の家に遊びに行った帰り道。どれだけ歩いても、いつもの道にたどり着けない。

どうやら迷ったらしいが、迷路のような道ではなく、単純な道なのに、不思議だ。曰く付きの病院も近くにあり、内心早く家に帰りたいと泣きそうになった。

木の堀で囲まれた家々が建ち並んだ道を歩く。どれだけ歩いても、どこか昔の民家が立ち並ぶ場所ばかりだ。背景もいつも見てきたものとは違う。昔風の民家なんて、この辺りにはまったく無かった筈だ。

人の気配はなく、これはどうもおかしいと気づいて、当たりを見回す。人の気配がない。どうしようかと、思っていると、一匹の白い猫が目の前を歩いていた。

かわいかったので、こちらにおいでと声をかけると、猫はこちらに来ようとしたが、後ろを振り返り、私とは逆の方向へ走っていった。

そちらへ向くと、若い男性が猫を抱き抱えた。美しい男性で、着物を着ていた。今時、着物姿の男性を見かけるのは珍しかったので、暫く見つめていた。

男性は頭を下げると、歩き去っていった。

私はそのまま道沿いに歩いていくと、いつもの商店街へたどり着き、母にその話をしたら

「幽霊橋のとこじゃない?あそこは猫の声だけするらしいよ」とか言ってた。

猫の声どころか、猫を見てしまった。幽霊なんて信じていなかった私は猫も青年も幽霊とは思っていない。

ただ、どれだけ歩いても辿り着かなかったのに、たどり着けたのは、猫とあの美青年のおかげだと思っている。

 
  • マキャヴェッリ

    壁の落書きへの呟きを聞いた小説家と波長が合って、作品の世界に招待されたのかな。

     

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