自我/HN:ブーランク

自我/HN:ブーランク

ティーカップを取ろうと右手が机に伸びた時、右手さんが突然こう言った。

「ちょっと待ってくれ。あなたは利き手だからと言って、近頃私を酷使しすぎている。左右を交互に使うようにいつも頼んでいるじゃないか」

右手さんの主張はもっともだ。

強く拳を握る右手は引っ込み、今度は左手が机に伸びた。すると左手さんも異を唱える。

「何を馬鹿なことを。得意なことは得意な奴にやらせとけばいいんだよ」

この発言を皮切りに僕の身体達は一斉に揉め出した。やれやれ、毎度の事ながら左右で対になっている部位は、どうしてこうも不仲な者が多いのか。

「いい加減にしろ!脳みそさんの言うことは絶対だと決まっているだろう!」

発言力に関しては流石。口さんの鶴の一声で、なんとか身体達はおさまった。

今度こそティーカップを、と思ったが、いくら待っても手が動き出さない。訝しく思っていると、情報通の眼兄弟がひそひそと教えてくれた。

「あと数分の辛抱だ。もうすぐ右脳と左脳の喧嘩が終わるから」

まったく。早く紅茶の香りを楽しみたいものだ。

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テーマは「自分とは何か」

2013年08月16日(金) 21:07
プーランク&管理者 ◆qsopK1jE

投稿広場より本掲載

 
  • 天通管理者

    [44] Re:自我
    Re:自我
    【雅】

    主人公と言う一人の人間としての自我と、体の部位に宿った自我のせめぎ合い。
    最終的に体を司る脳まで反発しあう始末。

    ふと、多重人格に悩む人は、こう言う日常を過ごしているのかな。と思いました。

    自分の意志を振り払って、頭の中の様々な自分が、口を出してくる…。

    ※奇妙掲示板より移転

    2013年08月16日(金) 21:10
    雅&管理者 ◆qsopK1jE

    [45] Re:自我
    感想
    【たゆたう】
    21・自我

    冒頭、一読してエイリアンハンド症候群かと思いました。しかし、違いました。このオチは「右脳と左脳まで喧嘩してたら、最後のセリフは誰?(どこが考えてる?)」てことでせうか?

    自我が身体から抜けだした表現で飄々と各器官を批判していたらツッコめて楽しいとか、いろいろと考えましたけど、このオチの方がやはり含みがあっていいか。

    ファイトクラブという映画の中にでてくる、廃屋の中に積まれた小説も「自分の各器官が意識を持つ」といったもので、それを彷彿させます。しかもこの映画のエンディングテーマは「where is my mind ?」前レスで話題にしたPIXIESの歌です。

    こういう不思議さ加減が絶妙な話は好物です。

    ※奇妙掲示板より移転

    2013年08月16日(金) 21:11
    たゆたう&管理者 ◆qsopK1jE

    [46] Re:Re:自我
    Re:自我感想
    【プーランク】
    ありがとうございます。ほぼ感想を頂いた通りですが、実はもう一段、落ちが有ります。

    最後の一言は誰が言ったのか。

    眼兄弟のひそひそ話が聞こえる距離、そして香りが楽しみな部位。この物語の語り手は終始「鼻」なのです。つまり総合意識(主人格)は初めから存在していなかった、というわけです。

    鼻の事は気付かれても、なくても、どっちでも良かったんですが、色々仕込みたくなるのは怪文書の癖ですね。自己満足です。

    楽しめる話とはほど遠かったかな。次も批評ブーメランを覚悟で投稿します。

    ※奇妙掲示板より移転

    2013年08月16日(金) 21:12
    プーランク&管理者 ◆qsopK1jE

     

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