【不思議】おひとり様/HN:たいちゃん

おひとり様/HN:たいちゃん

今から 三年くらい前、毎朝使う駐輪場で歳上の友達ができたことがあった。

あだ名は(お一人様)。本名にも一の字がつくらしいのだが

『恥ずかしいのよね…言うと変わった名前だから皆吹きそうになるんだもん』

自分も同様の悩みはあったので気持ちは察した。

自分の事はあっちゃんと呼んでもらい、駐輪場であった時だけの仲だったが、職場と違い、毒のない他愛ない会話が楽しかった。

お一人様の不思議に気づいたのは知り合って半年くらいの事だった。その場にもう二人いるかのように、いきなり見ている前で一人突っ込みを始めるのだ。

空想大好き、本も大好き…だとは聴いていたが、一度こうなるとまわりは全く眼中に入らない。

人に笑われて恥ずかしくなったある朝、思いきって尋ねてみた。

『おひとり様ってさぁ~あ、なんでひとりなのに三人なの?』

目一杯 冗談ぽく尋ねた筈が、お一人様の目がはじめて暗く澱んだ。…いけない事に触れたんだ。


何分間くらいたったのか分からないくらい沈黙が続いた後、ようやくお一人様の明るい声が返ってきた。

『ごめ~ん。ばれたぁ?』

それぞれの場所に向かうため、ぎこちない挨拶を交わしてお開きになった。

お一人様を見かけたのはその日が最後。と書けば何てことないのだけど…最近、また お一人様に会ったのだ。しかも自分の自宅近くで。

駐輪場は自宅の目の前だから自然なのだが、夜間なのだ。思いつきで来る時間帯ではない。

以前、駐輪場の管理人に聞いたお一人様の噂をふと思い出した。

お一人様の経営する会社が隣町にあるのだが、数年前から経営難。自身も難病の治療を受けていること。

起死回生には指示した人物の難儀を助けることが必要だと信仰している神様から託宣のあったこと。その人物の身元をお一人様はこの一年、血眼で探していたらしい。

『絶対外には言わないでね。変わり者扱いされるからって信仰の話はめったにしてくれないんだ。女房が昔お一人様の会社で働いてたんでようよう教えてもらったんだ』

誰?それ?好奇心が口から出かかったその時、二人きりだった駐輪場にお一人様が現れた。

『おは。たまには早起きも気持ちいいね。いつもと違う時間だけどあっちゃんと会える気がして来ちゃった』

お三人様にはなってはもう口を閉じるしかない。法事に参列する予定があった自分はこの日お一人様とは何も話さず駅へ向かった。

お一人様いま、どうしているんだろう。教えてもらったブログのアドレスにアクセスしてみた。めったに更新されることはなく、お一人様と会わなくなって以来、覗くこともなくなっていた。

と…そこには管理者からのお知らせと銘打った一文が踊っていた。

『主催者は仕事で三週間留守にします。ブログの更新を楽しみにしていた皆様には申し訳ありませんが、土産話を楽しみにお待ちください』

…最後に会ったの昨夜だよ、仕事先だと書かれていた街の名は絶対わが家と日帰りで往復できる距離ではなかった。

『お一人様って、どうして三人なのにひとりなの?』

『あは。ばれたぁ?』

お一人様が信じていたのは狐霊信仰。でも、お一人様の眼に映るのはいつも大きなひかりの玉。その眩しさから、件の狐霊を天照大神、または天照のご眷属になぞらえて天御中主尊。と呼んでいたそうな。

教えてくれた駐輪場の管理人の細君はその話が生理的に受け付けなかった事、

お一人様の会社幹部は全員その加護にあやかろうとお一人様と関係を持っていたらしい。一般企業がスキルで社員の進退を量るように、お一人様との関係の長さで社の上下関係が決まっていたキテレツさにキレたそうな。

『退職の時、余計な事は口外しませんて誓約書書いたのよね。旦那が定年後、すぐにこの駐輪場で働けるようになったのもお一人様の口ききなんだけど、毎朝顔見てたら…つい…ね』

『あっちゃん、何か悩みがあったんなら気を付けなさいね。解決するために覗いたところでもっと大きな悩みが出来たら洒落にならないよ』

 
  • 匿名

    話がよく分からん

     
  • 匿名

    話が良くわかりません

     
  • 匿名

    なんだか増えていきそう…四、五、六人様
    話し相手には困らないね

     

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