【心温まる霊】お祖母ちゃん、ありがとう/HN:0.血苺

お祖母ちゃん、ありがとう/HN:0.血苺

祖母が亡くなったのは、私が小学校一年生の時だった。

祖母は初孫だった私にとても優しく、私は、弟にかかりっきりだった母ではなく、祖母にばかり甘えていた。

「お祖母ちゃん、お人形買って」

その日も、私は祖母におねだりしていた。

「…○○はもう、お人形いっぱい持ってるでしょう?我慢しなさい」

珍しく、祖母はそう諭した。おそらく母が“矢鱈と甘やかさないで下さい”と苦情を言ったのだ。

「やだ!だってリカちゃんのお友だちがいるんだもん!」

我が儘な私は駄々をこねた。

「お人形なら、お祖母ちゃんのを上げるから…ね?」

祖母は部屋に飾っていた、素朴なお人形を差し出した。私はカッとして、

「こんなの要らない!」

乱暴に払いのけた。

人形は、落ちた拍子に首がとれてしまい、私は流石に後悔した。なのに、後には引けない気がして、そのまま部屋を走り出てしまった…乱暴に襖を閉めて。

暫くして、祖母は入院した。そしてそのまま亡くなったのだ。

私はとうとう、謝る事が出来なかった…

お葬式が済んで祖母の部屋に入ると、あの人形が、首が取れたままで置かれていた。

私は糊を持って来て、首を直した。不器用な子どもだったからうまく行かず、人形は寂しげに首を傾げたようになってしまった。

それが情けなくて、申し訳なくて…私はポロポロ涙を流した。

「ごめんね…ごめんね」

その時…不意に、背後から温かな、懐かしい気配が漂って来た。

振り向いたけれど、何も見えない。それなのに、何故か私には、祖母が箪笥の引き出しを指差したような気がした。

「…お祖母ちゃん?」

私は引き出しを開けた。そこには、

○○ちゃんへ…そう書かれた函が入っていた。お人形の入った函が。

私は声を上げて泣いた。

「お祖母ちゃん、ありがとう…お祖母ちゃん、ごめんなさい!」

そのお人形と、首を傾げたお人形とは、今でもお祖母ちゃんの大切な、形見だ。

既に記憶も曖昧に成りつつある、優しかったお祖母ちゃん。そして私は、本当に可愛げのない孫でした。

私がどうも、お年寄りに弱いのは…祖母のせいかもしれません。

2013年10月22日(火) 11:59
0.血苺 ◆YTIpxIas
投稿広場より掲載

 
  • 0.血苺

    なるほど…歳を重ねないと分からない事もありますよね。

    私が何とか娘を育てあげて
    その娘が子どもを生んだなら…私も婆バカになるんでしょうか。

    凄い高齢化社会になっていて、楢山節考…なんてオチではありませんように(>_<)

     
  • ピスタチオ

    親は不慣れな子育てに必死で心に余裕がなく、回りが見えていなかったりします。ですが、祖父母となると、子育ての経験者であり成功者ですから、余裕があり、孫の成長を客観的に見つめることができます。それに何といっても、最終的な責任は孫にとっての親(じじばばにとっての息子や娘)にあるわけですから、じじばばは、無責任(言葉は悪いですが)に可愛がることができるのです。

    それも、じじばばにとっての生きる張り合いになっていることでしょう。

    いっぱい甘えて、いっぱい我が儘言って、O.血苺さんは、きっと、よいお祖母ちゃん孝行をしたのだと思いますよ。

     
  • 0.血苺

    ありがとうございます!

    私が実際、可愛げがあったか無かったかはともかく^^;
    “孫”とゆう存在は、可愛いモノなのでしょうね。自分に娘が出来て実感しました。
    うちの親も娘には大甘…特に父は、何をされても怒らず、見ている私が、

    …同じ事を、私や弟がやった時はビンタされたよな(-"-;)

    と、複雑な想いに駆られるほど。

    もし、祖母が見守ってくれているなら、苦笑しながら私の頭を撫でてくれているでしょうか…

     
  • 道化師

    可愛げのない孫だったなんて事ないと思います。
    お祖母ちゃんにしたら、目一杯甘えてくれるとても可愛いお孫さんだったんだと思います。
    だから渡せなかった最後のプレゼントが気になって、会いに来てくれたんだと思います。
    お祖母ちゃん、きっと今も0.血苺さんの傍にいて見守ってくれているような気がします。

     
  • 0.血苺

    管理人さん、こちらにも掲載していただき感激です。

    ピスタチオさま、ありがとうございます。以前にいただいた感想も、とても嬉しく、励みになりました。

    にゃんこさま、弟さんの事、辛い思い出ですね…でもお姉さんの本心はきっと分かって下さっていたと思います。

    私も祖母とお別れした時は幼かったし、成人してから身内との別れをまだ経験しておりません。自分が一体どうなってしまうのか、どれほど取り乱すものなのか…
    こればかりは予行演習は出来ませんものね…
    悔いなく暮らしたいけど、やはり人間は煩悩の塊の生き物…じたばたするしか無いです。

     
  • ピスタチオ

    投稿広場から奇妙への掲載、おめでとです。

    何回読んでも、いいお話ですね。

     
  • にゃんこ

    0.血苺さん
    おばあちゃんと人形さん。うるるってしちゃいました。きっとおばあちゃんはお孫さんのこと、大好きだったんでしょうね。多分、お孫さんの気持ちはおばあちゃんに通じているのかも知れませんね。

    あたしもおばあちゃんと最後にあった時に、これが最後かなぁって漠然と思ってたら、やっぱり最後になってしまいました。あった時は病気とかなんにもなかったんだけど。虫の知らせかなぁ。

    数年前弟が亡くなったんだけど、最後にあった時、大喧嘩して別れた。今でもなんであんなこといったんだろうと自責の念に悩まされました。

    人の死って突然来るときもあるから、後悔ないように、毎日を過ごさなきゃって思いました。

    投稿ありがとうございました。

     

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