【不思議】魔除けのジャンヌ/HN:ニョロ

魔除けのジャンヌ/HN:ニョロ

俺の実家は、地方の某有名温泉地で代々旅館を営んでいる。兄貴で確か、二十三代目だったかな。

歴史だけはあるから、それなりにお宝もある。ただ、鉄砲や刀などは、大戦中回収されてしまった。今も館内のある所に祀っている、一本の日本刀を除いては。

その日本刀、何人もの人間を葬った代物なんだそうだが、残念ながら(笑)、うちに心霊現象が起こったなんて話、聞いた事が無い。

実際に人を切った刀には、どんなに丁寧に研(みが)いても取れない肉片がこびりついているものらしく、その刀にもほんの僅かだが斬殺の証拠が残されている。

刃の表面に指を滑らせると判るのだが、何ヵ所かで指が止まる。そこをよく見ると頭のフケが貼り付いたような、微小な存在を確認出来るのだ。

そんな、本来は不気味極まりない筈の物なのに、家族全員、その日本刀を恐れていない。実に不思議なのだが、見ていると非常に落ち着くのである。

家宝として大切にせよ。当主から当主へと何代も引き継がれてきた刀。太平洋戦争中は、倉庫の扉の金具まで差し出したひい祖父さんが、裏山に隠してまで守り抜いた日本刀。

そのいわれを当主は耳にタコができるまで聞かされたという。

「その刀は、多くの女子供を救った刀なんだ」と。

江戸時代後期、その事件は起きた。歴史の教科書にも載っている事件だが、実家がばれそうなのでここでは伏せる。

刀はそのままだと銃刀法違反になってしまうので、祖父の代に切れないよう細工は済ませてある。その際、職人が驚いてこう言ったそうである。

「何百本かに一本、こんな刀がございます。自分を完全に捨てて、他人の為だけに使われた刀。さぞや徳の高いお侍だったんでしょう。こういった物には怨念などつく余地が無いのです。

虐げられた者の自由、幸福を心から願って、やむ無く振られた刀。これは魔除けの刀です。神様として祀って欲しいくらいです」

俺はその刀をジャンヌ・ダルクと呼んでいる。

 
  • 匿名

    コメントありがとうございます。

    植物は近くにいる人間の影響をもろに受けると聞いた事があります。道化師さんはその辺り詳しそうですが、物質も分子レベルでは生命体で一種のエネルギーです。ですから僕は、所有者の精神性は必ずその人物の持ち物にも影響を与えると考えているのです。

    徳の高い人物が常に身に付けていた刀なら、それを使う使わない以前に、既に魔除けの名刀になっていたのではないでしょうか。祀っている御神体が本物であればある程、御札の効き目は上がるようですしね(笑)。逆に悪霊みたいな奴が長年使用した家具を骨董屋で買ったりなんかすると、霊が憑いてるとか抜きにして、良くない事が起こる気がします。

    ちなみに、この話の事件は史実で、刀の持ち主はその際に十五で惨殺されています。精神レベルが高いからといって現世では必ずしも幸福になれない―そこが実にややこしいんですけどね。

    僕の実家にその刀があるかどうかはご想像にお委せします(笑)。

     
  • 道化師

    妖刀にも成りかねない状況なのに、御神刀として代々ご家族を見守って下さっているのですね。
    素晴らしいご先祖様だった事が伺えます。
    いい話をありがとうございますm(_ _)m

     
  • 匿名

    ↓一読者さんの言ってる刀って、多分この話とは関係ないんじゃないんですかね。僕があちこちのコメ欄で振り回してる刀について語られてるんだと思います(汗)。たまに気が触れてるように見えるし(笑)、心配して下さってるんだ思います。違うかな!?

     
  • 匿名

    一読者さんの感想コメントって、何かズレてますよね。諸刃(両刃)の剣…って、全く違う訳じゃないけど、微妙に…ちゃんと読んだのかな?

     

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