【心温まる霊】父の最期の表情

父の最期の表情


88 :長くてすまん:2001/05/12(土) 21:54

俺が地元を離れ、仕事してた時のこと。

休みもない仕事だらけのGW中に、滅多にない実家からの電話がきた。

親父危篤、脳腫瘍。もって数ヶ月。親父が定年を迎えようとしていた、ほんの数ヶ月前だ。

俺に“マイコン”を教えたのが親父だった。仕事に穴をあけることができない状況にいた俺は、「盆までなんとかもってくれ」そんな身勝手なことを願っていた・・・

そして7月に入ったある日、夢を見た。端末に向かって仕事している俺。すると、いつのまにか親父が後ろにいた。

「仕事はどうだ?」

仕事中の俺は一瞬驚いたが、生返事を返し、黙々と仕事を続けた。

「Cは覚えたか?HP-UXはこう使え云々」等々、初歩的な講釈をたれる親父。延々続くそれがいいかげんうざくなり、つい口が滑った。

「んなのは分かってる。俺のほうが詳しいっつーの!」

すると寂しいのか、うれしいのか分からないような微笑を浮かべ、

「・・・そうか」

そう一言いい、どこかに去っていった。

そこで目が覚め、目覚ましを見ると6時半過ぎ。珍しく早起きをした。出社。

仕事始めてすぐに実家から電話。親父死亡の連絡。心の準備は既にしてあったのでショックはなかった。

死亡時刻は、その日、俺が起きたちょっと前だった。

その後、無事葬式を終え、会社に戻ってふと夢を思い出したとき、式でも流さなかった涙が出た。泣いた。

闇雲に働いて死んでいった親父の人生にむなしさを感じたからなのか、仕事にかまけて死に際にそばにいてやれなかったせいなのか、枕もとに立った親父にたいした言葉を掛けられなかったせいなのか、

削られた人間性を仕事のせいにしようとしていた自分になのか、夢で見せてくれた最期の表情の意味を理解したせいなのか、あるいはすべてのせいなのか、よく分からないが。

ただ、街を離れる列車を見送る親父の、目を赤くしている姿だけは今でも強く焼きついている。

出典:http://toro.2ch.net/occult/

 
  • ピスタチオ

    父親は息子に、自分を越えてほしい、と思うのと同時に自分を越えた息子が自分から離れていくようで寂しくもあるのだと思います。
    夢の中で見せたお父様の最期の表情は、成長してバリバリ仕事をする息子を見て嬉しく誇らしくもあり、「もう、わたしがいなくてもやっていけるな。」という安堵と寂しさが複雑に絡み合った表情なのでしょう。
    仕事に励む筆者さんの姿に安心して旅立たれたのだと思います。

    ときどき、仏壇を前に酒でも酌み交わしてみたら、喜ぶと思いますよ。

     

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