【怪異】地蔵会議

地蔵会議

これは一昨年の夏の事です。

私は北海道に住んでいて、ある警備会社に勤めていました。普段は事務所で仕事をしてるのですが、色々資格を持っているという事で、現場に出る事もあり、出張等もありました。

その時も出張で苫小牧、札幌、網走、帯広と、四ヶ所連続で出張する事になったのです。期間は大体2週間、結構最悪でした。

行きたくはなかったのですが…他に資格を持ってる人がいないし、行く人がいないという事だったので、仕方なく引き受ける事になったのです。

普段と違う仕事だし、出張って言っても道内色々行けるので、半分旅行気分で行こうと思い、無理矢理テンションを上げてました。

しかも網走と帯広は温泉旅館をわざわざとってくれたみたいで、それも楽しみの1つでして、私は温泉が好きなので引き受けた理由の中には、温泉に入りたかったという事もありました。

そして出張に向かい、苫小牧と札幌は、札幌の事務所の空いてる部屋に、布団を敷いて寝かされると言う最悪の待遇を受け、1週間位で苫小牧と札幌の二ヵ所の仕事が終わりました。

ほとんどやる事はなかったのですが、ただ資格を持ってるから呼ばれたって感じで、実際メインの仕事をやってるのは札幌の隊員達でした。

そして札幌の仕事を終わらせて次の日は休みをもらいました。休みといっても札幌から、網走までの移動があるのですが…札幌の支社長からは、明日中に網走の旅館に入ってくれればいいよと。

今日は事務所に泊まった方がいいと思うけど、直ぐ網走に向かいたかったら、網走に向かってもいいし、明日休みなんだから、そのへんは自由にしてくれ。と言われ、私は事務所に居ても暇なので、荷物をまとめ、網走に向かう事を支社長に告げました。

支社長からは、かまわんけど運転気をつけて、眠くなったらどっかで仮眠とるんだぞ。と言われ、私はとりあえず、近くの銭湯に行き、コインランドリーで洗濯をして、札幌市内のファミレスで晩飯を食べ網走に向かいました。

色々やっていたせいか、ファミレスを出たのはもう夜の9時をまわってました。網走までは車で5時間位でしょうか。私はひたすら車を走らせたのですが、ちょうど小さな峠に指しかかるあたりで急激な眠気に襲われました。

時計を見るとちょうど0時、流石に仕事の疲れもあり、限界でした。するとちょうどよくP帯があったので、少し仮眠をとる事にしたのです。

私はP帯に車を停めると、夏という事もあり、物騒なのですが窓を全開にして、イスを倒して横になりました。まわりは本当に田舎で、道の脇に農家が何件かあるだけ。P帯のある方は山で、道路を挟んで反対側は畑になっていました。

道路も国道みたいな立派な道じゃなくてガタガタな道道で、全くと言っていいほど車も走っていません。たまに箱形のトラック、多分何かを配送してる車でしょうか?通る車はそれ位でした。まわりからはセミの鳴き声しか聞こえなくて、私は疲れもあり直ぐに眠ってしまいました。

何時間位たったかわかりませんが、私は妙な音で目を覚ましました。外から、何かを引きずってるような、ズズズズズっていう音が聞こえてきました。

窓から顔を出しまわりを見たのですがよくわかりません。車を降り、空を見ると満月が辺りをぼんやり照らしていました。私は月明かりを頼りに音のする方に歩きました。

どうやら音は道路を挟んで向こう側、畑の中から聞こえてきました。よく見ると畑の中をズズズズズって音を出しながら何かがゆっくり移動してるのが見えました。

何だろ?って思い、一度車に戻って巡回警備で使う明るい懐中電灯を手に取って再び畑に向かいました。

見るとまだズズズズズって移動していて、大分近づいてきてたので、シルエットは確認出来ました。よく見ると、何かを背負った人影に見え、妙に足元が不自然でした。

私はまたヤバイ者見ちまったかなぁ?(たまに変な者をよく見ていたので)と思ったのですが、怖さより好奇心の方が勝ってしまい、後をつける事にしたのです。

懐中電灯はつけずにポケットにしまい、月明かりを頼りに後をつけました。するとそいつは畑から道路に上がってきて、P帯から200メートル位離れた所の山道に入って行きました。

私は付かず離れず距離を保ち、見失わないように、後をつけて行きました。いちょう山道は車が通った跡があり、そんなに歩きづらくはなかったのですが、なんせ山の中足元が暗いし視界も悪い。仕方なく、バレないように足元だけ懐中電灯で照らして付いて行きました。

10分位登った頃でしょうか。何もない山道を登るだけだし、知らない土地、何かあったら面倒なので、追跡を諦めて引き返そうと思い、山道を下り始めました。

すると正面、山道の下の方からまたズズズズズって音が聞こえ始めたのです。私は咄嗟に草むらに音をたてないように隠れました。そして様子をうかがったのです。

そのズズズズズって音は少しずつ少しずつ山道を登ってきます。私は息を殺し、山道を凝視しました。すると山道の下から何かを背負った案山子が登ってきました。

私は心臓が飛び出る位ビックリし、同時に恐怖も覚えました。しかし、動けずに案山子を見ている事しか出来ません。

そしてちょうど、私の前の山道を登って行く時、更に信じられない物が。ちょっと前屈みになった案山子の背中に、お地蔵様が乗っていました。

もう私はパニック、でも変な所も冷静で、へぇ~案山子ってお地蔵様の乗り物なんだ。って訳のわからん考えを巡らしていました。

そして少々パニックしてるのですが、山の上で何が行われるのか凄い興味が湧き、恐怖心を抑えて後をつけました。

それから少し登った所に神社らしき物がありました。どうやらこの山道は神社への道だったみたいです。案山子と地蔵はその神社の建物の中に入って行きました。

すると少したって、七体の案山子だけが建物から出てきました。そして建物に背を向けて建物を囲むように立ちました。

すると、建物の中からチリーンと鈴の音が聞こえると、中からゴニョゴニョ話声が聞こえ始めました。たまに怒ったような声が聞こえたり、笑う声も聞こえました。

案山子達は建物を守るように建物に背を向けてじっと立っています。私はその間草むらにじっと身を隠していました。私に気付いているのか気付いていないのか、案山子達は微動だにしません。

それから30~40分位たった頃でしょうか、また建物からチリーンという鈴の音が聞こえました。もう話声は聞こえません。すると七体の案山子達はまた建物に入って行きました。

少しするとお地蔵様らしき物を背負った案山子達が出てきました。地蔵様も七体いました。そしてそのまま、山道をズズズズズって音をたてながら下りて行きました。

私は息を殺しながらしばらくその様子を見ていました。そしてズズズズズって音が聞こえなくなってから、草むらから出てきました。

神社の中、建物を調べようとしたのですが、鍵が掛けられてるみたいで中には入れませんでした。他にやる事もないので仕方なくゆっくりと、耳を済ませながら山道を下りて行きました。

もうどっかに行ってしまったようで、下のP帯までは別に何もなく戻ってこれました。すでに空がうっすら明るくなっていました。

それから寝ないで、そのまま網走の方に向かったのですが…あれは何だったのでしょう?

毎日じっと立って我々の世界を見つめているお地蔵様達。たまに集まって会議でも開いてたのでしょうか? それともただの世間話だったのでしょうか? 自分では移動出来ないから案山子に乗ったのでしょうか?

ってか普通に考えて案山子も移動は出来ないと思うのですが…ハッキリいって何がなんだかわからなくて。謎ばかりの体験でした。

ただ網走に向かう途中で気が付いたのですが…草むらに隠していたせいか、身体中蚊に刺されていました…確か11ヵ所位、しかも山の蚊は毒が強いみたいで、かなり腫れ上がりましたね。

本当は網走に着いたら観光しようかなって思ったのですが、観光どころじゃなくなり、薬を買ってほとんど旅館で過ごしました。

夏の山は怖いですねぇ。

 
  • やまっち妻

    時々見に来てます。かかしが町内会の世話役みたいで、変にリアルな怖さ。

     
  • 匿名

    昔から六道、六地蔵って言うのはよく聞きますが、七地蔵ですか。 世の中がグチャグチャになってきて、救う道が増えて、七道になったのかな?。 
    昔、本当にあった怖い話で、カカシに連れて行かれるって話を見た事があります。関係ないかもしれないけど、妙に思い出してしまいました。

     
  • 匿名

    案山子単品でも怖いかも…。

     

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