【怖い話】幽霊と戦おうとした兄

幽霊と戦おうとした兄

7年位前の事です。私は今の嫁さんと同棲する前まで、兄と部屋を借りて二人で暮らしていました。

その時の話なのですが。その兄とはとても仲がよく、ケンカらしいケンカもした事がありませんでした。

兄はちょっと変わった考えを持っていて…幽霊等を一切恐れない人でした。

というのは幽霊を信じてないって訳じゃなくて、兄は幽霊を何回も見てるらしいし、色々な霊体験もあるみたいです。

ですが幽霊に勝つ方法とか、どうすれば憑かれないで済むとか、そんな事を考えてる人でして…本当にちょっと変わった人です。

そして、ある時私に…

兄「幽霊ってさ、まずビビらしてから出てくるよな?」

私「は?どういう事?」

兄「まずさ、いきなり電気が消えたり、変な音出したり、ポルターガイスト的な事でビビらしてくるしょ?」

私「うん、確かに多いかも、で?」

兄「その前振りでビビるから余計幽霊って怖いんじゃないの? 前振りがなかったら怖くないと思わない?」

私「…イヤ…いきなり出てきても怖いものは怖いよ」

兄「そうかなぁ~?」

こういう事をたまに考えてる兄でして…ハッキリ言ってズレてました…

んでこっから本文です。


当時兄には仲の良い友達がいました。友達の名前はTさんって人で、私達の家に遊びに来る度、私の分の飯やジュースまで買ってきたり。

兄と何処かに飯を食いに行く時等、私まで誘ってくれて、おごってくれたりする人でした。

兄とは昔から仲が良かったみたいで、親友みたいな感じだったと思います。

ある日私が仕事から帰ってくると、喪服を着た兄が茶の間で呆然と立っていました。

私「喪服なんて着てどうしたの?」

兄「Tが交通事故で亡くなったらしい」

私「マジで!?… そっか…俺も行くわ、Tさんには色々世話になったし」

兄「そっか…ありがとな…」

そして通夜に二人で出席し、葬式も無事終わり、初七日も終わって、大体落ち着いた頃、兄が突然

「Tは事故じゃないわ、殺されたわ」と言ってきました。

私「どういう事?」って聞き返すと…

兄「Tが、さっき出てきて。押されたんだよ、アイツに押されたんだよ、って言ってきたんだ」

私「アイツって?」

兄「わからん」

私「…そうッスか…」

Tさんは仕事帰りに車に乗っていて。ある交通量の多い、中央分離帯の有る交差点を、右折しようとしたら、対向車線からきた大型トラックとぶつかったらしいのです。

直ぐに病院に運ばれたそうなのですが、ほぼ即死だったそうです。

兄「ちょっと気になる事があるから、付き合ってくれない?」

私「いいけど、何処に行くの?」

兄「行ったらわかるよ」

そして向かった先はTさんが、事故を起こした交差点でした。

そこの交差点は、頻繁に事故が起きる交差点で、たまに事故現場を見た事がありました。ですが、見通しもよく、そんな頻繁に事故が起きるような場所じゃないのです。

交差点の歩道の角には、まだ花やジュース等が置いてあり、本当にここで亡くなったんだなって実感しました。

二人でその花の所まで行き、手を合わせました。その時でした、突然兄が…

「Tを殺したのはアイツや」って言ってすっくと立ち上がったのです。

私には何の事かサッパリわからなくて。兄を見ていると、兄は交差点の一点をジッと見てこう言いました。

兄「アイツが見えるか?」

私「え?何?なんかいるの?」

兄「そっか見えないのか、じゃあ本物だな…」

私「???」

私には何の事を言ってるのかサッパリわからなくて、兄に聞き直しました。

私「何か見えてるの? 全然、普通の交差点にしか見えないけど…」

兄「やつは幽霊なのか?妖怪なのか?」

私「は?」

兄「ヤバイ、またやりやがるわ」

私「え?」

その瞬間でした、右折しようとした、軽乗用と対向車線からきた乗用が接触したのです。

幸い乗用の運転手が早めに気付いたようで、急ブレーキをかけたので大事にはいたらなかったみたいですが…乗用車のフロントバンパーと、軽乗用の助手席のドアがへこんだ程度みたいでした。

直ぐに警察を呼んで事故処理等をしていたみたいですが…兄はその間も、「どうすればいい?」って、自問自答するかのように独り言を言っていました。

そして兄は私に…

「幽霊って倒せるかなぁ?」

って真顔で言ってきたのです。私は思わず「は?」って答えたのですが…

兄は…「だってよく幽霊に触られたり、押されたりってあるしょ?」

私「あるけど、それが?」

兄「じゃあこっちからも幽霊に触る事が出来るって事じゃないの?」

私「……わかりません……」

兄「触る事が出来るなら殴る事も出来るって事じゃない?」

私「その考えがわかりません」

兄「とりあえずやつの様子を見てよ、何かわかるかもしれないから」

私「あの~、私には何も見えないんですけど…」

兄「そっか、じゃあ説明してやるよ… 交差点の所にさっきから変な女が立ってるんだよ、んで交差点を右折しようとする車に近づいて行って、後ろからタックルかましてる」

私「マジで?女がタックルってアグレッシブ過ぎない?」

兄「でもかましてる」

私「何でそんな事してんの?」

兄「んなもん知らん」

私「だよね…」

兄「でもTがわざわざ教えてくれたんだから、何か出来る事があるんだろ、ちょっと様子見てよ」

私「わかったよ」

そう言って私達は交差点の近くの店の駐車場に車を停めて、ずっと交差点を見ていました。

兄には色々見えてるみたいでしたが、私には何も無い交差点でした。

兄の話だと交差点をずっと女がウロウロしてるらしいです、そしてたまにタックルをかますらしいです…その度に事故になる訳ではないみたいですが。何回か危ない状況にはなってました。

すると突然兄が携帯を出して誰かに電話をし始めたのです。兄は誰に電話してるかわかりませんでしたが…

「どうすれば幽霊と戦えますか?」とか、「どうすれば幽霊に触れる事が出来ますか?」みたいな事を言っていました。

話を聞いてると、どうやら近場のお寺や、神社の電話番号を携帯で調べて、電話をかけまくっていたようです。

ですが…当然かも知れませんが、ほとんど相手にされなくて…しまいには、イタズラだと思われたらしくて。

兄は「イタズラじゃないから」って電話で怒鳴っていました。

兄「あ~クソ、やっぱりダメだ」

私「当然だよ」

兄「仕方ない、俺が直接行ってくるわ」

私「は?何処に?」

兄は私の質問に答えないで、一人で車を降りて、交差点に近づいて行きました。そして中央分離帯の上をスタスタと歩き、交差点にギリギリまで近づいて、何かを叫んでいました。

ハッキリ言って、変な人です。私から見ても変な人にしか見えませんでした。と言う事は、全然知らない人が見たら異常者にしか見えなかったでしょう。そんなレベルでした。

行き交う車も、信号が赤信号から青信号にかわっても、なかなか発進しなかったり、交差点を徐行しながら通り過ぎる車もいました…多分、みんな兄を見ていたのでしょう……私は兄を見てられませんでしたが……

しばらくして兄が車に戻ってきました。

兄「やっぱりダメだわ、半分無視された」

私「俺もあれ見たら無視したいよ」

兄「どういう意味?」

私「…分からんかったらいいよ…」

兄「しかし、どうしたもんかなぁ… 寺も神社も役にたたんし、まぁ、最初からあてにはしてなかったけどなぁ…」

私「どういう意味?」

兄「ん?ああ…寺と神社か?」

私「うん」

兄「昔、俺コンビニでバイトしてた事あったろ?」

私「うん」

兄「そん時に一緒に働いてるやつでKって奴がいたんだよ」

私「それで?」

兄「Kはコンビニでバイトする前に神社で働いてたんだよ」

私「んで?」

兄「神主になりたくて、神職系の大学を卒業して、念願の神社で働いたらしいんだけど…現実は酷かったらしい…

イジメはあるし、パワハラなんて当たり前、巫女さんにはセクハラはあるし、金儲け主義の神社がほとんどって言ってた。御守りなんて、どっかの工場で大量生産して、そのまま御払いも何もしないで、参拝者等に売り付けるらしい」

私「マジで?」

兄「しかも、霊感うんぬんとかまるっきり無い人が、適当に祝詞等やって。それで御払いしましたって言って、高い金ふんだくってるみたいだよ」

私「……」

兄「しかも、正月とか忙しくなれば資格も何も持ってない、バイト雇って、色々やらしてる所もあるらしいよ」

私「凄いし酷いね…」

兄「んで霊感とかある人が、神主になりたくて入ってくるんだけど。私霊感有ります、みたいな事言ったら。痛い子が入ってきたよみたいな扱いをされるらしいよ…」

兄「ちなみに、そのKも霊感が結構あって、神主になりたくて頑張って入ったらしいんだけど… 想像とはまるっきり違ってて、それで辞めたらしいよ…」

私「そうなんだ」

兄「中にはまともで真面目にやってる神社もあるらしいけど、ほとんどがそんな感じらしいわ… お寺さんもたいして変わらないって言ってた」

私「マジかぁ…」

兄「だから最初からあてにしてなかったんだよ…」

私「じゃあさ、そのKさんって人に頼めないの?」

兄「なるほどね、アイツなら結構霊感あるみたいだし、何か教えてくれるかもな」

私「連絡先知ってる?」

兄「Kの電話番号替わってなければ大丈夫だと思う…」

と言って、兄は電話をしていました。連絡はとれたらしいのですが… 直ぐには会えないと言う事なので、後日会う事になりました。

んで約束した日に、Kさんは家にやってきました。見た感じ、普通の人でした。今は知り合いのコネで不動産関係の仕事に就いているという事でした。

兄は早速Tさんについて色々話始めました。あの交差点で見た幽霊?についても色々話してました。

Kさんは真面目に聞いてくれて、少し考えていました。すると…

K「じゃあちょっと現場に行ってみよ、それと知り合いにちょっと来てもらうわ」

兄「知り合い?」

K「俺一人で無理だったら洒落にならんから、助っ人だよ」

私「そんな強い幽霊なんですか?」

K「見てみない事には、なんとも言えんけど、多分タチの悪い奴だと思うよ」

私「あの~、兄から聞いたんですが、元々神社で働いてたそうですね?」

K「働いてたよ、嫌な思い出しかないけどねw」

私「そんな酷いんですか?」

K「神職なんて目指すもんじゃないねw」

私「よく怖い話なんかで、霊に憑かれて近くの神社やお寺で、助けてもらったって話ありますけど… 神社とかお寺ってみんなそういう力持った人がいる訳じゃないんですか?」

K「そういう話は、大体作り話か、たまたま近くの寺か神社が良い所で、強い力持った人がいたか。最初から憑かれたと勘違いした人が、適当に御払いされて、助かったと思い込んだかw」

私「そんなもんなんですか?」

K「気持ちの持ちようでないかな? 御払いされたからもう大丈夫って、思っちゃうんでしょw」

私「はぁ…」

K「病気もそうでしょ、病は気からってね… でも本当に重い病気の人には、ちゃんとした医者が必要な訳だし。タチの悪い憑き物にはちゃんとした力を持った人が必要なんだよ、まぁ、お経や祝詞にはそれなりの効果があるかもしれないけどね」

私「なるほどね」

K「でも神社はほとんどが金儲け主義だよ。大体初詣も意味わかんないよ。そもそも明治ぐらいからの文化なんだよね、初詣って。

本来、正月は神様が家に来るから、前の年の暮れの内に家中大掃除して、注連飾り付けて、振り袖やら袴やら履いて正装をして、餅を飾って神様を迎えるのが正しい正月なんだよ。神様が家に来るのに人間が外出してちゃダメなんだよねw」

と半分愚痴みたいのを言って、Kさんは助っ人の人に電話をかけていました。その人にもOKをもらったらしくて。その人は直接現場に向かうと言っていました。

そして兄とKさんと3人で現場に向かいました。そして3人で交差点の角の歩道に花と線香をあげて… 手を合わせました。

K「なるほどね、女が確かにおるわ。多分、昔、ここの交差点で事故で亡くなった人だと思う」

私「そんなのも分かるんですか?」

K「大体ね、じゃあTさんを成仏させるには、あの女と、この交差点に渦巻いてる邪悪な念や、集まってしまった霊をなんとかさせないとダメだね」

兄「集まってしまった霊?」

K「多分ここで亡くなった他の人の霊や、ここの場所の邪悪な念に引き寄せられてきた霊もいるわ…」

兄「マジかぁ…」

K「助っ人呼んどいて良かったわ、一人じゃ多分キツいからなぁ」

そして5分位待つと、一人の中年の女性がやってきました。話によるとKさんの従姉妹にあたる人だそうです…

そしてKさんと、Kさんの従姉妹さんは交差点の角の花をあげた場所で手を合わせて、何やらブツブツ言い始めました。

すると近くのガードレールが何も触れてないのに、ガンガン鳴り始めたのです…

兄「女が暴れてるわ…」

私「マジで?」

更にKさん方二人の声は大きくなってきて、従姉妹さんは持ってきた液体(酒だと思う)を道路に撒きました。

すると更にガードレールの音が増して、ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!って鳴り始めました…

近くを歩いてた人はパニックになり、走って逃げる人もいれば、遠くから見てる人もいました。

そしてしばらくすると鳴り止みました。

Kさん方二人はフゥ~っと息を吐くと、「一回じゃ無理だなぁ…」って言って、立ち上がりました。

K「でも女の霊以外はもう大丈夫だよ」って言ってました。

K「あの女の霊は、根本的なものを解決しないと成仏出来ないわ」

兄「そんな強いの?」

K「強いとか弱いとかじゃなくて、元々あの女が、何故事故を起こすか、理由を解決しなきゃならないって事、理由がわからないとダメだよ」

従姉妹「でも女の霊以外は祓ったし、解放出来たと思うわ、でもあの女を成仏させないと、また同じ事になるわね」

K「これでTさんも成仏出来るだろ、さて、うちらの役目は終わったし帰るか」

私「あの女の霊はどうするんですか?」

K「大丈夫、従姉妹がなんとかしてくれるよw 旦那が役場のお偉いさんだからねw」

私「???」

兄「それよりさ、Kにお願いがあるんだけど」

K「何?」

兄「Tの仕返しに女の霊に攻撃を加えたり出来ないかな?」

私「また始まったよ…」

K「相変わらずだな…お前、そういう考え辞めた方がいいぞ…」

兄「ダメか…」

K「いろんな意味でダメだ」

それから私には、Kさんの従姉妹さんがなんとかしてくれるって意味は解らなかったのですが…

しばらくしてその交差点にはお地蔵さんが建てられました。そして、近所の住民や会社等が、その地蔵やその周辺等を掃除してるのを度々見ました。お供え物も絶えずあがってたように思います。

それから不思議な事に… 余り事故の話は聞かなくなってきました。もしかするとKさんはこの事を言っていたのかも知れませんね… 女の幽霊は成仏出来たのでしょうか?

相変わらず兄は今でも普通に幽霊と戦えると思っているみたいですが…。

あとあれからTさんの幽霊は見ないそうです。多分成仏出来たかも知れませんね。

終わり

 
  • この話を投稿した者です…

    すいません…
    コメント気がつきませんでした…

    ただいまです(笑)
    救急車の話投稿広場の方に投稿したので良かったら読んでください…

    コメントありがとうございました。

     
  • 匿名

    おかえりなさい^^;
    救急車の話、楽しみにしています。

     
  • この話を投稿した者です…

    皆さんコメントありがとうございます。

    色々考えて、投稿を続ける事に決めました。
    投稿広場でしたっけ?
    そちらに投稿しようと思います。

    とりあえず今日中に救急車の話を投稿したいと思います。

    まだ兄シリーズ4作目が出来てないので、
    とりあえず3作目の救急車の話を投稿します。

    色々気を使ってもらいありがとうございました。

     
  • 匿名

    ここの管理人、確かに変わってるけど、投稿者は大切にするよ。その投稿者が少々変人でも守る守るw

    根はいい人だと思うよ

     
  • 匿名

    管理者様
    あの不躾ですが、文章力のある投稿者さんを手放してしまってよいのでしょうか…。
    私は一読者としてとても残念です。

     
  • 匿名

    あの…少し残念です。
    ちょっと不思議な所だと私も思います。
    でも、ここの作品はレベルも高いと思います。
    私はあなたの作品好きです。
    どちらのサイトに投稿されてますか?

     
  • この話を投稿した者です…

    なんかしらんけどスゲー不愉快にさせられるサイトだとゆう事が解りました…

    スイマセンがもう投稿はするつもりはありません。

    今度からは他のサイトで投稿しようと思います。

    色々コメントありがとうございました。

     
  • 匿名

    お兄さんシリーズ読みたいです。
    他のサイトに投稿してるんですか?
    どのサイトだろ??
    ここにも投稿していただきたいです(^^)

     

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