【不思議】音の正体は……/HN:bee

音の正体は……/HN:bee


すりガラスの影を掲載していただいたので、もうひとつお話させていただこうと思います。

私の実家は浦安にありますが、私の母の実家は徳島県にあります。6人の兄弟姉妹のうち、母だけが19歳で上京して、その後こちらで家庭をもちました。

もう20年以上前になりますが、徳島の祖母が亡くなりました。離れて暮らし、そう度々帰省することもできなかったのもあると思うのですが、祖母の葬儀の際の母の取り乱しようには、正直びっくりしました。

棺の蓋を閉めようとした時には、「まだいいじゃない、もう少し、まだいいじゃないの!」と泣き叫んで棺にすがりつき、伯父さんたちがやっとのことで引き離して、ようやく蓋を閉められたような状況でした。

それでもまあ、無事に葬儀は終わり、私たち家族は浦安に戻りました。その後、しばらくして、色々な仏事のため、母だけが徳島に戻り、再び帰ってきた後のことです。

用事があり、父の実家に母と私と妹の3人で車で出かけました。ちょうど到着して車を停めているときに、従兄弟が外出から戻って来ました。そして、従兄弟の後から家に入ると、従兄弟が

「あれ?○○さん(父の名前)は?」と言います。「来てないよ」と言うと、「そう……4人乗ってたと思ったんだけど……」と言うのです。でもその時は特に何も思わず、見間違いだと笑って話していました。

その数日後。テスト期間で、私は1人2階の自分の部屋で勉強していました。壁に向かって置いた机、左手後ろにベランダに出る大きな窓。窓はカーテンがしまっています。冬の夜はしーん、という音が聞こえそうな静けさです。

夜中の2時を回った頃、外からカーン、カーンと言うのでしょうか、言葉で表すのが難しいのですが、金属がぶつかるような……鉄琴の高い音か、ガラスの風鈴のような音が聞こえてきました。

最初、どこかの家の、片付け忘れた風鈴でもなっているのかと思いましたが、その音はだんだん大きく……というか、感覚的にはだんだん近付いてくるのです。

ついには窓のすぐ向こうで鳴っている感じになり、私は美内すずえさんの「妖鬼妃伝」の1場面を思い出してしまい、このカーテンを開けて、お雛様が張りついてたらどうしよう……と怖くなりました。

気にしないようにしようと思いましたが、音はいよいよ大きく鳴り響いています。「きっと風鈴だ、それしかない」と自分に言い聞かせて、さっとカーテンを引きました。

もちろんお雛様が張りついるなんてことはなく、街灯の灯りの他は真っ暗です。

仮に風鈴だとしたって、見えるはずもないのですが、きっとお向かいの家だ、風鈴かなにかが鳴っているだけだ、というのを確認して安心したかったのかもしれません。

私はベランダに出て見てみようと窓を開けました。すると、さっきまで窓のすぐ向こうで鳴っていたその音は、明らかに部屋の中に入ってきたのです。

高い、カーンカーンという音は、部屋の中に入ると、天井まで上がっていき、電器の周りをぐるぐるとまわり、最後にひときわ高くカーン!と鳴ると、すーっと消えてしまいました。

私はびっくりして、あわてて階下に降りました。家族が寝た後に家事をすることの多い母がまだ起きているはずです。下に降りると、母がお風呂から出てきたところでした。

私が今の出来事を話すと、母もびっくりしたように、お風呂に入っていたらカーンカーンという音が聞こえてきて、同じように入ってきた感じがして、その音は天井をぐるぐると回って、カーン!となって消えた、と言いました。

どうもそれでびっくりしてあわててお風呂から出てきたようです。

私たちは顔を見合わせて、それからふと数日前のことを思い出しました。きっとあの時、車にはもう1人乗っていたのでしょう。

祖母は、1人遠い土地で離れて暮らす娘、自分がいなくなったことであんなに取り乱した娘が心配だったに違いありません。だから母が浦安に帰る時、そっとついてきたのでしょう。

あの音は、数日様子を見て、もう大丈夫だと思った祖母が、帰っていくシルシだったのだと思いました。母もきっとそうだね、と言っていました。

もう43年生きていますが、不思議な体験と言えばこれと先日掲載していただいた話と2つだけしかありません。なのでこれからは専ら読者として楽しませていただきますね。

長々と読んでいただきましてありがとうございました。

 

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