【不思議】クレヨンと猫/HN:ポム

クレヨンと猫/HN:ポム

私の実家には12才になる猫がいます。名前はサクラ。

サクラは少し変わった所のある猫でクレヨンが好きなのです。

母が言うには、前に姪が遊びに来たとき置き忘れていったクレヨンをサクラは気に入り、肌身離さず抱えてるとのこと。

誰かがクレヨンを取り上げようとするといつもは大人しいのに威嚇してくるほどで、一度、クレヨンから逸らせようと大好きなマタタビで気を引こうとしたのですが、サクラは全く興味を示しません。

それでも特に、食べたり舐めたりしないので(念のためクレヨンを紙にくるみ)もう、放っておくことにしたのだそうです。

今年の2月、私は自分のちょっとした不注意から足にケガを負ってしまいました。幸い大したケガではなかったのですが一人暮らししてることもあり何かと不自由だったので、一週間ほど仕事を休ませてもらい実家で静養することにしたんです。

最初にサクラの異変に気付いたのは実家に帰ってから3日目のことでした。(私の両親は共働きで兄も自立していたし平日の昼間は家に一人になります)。

時間は午後13時頃だったと思います。私は暇だったので昼食をとったあと居間でテレビを見ていました。なんとなくつまらなかったしちょっと眠くなってきたので2階の自室で休むことにしたのです。

2階へ上がるとサクラがいました。サクラは普段、歳ということもありとても大人しく1日中寝ていることが殆どなのですが、何やら落ち着きがなく私の部屋の扉を爪でカリカリと引っ掻いていました。

「サクラ止めなさい」と注意したけど、一向に止めないし無理やり抱こうとしたらガブリと噛まれたので私は諦め、その時はただのイタズラだろうと思い特に気にも止めず部屋に入り昼寝をしました。夕方目が覚めると横でクレヨンを抱えサクラが眠っていました。

4日目、5日目は何事もなく過ぎ… 6日目、テレビを見ながら昼食を済ませ先程まで横にいたサクラにちょっかいを出そうと向き直ったのですがどこにもいません。

「アレ?」と思い廊下に出て何気に階段の下から2階の様子を伺うと(カリカリ…)という音がしました。2階へ上がってみると昨日と同じようにサクラは私の部屋の扉を爪で引っ掻いていたので、不思議に思いサクラの様子をマジマジと見てみました。

「エッ!?」

…思わずギョッとしました。サクラは扉を引っ掻いていたのではなく、クレヨンを掴み何やら「書く」しぐさをしていたからです。しかも近づくとゴニョゴニョ何か呟いているみたいでした。

「ナニ!?!?」

私は気が動転しました。夢でも見ているのかと思ったのですがそんな筈はありません。サクラの様子以外は全てリアルでしたし、1階からは先程まで見ていたテレビの音もしっかりと聞こえてます。

私はサクラの様子があまりにも異様だったので怖くなり居間に戻り震えていました。

夜になり母が帰宅したので、今までの出来事を全て話しました。母は「まさかぁ~」と笑っていましたが、私は夢ではない事をわかって欲しくて母を2階へ連れて行きました。

部屋の扉にはクレヨンの落書きはありませんでした。それもその筈です。クレヨンには誤ってサクラが食べてしまわないよう紙で厳重にくるんでいたからです。母には夢でも見ていたのだろうと片付けられてしまいました。

次の日、私はこっそりクレヨンの紙を剥がしておきました。アレが夢ではなかったとどうしても母にわかってもらいたかったし、サクラがクレヨンで書いてるモノも気になったからです。

案の定、その日の昼過ぎさっきまで居間にいたはずのサクラの姿がありません。私は少々怖かったのですが、真相を確かめるべく2階へと足を運びました。

やはり、私の部屋の前にサクラはいました。そして(カリカリ…)と例の音もしています。私は恐る恐る近づいてみました。

(カリカリカリ…)

サクラは前日のようにゴニョゴニョ呟きながらクレヨンで「何か」を書いていました。ミミズが這っているような、子供の落書きとも見えるソレは文字のようにも見えました。

「……ちゃん…そ…う」サクラの声

(…こ…い……)クレヨンの文字

「○○(私)ちゃんあそ…う」

(ここ…い…よ)

「!?」

「○○ちゃんあそぼう…」

(ここにいるよ)

まさか…。猫が文字を書いた?言葉を喋った?

私は驚愕しました。

一瞬サクラが別の何かに見えた気がしました。…女の子?

私は何がなんだかわからず、夜、母が帰ってきても今日の出来事は話せずにいました。

足のケガもだいぶ良くなったので翌日、自宅のマンションへ帰りました。

数日が過ぎた頃、母から電話がありました。私が実家に帰っていた時のサクラの不思議な行動の事を聞かれたのです。

母が言うには今日、私の部屋の扉に汚れが付いているのに気付き落とす際、それがクレヨンの落書きだということに気が付いたらしいのです。

私は数日前の出来事を母に話しました。何かを感じたのでしょうか、しばらく黙っていた母は少し悲しそうに「そう…」と言い、こんな話を聞かせてくれました。

私が生まれる前に母は一度流産してしまった事があるそうです。母は「その時お腹にいた子は女の子だったのね」と言い泣いていました。

父と母はその子を忘れた事は今まで一度もなかったといいます。当時兄もまだ小さくあまりにも悲しい現実だったため、私たちには黙っていたということでした。

サクラが一瞬女の子に見えたのは、私の姉になっていたかもしれない女の子だったのでしょう。

そしてこれは想像ですが、姉は生まれてきていたら恐らくクレヨンで絵を書くのが好きで、私と一緒に遊びたかったのかなと…。

私は画用紙にクレヨンで(姉・私・サクラ)の絵を描き実家の自室にある机の上に、新しいクレヨンと落書き帳と一緒に置きました。

その後怪異は起きていません。今でも実家にいるサクラはあのクレヨンを大事に抱えているそうです。

2013年12月14日(土) 21:45
ポム ◆-
投稿広場より掲載

 
  • ポム

    七不思議様、0,血苺様
    感想ありがとうございます。
    拙い文章ですが、読んで頂きとても嬉しく思います。
    サクラはクレパスからではないのですが(笑)…響きがかわいくていいなと思ったのと、桜の花がとても好きなのでそこから付けました^^;
    猫はかわいいだけじゃなくて、なんか不思議な何かを感じる動物だなぁと昔から思ってまして…。
    今は他の家の飼い猫になってしまったのがもう1匹実家にいたんですが、その猫に一時恋をしてる感覚になったことあります(笑)笑えますよね?
    そんなこんなで猫には人間的なものを感じている部分もあったりとなかなか魅力的な動物だなと思い書いてみました。

    ありがとうございました。

     
  • 0.血苺

    クレヨン…クレパスの連想からさくらちゃん?と、深読みしてしまいました^^;
    優しい、温かな気持ちになれるお話でした。

     
  • 匿名

    最近良作多いね。不思議な話Thank youです。

     

世にも奇妙な怖い話や都市伝説から不思議体験スピリチュアルまで…オカルト小説投稿/2chまとめサイト。1万3千話超えの厳選物語を貴方に★