【怪異】黒い灰の死神と歩行器の少年②/HN:兄の弟

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そして夕方…丁度夕食の時間に嫁は仕事を終え病室にやってきました…手には約束通り、ケーキの箱を持っていました…私はそれを受け取り、そのまま冷蔵庫にしまいました…

嫁「あと何か用事ない?」

私「別にないかな、ケーキありがとね」

嫁「いいんだけど、用事ないなら帰るよ、仕事で疲れちゃったから」

そう言って嫁は直ぐ帰ってしまいました…

夕食を終わらすと…後はやる事はありません…消灯時間近くまで携帯をいじくり、後は寝る用意で歯を磨いたり、用を足したり…そんな感じです…

そして消灯時間になり、いきなり病室を抜け出すと看護師さんに見つかるので、10時半位までベッドの中にいました…いつも病室を抜け出すのは11時位だったので…それまで携帯をいじくって時間をつぶしたのです…

そして10時半になったので、冷蔵庫からケーキの箱を取り出し、看護師さんにバレないように…ナースステーションから離れてるエレベーターで1階に向かいました…

1階に降りるといつもの自販機の所に向かいます…自販機の所まで行くと、もう少年の姿がありました…

私「今日は早いね」

少年「なんか落ち着かなくて」

そう言って私の手に持っている箱をじっと見ていました…

そしてここで食べさせる訳にも行かないので…休憩室みたいな部屋に2人で行きました…相変わらず少年は歩きづらそうに歩行器を使って歩いています…

休憩室に入り少年は歩行器から離れ、椅子に座り、私が差し出した箱を開け始めました…中にはケーキが一個とプリンが一個入っていてスプーンとフォークが一個ずつ入っています…

少年は私の顔をジッと見てきました…

私「両方共食べていいよ」

少年「いいんですか!?」

少年は凄い嬉しいそうな顔をして…美味しいですを連呼しながら笑顔で食べていました…

私は近くの自販機に行きジュースを買って少年に渡しました…少年はありがとうございますと言ってジュースを飲みあっという間に2つ共食べてしまいました…

そしてちょっと落ち着いたのか色々な話をしてきたのです…

少年は、この先ずっとこの病院で過ごさないといけないとか…もう家族は見舞いに来ないかもしれないとか…

なんかちょっと変な事を言ってくるなぁと思ったのですが…余り病状がよくないからナーバスになってんのかな?って思ったのです…

ですが、至って真面目な顔で話すので…私は何のアドバイスをしてあげる事も出来ずに、ただ少年の話を聞いてあげる事しか出来ませんでした…

それから小一時間位話をして私と少年は部屋に戻る事にしました…少年は別れ際、私が退院するまで消灯時間になったら、ここで話相手になってほしいと言ってきたのです…

私は快くいいよって言ってあげると…少年は笑顔で病室に戻って行きました…私もそのまま部屋に戻り寝てしまいました…

次の日…ほぼ普通に歩けるようになってきていました…とりあえずしばらく風呂に入っていなかったので、シャワーを浴びたく、看護師さんにシャワー室を使っていいか聞きました、

看護師さんからは別に問題ないから大丈夫だよと言われ、風呂道具を持ってシャワー室に向かったのです。

シャワー室は部屋から出ると右側の1番奥、あの黒い灰が出てた病室の迎え側にありました…私はシャワー室に向かうと何気なしにあの黒い灰が出てた病室を見ました。すると…そこは空き部屋になっていました…

最初は退院してったのかな?って思ったのですが…なんとなく気になりシャワーを浴びながら色々考えてたのです。

あの黒い灰を見たのは、夜中、私が1階で少年と会話して戻ってきた時…その時はまだ病室は使われていて名札がかかっていました…そして次の日の昼頃、〇〇堂という葬儀屋がやってきました…そして次の日の朝、今ですね、空き部屋になっている…

もしかして、あの黒い灰が出てた病室の人は亡くなったのかな?

いや多分それはないだろ…だって黒い灰が出てた病室は、ナースステーションから1番離れてる部屋、すなわち1番大丈夫な患者がいる部屋じゃないのか?

私はシャワーを浴びながらそんな事をずっと考えていました…でも考え過ぎかなとも思ってみたり…

そして部屋に戻ると看護師さんがやってきて、今日の先生の診察で退院する日が決まると言って出て行ったのです…その後診察になり、私は2日後に退院出来る事になりました。

そしてその晩、その事をあの少年に伝えたのです…一瞬凄い残念そうな顔したのですが…笑顔で良かったですねって言ってくれました…

その日も小一時間位会話をして解散しました。明日が少年と会うのも最後になります…それを考えるとちょっと寂しい気持ちになりました。

次の日…明日退院出来るとあって必要の無い物はまとめて、嫁が見舞いに来た時に持って帰ってもらいました…

あとは身の回りの細かい物だけ残して、退院の日を待ったのです…結局退院までずっと個室にいる事が出来ました(笑)

そして最後の晩、いつも通り消灯時間になると病室を抜け出し1階に向かいました…そしていつものように少年と小一時間位会話をしました。

そして多分会うのか今日で最後になるねと伝えると、凄い複雑な顔になったのです…

私は退院しても君が良ければたまに見舞いに来てあげるよと伝えると…あれほど拒んでた部屋番号をあっさり教えてくれました…

私は…

私「見舞いに来ても面会謝絶なら会えないんじゃない?」

少年「ちょっと位なら大丈夫だよ」

私「…そっか…分かったよ、じゃあ今度ケーキでも買って見舞いに来てあげるよ」

少年「うん、ありがとう」

そう言って、別れの挨拶をして部屋に戻ろうとすると少年が…

少年「あの…気をつけて…この病院…最後の日が1番ツライから」

私「?どういう意味?」

そう言って振り返ると、少年はかなり離れた所を歩行器を押しながら歩いていました…

私は一瞬、いつの間にあそこまで歩いたんだろ?と思ったのですが…追いかけてさっきの意味を聞くのもなんとなく嫌で…そのまま自分の病室に戻りました…

ベッドに入るとあっという間に寝てしまいました…

すると夜中ふと目があいたのです…なんか自分の部屋の中がザワザワと人の気配があります…確認しようと体を起こそうとしたのですが…金縛りにあい体が動きません…

すると周りから色々な声が聞こえ始めました…最初は何を言ってるのか解らなかったのですが…次第にハッキリと聞こえ始めました…

…「本当に退院していいの?」

…「退院したらまたツライ日々が待ってるよ」

…「私達とここにいた方が楽しいよ」

…「働いてもツライだけでしょ?」

…「私達と一緒にきたらツライ事なんてなくなるよ」

…「ねぇ…一緒においでよ」

…「帰っても嫁さんにこき使われるだけだよ」

…「ここにいれば奥さんも要らないよ、若い女性はいっぱいいるし、何もしなくていいから天国だよ」

…「フフフフフフ」

…「アハハハハハ」

こんな声が部屋の至る所から聞こえ始めたのです…

目だけ動かし周りを見ると部屋にはビッシリと人影がありました…その姿は老若男女様々でみんな笑顔で私を見下ろしてます…

そしてその声は次第に私を洗脳していきました…

確かに退院してもツライ日々が待ってるだけ、退院しても毎日仕事と家の往復、疲れるだけ、入院してた方がなんもしなくて楽、こんなにみんな笑顔でいられる、ここにいれば天国みたいだね

次第に私の頭の中はそんな考えでいっぱいになってきたのです…

すると私の足元に1人体格のいい男がいました、その男だけは気味の悪い笑みを浮かべ、おもむろに両手を上に掲げました…

すると…私の上から黒い灰がゆっくりと降ってきたのです…

灰はどんどん私の上に積もっていきます。その間も周りの人は笑顔で私を見下ろし、誘惑の言葉を私に聞かせてきました…

そして私もだんだん意識が朦朧としてきたのです…凄い気持ちのいい状態でした…

そして私はもう一度辺りを見回しました…すると…1人だけ辛そうな顔をして、首を横に振ってる人がいます…あれ?と思って見てみるとあの少年でした…

少年は口パクでダメだを言っていて、凄い悲しそうな顔で首を横に振っています…

私はそれに気がつき我にかえりました、ですが我にかえった途端凄い身体が重くなり身動きが出来ません…

必死に頭の中で、まだ行きたくない、家に帰りたい、嫁を残していけない、とかそういう事を頭の中で叫びました…

すると黒い灰はどんどん重くなっていき、周りの人達の顔も一変して鬼の形相になり

…「お前1人生きて帰れると思ってるのか?」

…「あたし達をおいて退院するの?」

…「あたし達はもうここから出られない」

…「嫌だァ、いつまでこのツラさが続くんだァ」

…「苦しいぃ、早く退院したいぃ」

…「何でお前だけここから出れるんだ?」

…「私も連れてけ」

…「俺も出してくれぇ」

…「苦しいよぉ」

…「助けてぇぇ」

…「何で?何で?何で?」

…「がァァァ」

…「ヴァ~ー」

そんな声が一斉に私に降りかかったのです…

私は辺りを見回した後、あの少年を見てみると、少年は口パクで頑張れを連呼してました…

私はとにかく心の中で、絶対帰る、お前らと一緒に行けない、私を待ってくれてる人がいるんだ、嫁を守っていかないとダメなんだ…そんな事をずっと心の中で叫んでいました…

すると足元のあの体格のいい男が…

…「こいつは無理だな」

と言って腕を下ろし、部屋から出て行きました…

すると他の霊?達も、まるで部屋の外から掃除機で吸い込まれるみたいに勢いよく、部屋から出ていきました、

私は汗びっしょりで飛び起きました…見ると黒い灰はもうそこには無く、普通の病室に戻っていました…なんか訳がわからなくて、しばらく軽いパニックになっていました…

あの人達は何だったのか? あの少年が何故あの中にいたのか? あの体格のいい男は誰だったのか? あの黒い灰は何だったのか…

私はそれから一睡も眠れずに退院の朝を迎えました…色々確かめたい事があったのですが、とりあえず退院手続きを済ませました…そしてあの少年の元に行き確かめようと思ったのです…

少年から教えてもらった病室へ向かいました…少年の病室は5階の内科病棟です…少年の言った番号の病室はありました…個室で名札が付けられてます。

ですが…名札を見ると別人の名前でした…中を見ようと思ったのですが…カーテンがあり、中が見れません…

仕方ないのでナースステーションで聞いてみようと思い、ナースステーションに向かいました…

私はナースステーションで少年の名前をだして、病室を聞きました。すると看護師さんがファイルを持ってきて、

看護師「すいませんが、そのような人は、入院患者の中にはいませんね」

私「ウソ?ここに入院してるって聞いたのですが…」

看護師「…〇〇君(少年)とはどういったご関係ですか?」

私「えっと…ちょっと知り合いですが…」

看護師「はぁ…それだけではちょっと…今は〇〇君はもうこの病院にはいませんが」

私「え?だって俺昨日〇〇君とこの病院で会ってますよ」

看護師「は?どういう意味ですか?もういませんよ」

私「いや、本当ですよ、昨日消灯時間に1階の自販機の所で1時間位話してます」

看護師「…少々お待ちください」

そう言って看護師は他の看護師の所に言って何かを話してました…

するとその話をされてた看護師がやってきて、ちょっとついて来てください、と言って私をある部屋まで連れて行きました…

見るとちょっとした個室になっていて…個室の中には机と椅子があって、私はその椅子に腰かけました…

すると看護師さんは、すいませんが〇〇君とはどういう関係か教えてもらえませんか? と聞いてきたので、今までの出来事(昨日の黒い灰の出来事以外)を話しました…

すると看護師さんは色々話してくれました…

少年は私が入院するちょっと前にこの病院で亡くなっていました…

長い間この病院に入院していて。リハビリ等も頑張ってやっていて、退院出来るまで回復に向かっていたらしいのですが…退院する日の朝方に体調が急変して…そのまま亡くなってしまったらしいです。

その看護師さんは少年の担当の看護師さんでした…

私はちょっと信じられませんでした…少年は最初からこの世の者ではなかったのです…私はこの世の者ではない人にケーキやプリンやジュースをおごってしまったのです…

信じられないでしょう? 私も信じられません…

最後に看護師さんにその少年の家や御家族の連絡先を聞いたのですが…個人情報なんちゃらで教えてもらえませんでした…暇があれば線香の一本でも供えてあげたかったのですが…

あの少年がいなかったら、死神みたいなのに連れていかれて、私は死んでいたかもしれません。もしかしたら、多分あの少年も死神に連れていかれてしまったのかもしれません…

怖い話でよく病院には、死神がいるって話を聞きますが、本当にいるのかもしれませんねぇ…病院というのは、ちょっと普通の場所とは違う空気が流れてるような気がします。

みなさんも入院する事があったら気をつけてくださいね。死神に狙われたら、病気とか健康とか関係無いみたいですから…

終わり……

2013年12月20日(金) 07:44
兄の弟 ◆-
投稿広場より掲載

 
  • ロビンM

    やあロビンミッシェルだ。
    兄の弟氏!そんな事言わずにまた君の怪談を聞かせてくれ!

     
  • 炬燵

    良い作品だと思いました
    次回作も期待してます

     
  • 匿名

    この作品は、好きです。掲載されたときに読んで、やまっち妻さんの入院生活云々の話が出たので、思い出し先ほど探して見つけ出し、今読んだところです。

    別に作品に問題があるわけでも、兄の弟さんが問題発言したわけでもないので、作品の削除まで及ばなくていいと思います。

    私は残しておいてほしいです。

    あ、私は、ハンネはありませんが、やまっち妻さんのところに昼間、(たぶん)最後のコメント(耳栓の)したものです。

     
  • 匿名

    みんな、消されちゃったね~

    管理人の削除対称の取捨選択が結構おかしかったりするw

    でも、一番困るのは、中途半端な削除。

    中途半端に一部残されると、なんか馬鹿みたいでハズいじゃん。

     
  • 兄の弟

    間違えた(笑)

    この話消してくれ…
    もう来るつもりはないから。
    消してほしい…

    せっかく掲載してくれて有難いが。
    俺の話を掲載されて面白くないやつもいるだろ…

    俺ももうこのサイトに来るつもりないし、
    見る事もないと思う…
    だから消してくれ
    お願いだ。

     
  • 兄の弟

    管理人お願いがある。

     

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