【不思議】漠と交わした祖父の約束/HN:ドクロン

漠と交わした祖父の約束/HN:ドクロン

「夢か現実かわからないけどある夜変なことがあった。夢に漠が出てきて…」

恵美が食卓でそう言うと、母親が言った。

「漠…お爺ちゃんがだいぶ前に漠と約束したからどうとか言ってたわね」

母親に聞けば、亡くなった祖父の夢に関わる話だという。

お爺ちゃんがある夜夢を見た。どこなのかはわからない。まるであたり一面霧に覆われたような白い世界。

しばらく歩くとやがて苦しそうな声と共に白い道にうずくまる一匹の漠がいた。

まあ、漠が話せるわけはないが夢なんだろうから話せても不思議はないと思い、「どうしたんだ?」と聞いてみた。

すると漠は腹が減って動けないと言う。やはり夢だからか漠は人間の言葉をしかも日本語で喋る。

「んじゃこれをやる」

祖父はポケットの中に持っていたキャンデーやビスケットを数個漠にあげた。

なぜその時ポケットにキャンデーやビスケットが入っていたかはわからない。でも、まるでそれがわかっていたように自分はごく自然にそんな行動をしたっていう。

それでキャンデーとビスケットを受け取った漠は礼をしたいという。

「祖父は、礼ならわしにじゃなく、孫がたいへんなときに助けてやってくれないか」

そんなことを言った。

漠は「わかった」と言って白い道の向こうへとのしのしと歩いて行きやがて見えなくなった。

妙にリアルな、でも現実から遠くかけ離れた夢だったという。

そして恵美の昨夜の夢はというと、やはり白い世界、を歩いていた。だが、やがて後ろにイヤな気配を感じた。

振り返ると、黒い煙に足が生えたような不気味なものがこちらへ向かってくる。逃げようとすると反対側の道からふっと一匹の漠があらわれた。

あらわれたかと思うと漠はその黒い煙をひとのみにしてしまった。そして漠は

「おぬしのお祖父様と約束をした者だ。おぬしを守るよう言われた。約束は果たした」

そう言うと再び白い道の向こうへと消えた。

その直後に目覚めたという。

母親が言うには

「あんたが見た黒い煙に足が生えたってのはたぶん悪夢が形になったものじゃないかって。漠は悪夢を食べるっていうでしょ」

「理屈じゃわかるが、本当にそんな事があるとは。とても不思議な体験でした。祖父には感謝したいですね。約束してくれてありがとうって。

それ以後夢の中で黒い煙のようなものや漠を見ることはないが、漠に言い損ねた礼を言いたいと思う」

2013年12月27日(金) 12:33
ドクロン ◆WrQmn0zw
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