【怪異】お化け屋敷からの着信②/HN:ロビンM

前編を読む

俺は圭太が普段寝起きしているという二階の部屋で圭太を待っていた。八畳程の洋室には大した家具などは無く、テーブルと布団にパソコンとデカい旅行バッグがあるぐらいだ。

圭太が一階の台所へ焼酎用の氷を取りに行ってからもう10分は経っている。

ロ「遅っせーなアイツ!氷取るだけで何分かかってんだよ?」

しんと静まり返った部屋に耐えられなくなった俺はドアを開けて廊下を覗いてみた。

二階には部屋が3つあり、階段を上がってすぐの部屋がここ、隣は会社の備品などが仕舞ってある倉庫だ。普段は鍵が掛かっており社長しか開けられないようになっているらしい。

そしてその隣、廊下の突き当たりに3つ目の部屋はある。見るとドアが半分開いていた。その部屋に少し興味が湧いた俺は何があるのか見に行く事にした。

ドアを押して中を覗くとストーブや布団、箪笥などが見えた。ドア横にあるスイッチを押してみたが電気は着かない。

ロ「蛍光灯切れてんかな?」

すると暗い部屋の中で『カン!』と音がしたと同時に何かが動いた… 月明かりが差し込む窓を何者かが横切ったように見えた。

ロ「ちょっ…何、何?」

俺は怖くなり慌ててドアを閉めた! すると

『コン…コン…』

明らかにそのノックらしき音はドアの内側からのものだった。ドアノブを握る手に力が入る。

『コン…コン…コンコンコンコン
コン…』

洒落になっていない!

ロ「け、圭太!!」

一階からの返事は?…ない!

『コンコンコンコンコンコンコン
コンコンゴン!ゴン!ゴン!ゴン!
ゴンゴンゴンゴンゴンゴン!!』

鳴り止まないどころか段々強くなってるし…

ロ「ち、畜生!なんて日だ!」

『ゴトン!ゴロゴロゴロゴロ!』

突然の背後からのその音に一瞬心臓が飛び出しそうになったが、おそるおそる振り返ってみるとビー玉のような黒い球があちらに向かって転がっていくのが見えた。

ロ「け、圭太!!」

返事なし!

ロ「チキショウ!アイツのふぁみちき食ってやる!」

と、とりあえず逃げよう! ノブから手を離しダッシュで階段へと向かう。

『ンジャパーー!!』

備品倉庫の向かいにあるトイレから水を流す音が聞こえた。

ロ「け、圭太か?」

トイレのドアを開ける。

ロ「誰もいねーし!!」

するとその時、俺の真後ろにある備品倉庫の中辺りから

『ぎーいいい!!
ぎいいいいいい!!』

まるで爪か何かでドアの内側を引っ掻くような音が響いた。

ロ「や、やめろ!やめてくれ!」

完全にノックアウト状態で座り込んでいる俺の耳元へトドメを刺すように

『オイ!!』

オッサンぽい野太い声が!

ロ「けけけけ圭太!!」

その時一階の方から玄関のドアを開ける音がして階段を駆け上がって来る何者かの足音が。

ロ「けけけけけけ…!!」

圭「あれ?浜さんどうしたんすか?」

そこには焼酎黒霧島と氷、コンビニの袋を抱えた圭太が立っていた。

冷蔵庫の氷が切れていたためコンビニへ行っていたという圭太、1人にしやがってと怒る俺。

芋焼酎のロックを旨そうに呑む圭太に先ほど起こったまさに往年の『ドリフ大爆笑』のような怪現象を事細かく説明したのだが、どうやら全く信用していないようだ。

圭「へーなんか気持ち悪いッスね!」

ロ「気持ち悪かったらもっと驚いた顔しろよテメエ!」

圭「たしかに…」

ロ「……」

もう一刻も早くこんなお化け屋敷から避難したかったのが正直な所だが、後輩の前で余り取り乱すのもはばかられる。

閉められたドアの向こうが少し気になるが、まぁ今は2人でいるしなんとか冷静さを取り戻していた。

ロ「そういえばお前さっき俺に電話したよな?」

圭「え? オレがっスか?」

ロ「ああ俺がファミマから電話したすぐ後だよ! 」

圭「え~?オレ浜さんから電話貰った後速攻で風呂入ったから電話なんかしてないっスよ~? 」

ロ「‥‥マジか?」

圭「はい! っていうかここに置いてた俺の携帯無くなってるんスけどどこやったんスか~? 」

ロ「俺が知るかよ!」

圭「え~マジで無くなってるしー 」

圭太はテーブルの下を覗いたり、鞄の中に手を突っ込んだりしている。

ロ『ふふ…俺を1人にしたバチが当たってんな…』

『ゴトン!!!』

突然ドアの向こうで聞き覚えのある音がした。

『ゴロゴロゴロゴロゴロ』

さっきの変な球だ! 絶対そうだ!

俺は『 キャー! 』っと言いそうになったのをなんとか堪える事ができた。圭太もドアの方を見ている、コイツにも聞こえたのだろう…

俺達はアイコンタクトをとった後、物音を立てずにそっと立ち上がりドアを開けてみる事にした。ドアノブに手を置きもう一度圭太を見ると、うんうん行け行けと首を縦横に降っている。彼は完全に先輩をアゴで使ってしまっている。

ノブを捻った、開かない… もう一度力をグッと込めるが何故かビクともしない。圭太を見ると眉間にシワを寄せて早くしろとブンブン首を降っている。

小声「だめだ開かねえよ!」

圭「マジすか?」

ロ「ちょっと待て!!」

俺は廊下で足音がしたような気がしてドアに耳をあてた…

『パタパタ、パタパタ』

ロ「おい!廊下に誰かいるよ!!」

すると圭太は何を思ったのかドアノブに手をかけぐっと力を込めた。するとドアはあっさりと開いた…

恐る恐る廊下を覗いてみたが怪しい人影はない。シーンと静まり返っている…

圭「あ、浜さんあれ!」

圭太の指指す方向を見ると廊下突き当たりのあの部屋… 先ほどは間違いなく閉まっていた筈のドアがまた開いていた。

圭「浜さんどうしますか? オレちょっと見てきますね!」

ロ「おい!やめとけって! あの部屋絶対なんかいるぞ!」

しかし圭太はなんの躊躇もなく廊下をスタスタ歩いていく… 忘れていたがコイツは幽霊『見たい派』だった。俺は廊下を見回してみたが『謎の球』らしき物は見当たらない。

圭「お~い 誰かおるんか~? 出てこーい!お~い」

怖い物知らずの男が蛍光灯の切れたその部屋にズッポリ頭だけを突っ込んでいる。

ロ「アホ!やめとけって! はやくコッチ帰ってこい!」

俺は部屋を覗き込む圭太の両足の間にもう『一組』足がある事に気づいていた。しかし圭太には全く見えていないようだ。

圭「浜さんそんな焦らんでも誰もいませんよ~(笑) 」

ロ「アホ! ボケ! 目の前にいるだろが! アホ!ボケ!カス!」

俺の必死の説得?に負けたのか圭太は部屋のドアを開けたままこちらに向かって歩きだした。俺は正直、このトロイ後輩を見捨てて自分だけ逃げようかとも考えたが 流石にそれは先輩としてできない(悲)

階段を降りようとして踏みとどまった俺はもう一度圭太の方を見た。すると… 呑気に歩いてくる霊感ゼロの男の後ろにベッタリと何かが貼りつくように立っていた!

しかもソイツは歩いているのでは無く、スーっと廊下を滑るように移動している。男女の区別はつかない。なぜならソイツにはアゴから上が無かったからだ。

ロ「圭太後ろー一!圭太後ろーー!志村後ろー一!」

と言いたい所だが余りの出来事に声が出ない。

圭「あれっ?」

備品倉庫を過ぎた辺りで圭太が立ち止まった。その瞬間、後ろに貼りついていたカオナシはスーとドアの方へと吸い込まれていった…

圭「なんか電話鳴ってません?」

備品倉庫のドアに右耳を押し付ける圭太。

圭「浜さん!この音! オレの電話っスよ!」

俺はとうとう我慢の限界を迎え、階段を一目散に駆け下りてしまっていた。

気づけば圭太の家を飛び出し、道路を挟んだ向かいにあるクリーニング屋の駐車場まで来ていた。これ程真剣に走ったのは何年振りだろうか? 足の裏が痛いのは靴を履いていないからだろう。

それにしても息苦しい… やはり煙草は辞めた方がいい。肩で息を整えながら俺はその場にへたり込んだ…

ロ「しかし俺はなんて糞野郎だ! 圭太を置き去りにして逃げてしまった! 俺は先輩としての威厳もあの家に置いてきてしまったのだ!

アイツは多分今頃あの顔の無い化け物に喰われてしまっているだろう… あ、口が無いから大丈夫か? 兎に角すまん圭太!見殺しにしちまった俺を許してくれ!!」

圭「浜さ~ん!」

顔を上げると化け物屋敷の方から圭太に似た男が歩いてきた。

圭「ちょ、浜さんどうしたんスか? 何で逃げたんスか~?」

ロ「に、逃げてねえよ!」

圭「あの部屋から鳴ってた電話って 絶対オレのやつっスよ! 鍵掛かってるのに意味分からんスわ!」

ロ「スマン!取りあえず今日はもう家帰るわ…お前も来るか?」

圭「いやオレは大丈夫っス!」

俺は圭太に見送られながら車を出した。

次の日、圭太は社長に頼み込んで備品倉庫を開けて貰った。やはりその中から携帯電話は見つかり、開閉式の折りたたみ電話が開いた状態で転がっていたたらしい。

「どうやって入ったんだ!」

と社長からはこっぴどく叱られたらしく、その後圭太は会社の所有する別の寮へと移された。そしてその携帯の送信履歴にはあの時間の発信記録が残っていた…

一体誰が電話をかけたのか? 圭太がその会社を去っている今となっては真相は分からない。あの『謎の黒い球』も顎から上が無くなっていた奴の正体も調べようがない。

只、後に圭太が会社の同僚から聞いた話がある。

それは約二年前、社長が溺愛していた中学二年になる息子さんが、朝自転車で学校に向かう途中にダンプカーに巻き込まれて亡くなっていたらしい。それは地元新聞にも載ったらしいのだが、遺体はかなりの損傷を受けている状態だったそうだ。

しかしその事件と今回の事を結びつけるのは少し無理があるだろう。やはり真相は分からない…

兎に角、俺が今回の事で感じた事は 何故『見たい派』である圭太には見えなくて 『出来る事なら見たく無い派』の俺が見えちゃうのか? 人生って中々上手くは行かないもんだなぁという事である…

と、いう話しを先日焼き鳥屋で呑みながら話していた時に圭太先生から貰った一言が、

圭「たしかに!!」

だった…

【了】

2014年01月05日(日) 16:38
ロビンM ◆eBcs6aYE
投稿広場より掲載

 
  • 紫姫

    今回もおもこわ(≧▼≦) 良い 作品でした★☆☆(星3つ) 圭太君は、{幽霊見たい派}だが 霊感ゼロ ロビンさんは、{幽霊見たく無い派}だが 霊感有り だから… あるサイトで 小指が、薬指の第一関節よりも長い(手を[s:18224]して [s:18226]した時)霊感強い。 手相で 頭脳線と感情線の間に ×が、有り×が、濃く出る程 霊感強い。 書いて 有った♪

     
  • ロビンM

    有難い…

     
  • 匿名

    ハズレが無いねえ

     

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