【不思議】青い橋のある風景写真/HN:ドクロン

青い橋のある風景写真/HN:ドクロン

(それ)に気づいたのは今から大分前のことだ。

安達氏はその日部屋の片付けをしていた。ずっと整理をしていなかった二階の部屋の押入の中から、不要なものと要るものに分ける。整理をすると実に色んな物が出てくる。昔買ったバッグや数回履いただけの靴。

一番奥にダンボールが一個あった。ダンボールには(おもいで)とマジックで書かれていた。中を開くと学生の時のアルバムや卒業証書が入っていた。

アルバムを懐かしそうに眺めているとアルバムの間からポトッと写真が一枚落ちた。拾って写真を見ると、何か色あせた青い橋が映っており、橋の向こうには木々があり林のようになっている。

どこかの山か、林か。特に何を目的に撮ったというような感じではなく風景を何気なく撮った、そんな感じをうける写真だった。

だが、安達氏はそんな写真を撮った覚えはなかった。大学時代のアルバムにはさまっていたので大学時代に撮ったものかとも思ったが、大学時代にそんな場所に行った覚えはなかった。

気になって大学時代に仲の良かった友達にその写真のことを手当たり次第に聞いてみた。だが、安達氏と同じく誰も知らないようだった。

(じゃあなんなんだろうこの写真)まあ考えてても仕方ない。その写真はアルバムとともに自室に置いておくことにした。

そしてまたべつの日、アルバムを開き思い出に浸っていると例の橋の写真のことが気になった。なぜかはわからない。しかし見たくてたまらない。いつの間にかそんな気持ちになっていた。

写真を見る。するとこの間とは違う点があることに気づいた。橋の向こう、一番奥に小さな黒いものががあった。それが何かははっきりとはしないものの、何かそこそこの大きさのものだということはなんとなくわかる。

(こんなものあったかなあ)最初はそんなふうに思う程度だった。しかし、その写真を見るにつれ少しずつ少しずつその黒い何かが人だということがわかった。

それは写真を見るたびにだんだんこちらに近づいて来ているようだった。ほんとに少しずつ、少しずつこちらに近づいてくる。

長い髪の女性で黒っぽいワンピースのようなものを着ている。表情まではわからなかったが、日ごとに写真の中で時間が流れているように変化し続けているようだった。

さすがに怖いと思ったが、(見たい)という気持ちは日に日に(見なきゃいけない)というような、脅迫観念にも似たような気持ちに変わっていった。

そしてまた写真を見る。しかし、写真の中にいたはずの女性は写っていなかった。(あれ、おかしいな)そう思ったが、これ以上どうにも出来ない。無理やり気のせいと思うことにした。

だが、それから数日した夜、(ペラ…ペラ)という本のページをめくるような音で目が覚めてしまった。目を開き音のするほうを見ると椅子に座る誰かがいる。その誰かは机の上に置かれたアルバムのページを捲っている。

(家族の誰かかな)そう思って

「誰?」

そう声をかけると、そのページを捲っていた人がページを捲るのをやめてフッと立ち上がると、こちらにゆっくりと顔を向けた。

その瞬間、目の前が真っ白になり意識を失ってしまった。気づくともう明け方だった。昨夜のことは覚えていたが、あの人の顔はどれだけ思い出そうとしても思い出せなかった。

ただひとつだけ、あの橋の写真に写っていたあの女性と昨夜見たあのアルバムを捲っていた人は同じ人だと思う。確証はないが、なぜか強くそう思うのだ。

それからあの写真はいつの間にかどこかへ行ってしまった。部屋の中を探してもどこにもないのだ。

(追記)

あの写真の女性、そして橋。最初から最後までわからない話だったが、なぜか消化不良のようなもどかしさと不気味さが残る話でした。

2013年12月24日(火) 22:20
ドクロン ◆WrQmn0zw
投稿広場より掲載

 

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