【怪談】元は人間、今は……/HN:すばる

元は人間、今は……/HN:すばる

親父が昔の話をしてくれました。あまり怖くはないかもしれませんが。

親父が社会人になって4年目、まだ20代中盤だった親父は会社の出張でとある他県の建設現場へ一ヶ月出ていました。

その建設現場というのが、山を別荘地にするための工事の着手する準備のためでした。

そこは今もそこそこ知名度のある温泉地(なので実名はホントまずいので伏せます)、地元のリゾート会社(この会社はネットで見たらヒットしませんでしたww)が地元の地主から山と土地を買い、そこに別荘地と温泉施設などをつくりというプロジェクト。

入札して親父の建設会社が取ってきた仕事で結構大きな仕事だったようです。

親父がその現場について一番最初に思ったのは「違和感と視線」でした。その「違和感と視線」は開発予定の山の方から……しかし肉眼では何も見えず。

親父はその時にあまり気にしないようにして、工事の段取りを依頼主とともに打ち合わせしたり機材を入れる手配をしたり……まあ忙しかったようです。

ただ問題があって、山の木の伐採をしようと始めたらとにかく事故が多い。木を切るときはあらかじめ倒れる方向を決めて調整して伐採なのになぜか人がいる方向に気が倒れてくる。

ひどいときには、斜面に木が向かっている木を伐採して逆の上の方に登っているのにそっち側に倒れてくると言う、引力を無視したような倒れかたも。

山は鬱蒼とした木々で余計に工事が進まず……最初は怪我人も居なかったのですが、その内に怪我人が続出。ユンボが誰も乗っていないのに倒れたり、ショベルカーが動かなくなり、点検していると急に勝手に動き出したり……工期も予定の5分の1も進まずでした。

さすがの親父も気になり、「試しに山を調べてみるか……」と思い、その山の周辺を2人の親父の家業を知る同僚に事情を話して歩いてみました(歩きながら霊視みたいな感じ)。

舗装もなにもされていない森、藪がすごくナタで刈り払いながら進んでいくと、心なしか少し獣道みたいな所に出ました。親父はその獣道が非常に危険な感じに見えたようですが……若い故かふつふつと好奇心が勝ってしまいその獣道を進んでいきました。

獣道はどんどん奥へ。すると土から石畳みたいな感じになりましたが、まあ人は少なくても数十年は来ていないだろうな、っていう道。それでも進むと1人の同僚が「ひっ!」と変な声を。

親父が「どうした?」と聞くと

「いや……こんな山奥に…子供が…」

確かに子供が来れるような所では到底なかったようです。

その時、親父がもの凄い寒気を感じて「しまった……」と思ったようです。ウチの家系って寒気で相手の念の深さとかを感じる体質で、その時の寒気はヤバイくらいだったようです。

もう1人の同僚は「もう戻ったほうがよくないか? これ以上は迷うぞ?」と言ったので親父も「そうだな、これ以上は好奇心だけでは……」と言った瞬間、子供を見た方の同僚が急に

「今行くから待ってろ!!」と叫んで奥へ走っていてしまいました。

「やばい!! 引き込まれた!! H(走っていった同僚)を連れ戻すぞ!!」

2人でその同僚を走って追いかけ、首襟を掴んで捕まえるとそのHは

「いたいよ!! なんで!!!」って言って泣き叫んでいました。

「おちつけ!! いたい!? 首襟掴んだだけだろ!!」

「かまないで!! いたいいたいいたいいたい!!」

2人で同僚を抑えているとその先、少し開けていました。その瞬間Hは急にグッタリして気を失ったように……。

もう1人の同僚が急に立ち上がり、その開けた場所に無言で歩き出しました。親父が「まて!! どうした!?」と

その開けた場所、そこはホント鬱蒼とした森の中に空間があって、石畳、それだけ……しかしよく見ると、何だか訳の分からないものがその石畳にいました。

「……ダメだ!! そっちだけはやめろ!!」

と親父が怒鳴ってもう1人の同僚の首襟を掴んで尻餅をつかせるとその同僚も「いたいよ!! おとっつああああん!!」と叫んでグッタリ。もう親父もある意味修羅場だったと。

するとその石畳にいたモノが見えてきました。顔は人間の子供、手足は犬みたいになっていて体は茶色の毛に覆われていて、舌が異常に長く垂れ下がっていました、何か半人半獣みたいに。

こっちを見てもの凄く悪意のあるような笑顔、しかしどこか悲しい感じを出しながらこっちにゆっくりと歩いてきます。

このままだと……死ぬ!!

親父はあらかじめ「塩」と……「守り」と言われるまあ使い捨てみたいなお守りとお札を3枚、財布の内側に入れているのでそれを取り出して、まずは「守り」をその半人半獣に投げつけて「かしこみかしこも……」て祝詞を読み上げたようです。

その半人半獣の歩みが止まり鬼のような形相になったようです。塩を2人にふって背中に活を入れると2人ともキョトンとしたような顔をして「あれ?」みたいな顔していました。

「2人とも髪よこせ!!」といったそばから親父、2人の頭から髪を引き抜きます、「いててて!! いてえよ!! バカ野郎!!」と怒鳴る2人の同僚を無視して親父も自分の髪(実は当時、親父はスポーツ刈りで髪が抜きづらかったので下の毛をちょうだいしたようでw)を抜いてお札にくるめてまた祝詞。

「後ろ絶対ふりむくな!! 逃げるぞ!!」

2人はよく分からないけどヤバイと思ったようで親父の言うとおりにして後ろは振り向かず逃げたようです。

後ろでは「おうおうおうーーーーーんんん!!」とか「ははははあああああ!!」とか訳の分からない奇声が聞こえていますが無視。もう傷だらけになりながら戻ってきた3人に現場にいた他の人たちがキョトンww

親父はその足でリゾート会社の開発担当に怒鳴り込みにいったようです。

「てめえら!! あんな危険な山を造成だ!? バカ野郎!!!!!」

と開発担当だったのは40近いオジサンでしたが20代の親父は怒鳴り散らして

「命がいくつあっても足りん!! 俺は帰る!!」と怒鳴って仕事放棄……

それが原因で親父は三ヶ月停職になったようです(汗)

ただ事故は続き、結局は親父の会社も違約金を払って手をひいたようです(怪我人ばかりで機材もダメになり、社長が直々に判断した)。

停職中、ヒマな親父はあの山について調べたようです。分かったのは以下の内容。

1.あの山は昔(江戸時代)、大蛇伝説があった。

2.大蛇の祟りをしずませるため、毎年、1月1日に子供をいけにえに差し出した。

3.地主はその伝説を知ってはいたが所詮は伝説しか思っていなかった。地主が子供の頃にあの獣道は普通に行けたのだが、地主の祖父はその獣道に入るのを絶対に許さなかった。

4.地主の父が死んで相続税の支払いに困り山を手放した。

5.あの獣道はいけにえを差し出す道だった。

「まあ、調べたっつっても地主に全部聞いただけだがな」

「でも……あの地主、所詮は伝説っつってたけどな、たぶん信じていたんだよ、だから手放したかったんじゃないかな??」

「いけにえは口実でたぶん子供の間引きだったかも、んで地主はその発案者(例えば名主とか)、山を提供した。子供を山に置き去りにして山犬とかの餌に……これって無理もあるけどつじつま合わないか??」

「あの半人半獣は元々は普通の人間で死んで霊になっても普通の人間の霊だったろうけど、同じ事が繰り返し行われている内に恨みと悲しみが増え続け山犬の霊と融合して獣化したのかも……」

と親父は言っていました。

最後に親父が髪の毛を使ったのは形代、身代わりです。

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  • 紫姫

    すばるさんの話 大好きです また 沢山 話 お願いします[s:20295] 久しぶりにきけて 嬉しいデス[s:18270] お父様、… とても最強で凄い方[s:20543]

     
  • 匿名

    あんまり怖くないって…怖いじゃないですか(>_<)
    視線を感じた辺りで一回読むの断念しました…
    そして、明るい音楽かけながら再度読みました。
    悪い土地のことはよくわかりませんが、不吉な予感のする土地には近付かないのが一番ですね。
    やまっち妻さんの仰る三角形の家が実家の近所にありますけど、やっぱりよくないのでしょうか?ちょっと心配になりました。

     
  • やまっち妻

    けどヤバい土地って、本っ当にありますよ。家の近所のガソリンスタンド(夫によると出来て大して経ってない)が少し前潰れました。跡地を見ると三角な土地。素人の私も、玄人の夫も、口を揃えて「こりゃアカン」!建設会社に勤めていた時も現場監督さんが「あそこに又なんか建てるんかい、キミ社長に電話して断ってや」「…なんでですか?」「事故多いねん。蛇の通り道や」「大阪市内なのに毒蛇?…あっ、この辺沖縄タウンだからハブが出る?」「ちゃう、いじったらアカン場所のことや」。もしかしてその山も、全体的に『蛇の通り道』かも。

     
  • 匿名

    すばるさん、お久し振りです。
    お父様、やはり最強ですね?ゼネコン関係は、よく色々なこの手の話聞きますよね。

    もう少ししたら、得意分野なので、やまっち妻さんが来て滔々と語ると思いますが…。

     

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