【不思議】押入の中の巨大な顔/HN:ドクロン

押入の中の巨大な顔/HN:ドクロン

入船氏は昔から父方のおばあちゃんの家に行くのが嫌だった。無口で気難しいおばあちゃんは一緒にいるだけで息が詰まる。

しかしいつも長い休みがあると必ず父に連れられおばあちゃんの家に行く。その年も長い休みにおばあちゃんの家に行った。

おばあちゃんが黙ってみかんのたくさん乗ったお皿をテーブルにボンと置くと、幼い入船氏の前に食べろというようにすっと差し出した。

みかんをひとつとって食べているとおばあちゃんはかすかに笑った。

普段笑わないおばあちゃんだから珍しいこともあるなあと思っていると、テーブルをはさんで座るおばあちゃんの後ろにある押入が勝手にススッと少しずつ少しずつ開いてゆくのが見えた。

押入の中に何かがいる。半分くらい開いたところで人の顔だというのがわかった。それは押入いっぱいの大きな顔。

ずっと見ていると、おばあちゃんが小声で

「あれを見ちゃいかん。見るな」

そう言った。

すかさず目をそらすとしばらくしておばあちゃんが

「もういいよ、いなくなったから」

そう言って押入を見るとおばあちゃんの言うとおりもう顔はなかった。押入もぴったり閉まっていた。

なんだか怖くてあれが何だったのか聞けなかったけど、それからなぜかおばあちゃんのことが前ほど嫌いではなくなった。

その二年後おばあちゃんは亡くなったが、入船氏はあの顔のことを思い出す。そしてもう少しおばあちゃんと話しておけば良かったなあとほんの少し後悔している。

2014年04月02日(水) 23:33
ドクロン ◆d79/amog
投稿広場より掲載

 

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