【怪異】憑け物語り-ツケモノガタリ-②/HN:こげ

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会計を済ませHさんのお宅へ向かうことになりました。
私とC君とGさんは運転中に異常が起きると大変だからと
A君の車の後部座席へ乗ることとなり、
もしもの為の助っ人としてB君が助手席に座ります。
憑かれてないD君は一人…自分の車を運転してHさん宅へ向かうことになりました。
A君とD君の車以外はファミレスの駐車場に置いて出発…
混雑する時間帯に大変申し訳ないことを…
と、謝罪するよりHさん♪Hさんに会える~♪夢じゃなくって本当に会える~♪

「Hさんの家は●●市にあって、ここからだいたい3~40分くらいだ」

ハンドルを握りながらA君が言いました。
Hさんは霊能者や祈祷師という職業を持っている方ではなく
なんと老舗呉服屋の若主人だとか
その家で当主となる者は代々、修験道を修めることになっていて
Hさんも例に漏れず、かなりの修行を積んでいるそうです。
ただ、彼と彼のお爺さんは修験道だけではなく仙道にも足を踏み入れており
大陸の巫術、仙術に造詣深く、武術の達人…
そして、更にかなりの美形…美男子という完璧超人なんだそうです!

「Hさんに任せれば全て安泰だ」

「途中、何事も起こらなければ良いな…」

C君の言葉に全員がうなずきました。
ですね…Hさんの家に着かせまいと何かやらかしてくるかもですね。
Hさんの家へ向かう途中…出発して15分くらい経った頃…

「あ」

ハンドルを握るA君が小さく叫びました。

「何かあったの!?」

全員の目が集まる中

「借りてたDVD、今日が返却期限だからショップ寄っていいか?」

なんだよもぉです!
何か異変が起こったのかと思いましたよ!

「帰りじゃダメなの!?」

激しく私が駄目出しです。イケメンHさんと早く会いたいんだから!!

「そうだそうだ!俺達憑かれてるんだぞ!?」

私の肩を抱いてC君が前の席に文句を言いました。
セ、セクハラ!小指が胸のお肉にちょっと当たってます!!

「だってよぉ、除霊とかで案外時間食って閉店したら延滞料金が…」

「どうせ200円とかだろ?俺が延滞料金払ってやるから」

「いや、10本ほど…」

「何借りたのそんなに…シリーズモノ?…24とか!?」

私はそんな本数を借りたことないから分からないけど外国のドラマとかですかね?

「聞くな!だからちょっとだけ寄るからな!!」

「あ…もしかしてあれか…」

「アレですアレです!」

C君とG君…急に納得したみたいで…文句言わなくなったどころか…

「じゃあ、仕方ない」×2

A君は道路わきに見えてきた
本屋さんとレンタルDVDショップがくっついた某店の駐車場へ入りました。
駐車スペースへ素早く車を停め

「みんな、すぐに返してくるから中で待っててくれ」

黒いバッグを手に、かなり慌てで出て行こうとしてます。

「私もちょっとだけ本屋さんに行っていいかな?」

A君がギョッという顔をしましたが
他のみんなも本屋へ行きたいということで全員、車を降りることになりました。
ここへDVDを返しにくるということは…A君はこの辺りに住んでるんだね。
男子全員、レンタルコーナーへ
彼等の後姿を見送った私は書店の新刊コーナーへ…

「あったあった♪」

中から一冊を手に取りまして~
●●●先生の御本は外れが無いですからね~♪

「受けるも攻めるもくーろがーねのー♪」

支払いを済ませ、レンタルコーナーへ向かいます。
DVDが並ぶ棚を横目に皆を探しますが…どこにも彼等の姿がありません。
あれ…あれ?
もう、車に戻ったのかな?

「でも…ちょっと早すぎる気がするし…」

それで、今まで入ったことのない
特別なゲートを潜り…なんか…女性のお客様の立ち入りは固くお断りしますとか…
あったみたいですけど…いいや!
いました!
一番奥にある棚のところでひとかたまりになっているA君達を発見しました♪

「おおい♪こっちの用事は終わったよ」

「ミ、ミステリーハンターハンター!?」

声をかけると全員が30cmは飛び跳ねるほどの驚きぶりでした。
急いで手にしたパッケージを身体の後ろへ隠します。
な、何故にそんな…

「なんでここにお前が…」

「ここまで…来ちまったのか…」

「ああ神よ…」

ちょ、ちょっとなに皆…全員の顔に絶望が張り付いてますけど…

「用事が終わったなら早くHさん家に行こ♪」

「おお…」

5人とも、顔が土気色ですよ?まるでゾンビみたいにノロノロ…
どうしちゃった訳!?
私もゲートへ戻ろうと向きを変えたら

「…………………………」

世界が一変しました。
大きな壁に貼られたポスターとか…
棚からこちらを向いてるDVDのパッケージ群が…
あ、ああ…気が付きませんでした。
アレ…ですね…ええと…
大人の対応しなくちゃ…男性なら当たり前ですもん!
借りないほうがおかしいんです!
私は分かってますよ♪
ここで何も声をかけてはいけない…何も見なかったことに…
それが大人としての対応…
A君が強く返却を主張し
皆が暗黙の了解…理解を示したのは…

はぁ~それにしても壮観ですよ…
まるで肌色のジャングル…
圧倒的…ひたすら圧倒的な肌色過多…
身に着けるもの無しの…フルモンティ状態…
裸…裸…裸…いろんな女性の裸が…
皆さん…素敵な笑顔振りまいてますね…裸なのに…

パッケージを棚に戻し、ガクンと肩を落とされた皆さんの後ろに従い
ゲートへ向かっていきますと…
一人の男性が私達の縦列行進をすごい勢いで追い抜いていきました。
ど、どんだけ…もの凄い早歩きですよ!?
何かに追われてるみたいな…両手に十本を超えるDVDのケースを持って…
彼が私の横を追い抜いた途端

「え!?」

小さな叫びが口から出ちゃいました。
昼間の力仕事から来た疲れと思ってた肩の重みが突然、
消えてしまったんです…すっごく楽になりました。
普段から肩凝りなんですけどね。

「どうした?」

前を歩く顔色の悪いB君が振り返りました。

「あ、なんでもないんだけど
 肩の疲れがね、いきなり消えちゃって驚いたの」

「いいな…俺達のショックは当分消えないよ…」

まさか、ゲートを突入して来るとはブツブツブツブツ…とか呟いてます。
もうそれは気にしないでいいから!
理解したから!!

「……あれ!?」

振り向いたB君の肩越しに見える…私達を追い抜いていった男性の後ろ…
手を繋いだ男女の姿…
それから…セーラー服やブレザー姿姿の女の子が…ずらっと…
さらに彼の足許…
長い尻尾を立ててしゃなりしゃなりと優雅に進む
白黒斑の猫さん…の後姿…
それをちょこちょこと小走りで追う小さな影…

「ど、どういうこと!?」

全ての霊が…私達から離れてあの男性に憑いていっちゃいました。

「C君!なんか身体が軽くなってない!?」

まるでゾンビみたいに憔悴した顔でこちらを振り向くC君…
そんなにショックだったの?

「あ……身体?よく分からないけど
 頭と気持ちがさっきより重くなった…息も苦しい死んでしまいたい…」

ダメみたいです。
D君も…女優さんの名前?連呼しながら大変おいしゅうございましたとか繰り返し…
どこぞの陸上選手が残した遺書みたいなことを呟いて放心状態…
私にえっちなDVD借りようとした現場を押さえられたの…そんなにショックだったの?

それで私達にくっついていた猫の親子とカップルと女子高生8人が離れたことを
A君達に教えてあげますと…全員が顔を見合わせた後、
小走りになって彼を追いかけ、ゲートを潜り…さらに店外へ…
ゲートから出るまで…
男性の視線がすっごく痛かったです。
あんなにパッケージを真剣な眼差しで見ていたのに…
実物の女性であるはずの私へ向けられる視線の冷たいこと!
まるで邪魔者…汚物を見るような目つきで私を見てましたよ!?
そ、それは確かに…あんなに綺麗でスタイルの良い女優さん達と比べられたら…私なんか…
ぷよぷよのぷにぷにだし…

先へ行ってしまった5人を追いかけましたが…
ぜんぜん追いつきません。足速すぎです!
男の人って歩くの早くないですか?
でも、やっと駐車場でみんなに追いつけました♪
全員、立ち止まって携帯の画面を眺め…
さっきと打って変わって別人みたいな満面に笑みを浮かべ…歓声あげてます。

「撮れた撮れた!」

「すげえ!幽霊10人と猫の霊5匹が揃い踏みなんて写真見たことない!!」

「子猫まではっきりと写ってる!!」

「透けて前を歩いている男性の姿が見えるところがまた、素晴らしい!」

「1人に15の霊体が取り憑いているなんて見たこと無い!!」

さっきまでジョージ・A・ロメロ監督かサム・ライミ監督作品から抜け出てきた
ゾンビみたいな顔してたのが嘘のようです。
完全に立ち直っちゃってますよ!
画像を見せ合って喜んでます。

「でも…あれだけ憑けてて大丈夫なのかな…あの人…」

「あ………」

男性が乗った車…駐車場から出て行っちゃいました。

「やばい!これはやばいぞ!!」

慌てて車へ戻り、A君はHさんへ電話をかけました。

「そちらへ向かう途中…本屋に寄ったんですが…はい…」

何かきついことを言われたみたいなA君…

「いえ!違います!!」

おお、強く言えたじゃないですか。

「俺の嫁達が浮気していないか査察に行ったんですよ!!」

それってアダルトDVDのレンタル状況を確認しに行ったってこと?
威張れない!絶対に威張れたことじゃないよA君!!
どっちかというとサイテーだよ!!

「それで、お客さんにその2人と8人と5匹が揃って憑いて行っちゃったんですよ
 メールの添付画像見てくれました?
 それで…どうしたら良いかと…」

電話の向こうでHさんが何か長々と仰っているみたいです
おとなしく聞き入ってるA君…

「あ、こっちの3人はもう大丈夫なんですね!?」

良かったぁ~私達は憑かれてないんだ♪
でも…

「ノートですか?アレはアパートに置いたままにしました…あ、それでいいんですね」

女子高生達が死ぬ間際に想いを綴ったあのノートのことですか…
でも、あのままにしてG君みたいな人がいて憑かれちゃったりしたら…
自業自得と言われたらそれまでですけど…
危険な呪いの品がそのまま放置されてて危なくないのでしょうか…

「全部憑けていった彼は大丈夫なのですか?」

それです!一番の気がかりはそれですよ!!

「はぁ…それはそうですけど…」

また何か…長いこと…言われているみたいですHさんに。
相槌を打つ声のトーンがだんだん落ちていくA君…

「ええ、分かりました…
 夜分にご面倒をお掛けして申し訳ございませんでした。
 はい、ありがとうございます…
 失礼します」

通話を切ってA君、長いため息…

「あの彼だが…15の霊を憑けたままだと
 とんでもない不幸に見舞われ…普通一般の生活を送れなくなるだろうと…
 死に直結する事態が起こり…それを切り抜けられるかは運次第だと…
 でも、それでどうなろうがHさんは…知ったことじゃないって…
 どこの誰かも分からない奴に心を割く気になどなれないそうだ…
 伝手見つけて金持って客として来たなら面倒みてやるって…」

「死って…」

「知ったことじゃないって…」

まぁ、いろいろ超越されてしまった方だからなと言って
はははと乾いた笑いをあげるA君…
電話の向こうからこちらの危機を耳からの情報だけでその本質に迫り
対策を教えてくれるHさんなら出来るんじゃないのかな…

「悪いのは彼を行かせてしまった俺達だから」

「撮影するの夢中になっちまったからな…」

「追いかけて声をかけていれば…こんな事には…」

なぜ…猫と女子高生とカップルの霊が私達から離れていったか…ですが…

「簡単に言うと、私達は霊に対する備え…対処法をそれぞれ持っていて
 そこに無理矢理、霊が憑いていた状態で…離れやすく安定が悪い。
 しかし、『彼』の方は無防備な上に霊との相性が良いこともあり
 掃除機みたいに悪霊共を吸い取って行ってしまったのではないか…
 と、Hさんは言ってた。」

…だそうです。
Hさんて、尊敬できるけど本当に怖い人なんですね…A君にとって…
イケメンで尊敬できて強くて怖い…
まるで鋼の錬金●師に登場するロイ・マス●ング大佐みたい…

「そうですよ!はやくHさんの家に行きましょう!!」

私はA君に車を出すように強く求めました。

「霊が離れたんだ。Hさんの家に行く必要はなくなっただろ?」

「え!?」

「Hさんの家には行かない、帰るぞ」

「ええええええええええええええ!?」

「まぁ、これで終わったのだからめでたしめでたしだな」

「いまいち、後味が悪い結果になったけど、まぁいいか」

C君、D君が苦笑いしてます。
Gさんもなんか笑顔浮かべちゃってます。
行かないのHさんの家?
また…またお預けなのHさん?

「俺はHさんの家に行かなくて済んだの事が一番うれしいよ」

A君…何言ってるの?
行こうよ…Hさんの家…

「正直、おっかないからなHさん…悪いが…あの彼に感謝だ」

う、うううううう…会いたいですHさん…
Hさん…Hさん…Hさん…Hさん…Hさん…Hさん…Hさん…

「Hさぁん!Hさぁああん!Hさぁああああああん!!」

「お!劇場版『機動戦士ガ●ダムⅡ 哀・戦士編』か?
 あれは傑作だよな!」

(おしまい)

2014年04月20日(日) 01:05
こげ ◆.s16F9bY
投稿広場より掲載

 
  • こげ

    こんにちは♪
    ごめんなさい、週末くらいしか現れなくてごめんなさい m(_ _)m

    天通の七不思議さん様
    彼…ですが…不幸とエ□は別腹だそうで…A君に無事発見されてHさんの所へ行けました。
    大丈夫だったそうです。
    ありがとうございます♪

    0.血苺様
    猫さん…子供たちへも思いが強烈だったみたいで…
    私が手を合わせたくらいではダメでした(T_T)
    Hさんは…そろそろ出てきそうな…出るきっかけになるお話がまだなので…
    ごめんなさい♪
    感想ありがとうございます♪

     
  • 0.血苺

    せっかく供養してあげたのに…

    それにしても、今回もHさんはお預けなんですね。焦らしますな〜(^^;;

    男前ってゆうのが男性たちの主観ではなければ良いのですが…

     
  • 匿名

    心霊スポットに行かない回も面白いですね。楽しめました。

     
  • こげ

    こんばんは♪
    昨日…今日ですね~深夜に投稿させていただいたお話がもう採用していただいてます!
    驚愕!歓喜!うにゃーm(_ _)m 管理人様ありがとうございます!
    なんか毎回、怖くないし長いだけのお話に対して大変申し訳なく…
    それで…重ねて申し訳無いのですが…実は…昼間に修正入れちゃってまして…
    (T人T)管理人様…お暇な時にでも差し替えていただけたらありがたいです。
    お手数をおかけして申し訳ございませんm(_ _)m

     

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