【怪異】メイプル語り2-メイプルガタリニ-②/HN:こげ

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A君の照らす懐中電灯の明かりが私から逸れた時でした。
上から悲鳴が…ものすごい悲鳴が降ってきました。

「な、なに!?」

上を向いたまま固まる私…

「やばい!逃げろお前等!!」

「で、出た!爺だ!!」

「塩!塩撒け!若水も惜しむな!チャフやフレアみたいに盛大にな!」

「お札は温存しろ!!」

「女から先に下へ降りろ!」

「D!撮影忘れんなよ!!」

「食い止めるだけじゃ…駄目だ…押さえきれない!」

「仕方ない!アレ使え!アレ!!」

「ちょい待て!いま取り出す!!」

あー、上は大変な事になってるみたいですね…大騒ぎです。
階段を駆け下りてくる靴音…誰かが唱える真言も聞こえてきます。

「いだだだだだだ!!」

つ、爪!膝小僧に爪!!
引っ掻いてます!私の注意が上に向いてるのを知ってか…
猫さん、棒立ちになった私の足にしがみつき
爪を立てて…よじ登ってきた模様です!
それに伴い…

「く、くさ!!」

野良猫さんだったのですか!?
すっごい臭い!物凄く臭い!三国一に臭いです!!
洗ってもらってないとこんなに臭いんだ…野良君…
腕を猫さんの身体にまきつけ抱っこすると…今度は人の胸に爪を立てて
ニギニギを…一心不乱の大ニギニギを…
そ、そんな…こんな状況で甘えられても…
下着越しなのに…皮膚に爪が通ってきます!

「いだだだだだだ!止めて!
 お願いだからにぎにぎはダメ!服薄いし直でお肉に刺さるから!!」

こ、こんな事になるなら…今日は同じ女子メンバーいるからとか、
張り合おうとか、負けてらんないとか…意地張ってお洒落なんかしてこないで、
いつもの…探検用の迷彩服を着てくれば良かったと…大後悔です!

「そ、そこは本当に無防備なんだから痛いんだから許して!!」

「にぃ?」

猫さんの猛攻に身悶えしてると
すごい勢いで階段を下りてきた皆が…私の横をそのまま走り抜けていきました。
なんて言うか…必死の形相で…

「早く逃げて!追いかけてくるから!!」

「危険…速やかな撤退を進言します」

「おっ先~♪早く逃げないと危ないぞ?」

「こら!そんなところで突っ立ってるな!急いで逃げろ!!」

「首吊った爺さんが追いかけてくるぞ!」

うわぁ…皆さん、私に気が付いて声をかけてくれましたけど…
立ち止まる気…一切無いですね…
まるでスペインのサン・フェルミン祭…牛追い祭りみたいです。
逃げるので精一杯…

「怖いなぁ…」

「にぃ」

猫さんと見守っていたら…上の方で

「パン!」

発光現象!?同時に大きな何か破裂したみたいな音がしました。
あ…煙上がってますけど…何なの?
それ以後は何も聞こえなくなって…不気味なくらいに静まり返りましたよ。
五分くらい経って、A君達いつもの四人が階段を下りてきました。

「いやー爺さん凄い怨念だったな」

「怨念の根源ごと逝ったなぁ!」

「撮った!撮った!撮った!撮った!」

「D!偉いぞ!良くやった!!」

かなり余裕あるみたいですね。

「どうなったの、お爺さんの霊?」

談笑しながら下りてくるみんなに近寄って
何があったのかと問いかけますと

「爆破した」

「バッ、爆破ぁ!?」

今、確かに爆破っていいましたよねA君!
さっきの眩い光と音って…

「この前の廃教習所で出た包丁女いたろ?あれくらいヤバかったんでな。
 恨みの痕跡が残ってるところに爆竹とかの火薬解して粉末のマグネシウムと混ぜて
 フイルムケースに詰めたものを仕掛けて点火…
 思いっきり吹き飛ばしてやった!」

「……………………」

幽霊を構成しているという五行思想でいう水気と木気…
それの対となるものをぶつけたと言っても…
まさか…怨念を爆破って…火気と金気…だから爆破って…爆破って…

「湾岸戦争でも、米軍が火災を起こした油田を爆破して消化させてたろ。
 あんな感じでやれるんじゃないかと試作して今回、初めて使ってみた。」

「いやぁ…幽霊と油田を一緒にされても…」

「仕方無いだろ?今日は車二台で来てるんだ。
 追いかけてきたら対処が難しいからここで潰すしかなかったんだよ。
 現地に残された記号みたいな怨念の情報を五感によって
 無意識下に捉えてしまい精神に何らかの異常を来たすのが憑依現象だ。
 その記号を正確に捉えられなくしてしまえば憑依は起こらなくなる訳だ」

間違ってない俺は正しいとか力説してますよA君達…
霊能者とかテレビで命がけの説得したりお題目唱えたりしてますけど…
こんなダイナミックで乱暴で一方的な除霊…アリですか?
誰も憑依とかされてないから使えた手段なんでしょうけど…
まさか、幽霊が出る場所ごと…火薬で…

「Hさんはあの程度なら近寄るだけで消しちまうからな…」

どんな戦略兵器ですか…あの人…
Hさんとは、霊能者や祈祷師という職業を持っている方ではなく
A君の知り合いで老舗呉服屋の若主人…
当主となる者は代々、修験道を修めることになってまして
Hさんも例に漏れず、子供の頃から修行を積んでいるんだそうです。
ただ、彼のお爺さんの代からは修験道だけではなく
仙道にも足を踏み入れており…大陸の巫術、仙術に造詣深く、
さらに武術の達人と言う
まさに人間兵器!!
そして、超がつくほどの美形!美男子!(A君談)

「火薬なんかに頼ってる俺らなんてまだまだ可愛いもんだろ?」

「お願いですから火薬に頼るのも止めましょうよ…」

「じゃあ次は『モロトフカクテル』試してみるか?」

「モロトフ…カクテル?なんですか?霊に効くお酒?」

「火●瓶だ」

「火●瓶て全然駄目じゃん!でも、どうしてカクテルとか呼ばれてるの?」

「冬戦争…1939年11月30日、ソ連がフィンランドへ侵攻し始まった戦争な。
 ソ連の外相だったヴャチェスラフ・モロトフがフィンランドに対する
 最初の空爆行為に関して『資本家階級に搾取されているフィンランドの労働者へ
 援助の為にパンを投下した」と発言したことから…
 フィンランドの人はソ連の爆撃機を『モロトフのパン籠』と呼ぶようになり…
 物資に乏しいフィンランド軍は火●瓶を作って侵攻するソ連軍に対抗…
 中味はガソリン・ベンジン・硫黄、高オクタン燃料やピクリン酸や硫酸の混合物…
 そこから『モロトフに捧げるパン籠のおかえしのカクテル』…
 略して『モロトフカクテル』と呼ぶようになった」

「つ、つまらない事を聞いてしまいました!
 火●瓶は「火●びんの使用等の処罰に関する法律」で製造も所持も
 もちろん使用についても禁じられてるんですよ!?」

「フッ、分かってないな
 バレなきゃ犯罪じゃないんですよ♪」

「おーまーわーりーさーん!!」

A君達の活躍によって…ホームレスのお爺さんの幽霊は
完全に消滅してしまったようです。
暴走族に暴行を受けた挙句…面白半分で首を吊らされ…死んだ…その恨みから
悪霊と…鬼と化したのに…
まさか、恨みを晴らすことなく…爆破されてしまうなんて…
私はなんか、やるせない気持ちでいっぱいになったのですが…
他の方達は大満足…凶悪な幽霊を倒したと…
大喜びでした。

「俺たちは、道理の通らぬ世の中に敢えて挑戦する、
 頼りになる神出鬼没の 特攻野郎Aチーム!
 助けを借りたい時は、いつでも言ってくれ 」

「ただのテロリストだと…思うよ…」

それから…この廃墟で知り合った猫さんですが…
家に連れて帰っちゃいました。
飼っていた猫が一年以上前に死んじゃって…
寂しかったと言うか…魔が差したと言うか…
それで可愛がっていたのですが…
名前は魔女の宅急便に登場する黒猫から…『ジジ』と名付けまして…
黒猫だったんです…
だったんです…けど…それが…
身体を洗ってあげたり…毛が抜け変わったりしてる内に…
脚から胴体へ白から黄色へ変わるグラデーション…背中と頭はこげ茶色…
まるでホットケーキみたいな…
死んてしまった…最愛の息子『メイプル』と…
模様だけじゃなくって
身体の大きさ…声から…性格までそっくりになってしまったんです。
それに…私にだけ見えていた…
『メイプル』と重なって見える幻影の猫の姿まで…付いてるし…
当人…当猫も…いつの間にやら、自分を『メイプル』って思い込んでるみたいで…

「メイちゃん♪」

「にぃ♪」

もう、二代目『メイプル』って事で割り切ることにしました。
だって可愛いんだもん♪

(おしまい)

2014年06月02日(月) 00:30
こげ ◆.s16F9bY
投稿広場より掲載

 
  • 紫姫

    特攻野郎Aチームは、毎週月~木曜日に テレビ東京(12チャンネル)お昼のロードショー枠 で 毎回 あの当時見て 爆薬シーンの迫力 特攻野郎Aチームの個性豊かなメンバー や チームプレイ や 面白い作戦等 当時は これぞ[s:18241] 娯楽ドラマ◎ ハンニバル大佐 フェイス モンキー ゴング 特に モンキーと ゴングの会話楽しく(大笑い) モンキーは、普段 お茶目で、おしゃべり、クレージだか、 軍ヘリコプター運転 や メカニック担当 ゴングは、怪力 や 力仕事を担当 でも、飛行機[s:18237] 恐怖症で、毎回飛行[s:18237]乗る時は、メンバー達が、睡眠薬等で、眠らせて、 目覚めると ゴングは、何時も 怒り 怒鳴り 「又 眠らせて 飛行機[s:18237] 乗らせ やがったなー[s:18241] 糞 野郎」と騒ぐ 。 黒猫には、ジジが定番 だと 私もおいます。 メイちゃんpart3 楽しみにしてます[s:18270]

     
  • こげ

    紫媛様
    いつもありがとうございます♪
    特攻野郎AチームwDVDで観ました♪映画の方も楽しかったです!
    新しい配役で~あ、昔のフェイスとモンキー出てましたね♪
    オーディオコメンタリーの波佐間道夫さんのを聞いて、テレビの時の裏話とか聞けて
    楽しかったです♪
    爆破に使った火薬は彼らの趣味としていますモデルガンの発火用火薬だったそうです。
    自主制作で映画を撮ってる方がいてエフェクト用?やら弾着?にも使用されるとか?
    それを心霊スポットで使うとか常軌を…
    二代目メイちゃんがなぜ黒からホットケーキに変ったかは次回の3で明らかになると…
    思います。
    黒猫さんにはジジって名付けるの定番?
    ありがとうございました♪

    0.血苺様
    いつもコメントありがとうございます♪
    ウチのA君たちも傍若無人の縦横無尽で暴れますが…本当に畏敬の念とか死者を慮る気持ち
    って全然ないです。(T_T)男子だから?
    彼等は自分が招かざる客であり、侵入者で加害者あることを理解していて、相手に情けを
    かけるなど必要ないと思ってるみたいです。
    女性の霊にもいっさいの…たまにあるかも…若くて身体の一部分がとても大きい場合にとか…
    急にガンジー的精神になるんですよね
    ありがとうございます♪

     
  • 0.血苺

    メイちゃんは二代目だったんですね〜!ビックリ∑(゚Д゚)です。

    最初は、こげさんにまとわりついている段階で“この世のものならぬぬこ”かと思いました。
    今後も、メイプル柄のメイちゃんが代替わりしながらこげさんを護っていくのかもしれませんね。

    それにしても…心霊スポット巡りをする人の行動は、時に理不尽…
    ホームレスの霊に合掌…

     
  • 紫姫

    何と[s:18241][s:20310] 今回は、幽霊探検 と メイちゃんニ代目襲名 の ニ本立て[s:20295] まるで、 ミュージカルOr映画 だね[s:18270][s:20302] 相変わらず、ABCD君 (俺たち 特攻野郎 Aチーム)懐かしい[s:20302] 火炎○ (大笑) 色々と幽霊退治 グッツの 新技を 編み出す バイタリティー[s:20544][s:20543] そして こげさんを 助けた [s:18287]ちゃんの 運命的な 出逢い。 一代目の めいちゃん と似た 毛色 や 性格 や 幻猫も 憑いて。 この子([s:18287])は、正しく ニ代目襲名する運命Or宿命[s:20302] 一代目メイちゃんが、任命者だね[s:18287][s:18287]

     

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