【怪異】邪悪な気配/HN:ドクロン2014+

邪悪な気配/HN:ドクロン2014+

中谷は昔から気配とか予感とかそういったものに敏感で、特に五歳から気配を感じる力があり、十歳ともなると気配によってその形とか色とかの違いがわかるようになった。

その中でいくつかは「邪悪な気配」を感じたことがある。

邪悪といっても種類は様々で小さなものから大きなものまであり、中谷曰わく本当に邪悪なものは吐き気や目眩さえおぼえるらしい。

感覚も様々あり、チクチク刺すような痛みがある気配からだんだんと迫るような距離感を感じるもの、ゾクゾクするような寒気をおぼえるものもあるという。

様々な気配を感じてきた彼がもっとも邪悪な気配だと断言する出来事がある。それは彼が十歳のときで、8月のことだ。

友達の有馬さんのおばあちゃん家に一緒に遊びに行ったときのことだ。そこは農家でとても広くおまけに古い。

広い家の壁や天井には所々にシミがあり、中には顔に見えたりするものもあったが、それよりもある部屋に階段があった。その階段は屋根裏に続くらしく上げ下げできる仕様らしい。

有馬さん曰わくなぜか昔から近づいてはならんと言われてる。だからか、普段は多くの場合、階段は上に上げられている。邪悪な気配はその階段の上からしたのだ。

気配を感じてからは絶対に近づかないようにしていたが、夜中有馬さんに起こされた。聞けばどうやら有馬さんは階段の上にこっそり行ってみようという。

やめようと言ったが、有馬さんの押しの強さに負けてやむなく行くことになってしまった。こっそり部屋を抜け出しその階段のある部屋に行く。

懐中ライトの明かりを頼りに進むと階段を静かにおろす。ギィと鈍い音は立ったが、どうやらおばあちゃんやおじいちゃんはぐっすり寝入ってしまって誰にも気づかれてないようだ。

やがて静かに階段を上り屋根裏に続く蓋をそっと上げる。先に行ったのは有馬さん、埃っぽいのとカビの匂いがプーンとして鼻をつまんだ。

懐中ライトでかすかに明るくなった部屋をふと見るといくつかの荷物がある。多分物置として使われてるのだろうということがわかった。

その部屋をぐるりと照らしていくとある1箇所で止まった。懐中ライトを持っていた有馬にどうしたかを聞くと首をしきりに傾げる。

「おい!どうした?何があった?」

有馬を押しのける形でふっと照らされたその1箇所を見ると妙なものがある。大小様々な箪笥が1箇所に集められている。

なぜ箪笥ばかりあるんだろうと思ってじぃと見ていると、箪笥のひとつがカタカタと勝手に揺れ出した。その揺れに合わせて箪笥の引き出しが開いてゆく。

(ガタッガタッガタッ)と少しずつ少しずつ開いてゆく引き出し。やがて半分くらい開いたと思ったら、中からにょきっと何かが出た。

それは白いキノコのような形をしたものだった。番傘のような膨らんだ形状のものがあり、その下は細くなっている。それが左右に揺れながら少しずつ少しずつ出てくる。

有馬さんの手を見るとライトを握る手がわなわなと震えている。ライトの光もそれに合わせて小刻みに揺れる。やがてハッと気づくとそのキノコの形状をしたものの正体がわかった。

それは頭が肥大した女で白目をむいて左右に揺れている。それが這い出して来ている。

流石に怖くなり、二人は慌てて階段を降り、もとの位置に階段をしまった。階段を降りて自室に戻ろうとするとおばあちゃんとおじいちゃんが開けた襖に立っていた。

見つかったと思ったが、「何か見たか?」と言われたので「何も」と言ってごまかした。

その後は何もないが、あの邪悪な気配を越える気配はいまだ感じない。ただ、あの女はなんだったのか、そしてなぜ屋根裏にあんなにたくさんの箪笥があったのかそれはわからない。

(追記)

そのことがあってから数年後おばあちゃんの家で不審火があった。出火もとはあの屋根裏。不思議なことにあの屋根裏にあった箪笥だけはひとつも燃えなかったそうだ。

それからその箪笥がどうなったのかはわからない。ただ、今もたまに屋根裏に箪笥があるあの夜の光景、そして引き出しからにょきっと女の頭が出てくる光景がフラッシュバックのようによみがえる時がある。

2014年05月31日(土) 18:30
ドクロン2014+ ◆d79/amog
投稿広場より掲載

 

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