【心霊】古井戸と幽体離脱

古井戸と幽体離脱

私の実家の裏山に、森に囲まれた今は使われていない古井戸があります。

ここは昔から地元の古老が、俗に「底無しの井戸」と呼び、落ちれば死体すら発見されないと恐れられていたスポットで、好奇心旺盛な小学生のころに友達と3人で探りに行ってみました。

重い蓋をずらして懐中電灯で内部を照らすと、10メートルほどの深さに水が澱んでいて、異様な泥臭さが鼻を突きます。

試しに大きめの石を放り込んでみても、奇妙にも全く水音が聞こえず、水面には波紋すらたっていない。

何度やっても変わらず、しかも藪の奥からマムシが2匹も這い出してきたので、子供心にもいささか薄気味悪くなった私たちは、そそくさと退散しました。

後日、そこで撮影した何枚かの写真をチェックしていたら、自分ひとりが写っているショットにのみ2本の手が井戸の縁を掴んでいるのです。

中から這い上がるべく手を掛けている感じと言えばいいかな。

友達は心霊写真だと面白がっていますが、私としてはやはり不安なので父に相談したら、あの場所へ行ったことを激しく叱られる始末です。

とにかく写真は父が預かり、二度と井戸へ近づかないようにと念も押されました。

以後とくに現実的な異変は無かったけど、寝ていると金縛りと共に体が勝手に動き出す夢をたびたび見るようになりました。

例えば、電動ベッドでゆっくりと上半身を起こしていくみたいな感覚に襲われ、その姿勢から正面に見える寝室の扉に、幼児の顔がいくつも浮かび上がってくるのです。

表情までは読み取れませんが、なぜか恐怖感はありません。

そして私はいつの間にか家中をうろついてお菓子や残飯をむさぼり食っており、味すらも分かる気がします。しかし目を覚ませばちゃんとベッドに仰向けになっている、といった具合です。

1ヶ月で10数回は類似の夢を見たでしょうか。

共通しているのは、金縛りの直前に、起きろーとばかりに腕を強く叩かれるもので、これだけはリアルでした。てっきり母親か誰かが来たんだと思ったくらいです。

そんな現象も次第に収まり、現在まで平穏に暮らしているわけですが、父親が持っていたはずの心霊?写真の行方が気がかりです。

あるいは先祖の墓のある寺院に依頼し、お焚きあげのうえで処分したのかもしれません。

なぜなら、そこの住職さんが話していた、井戸に纏わる曰くと不祥事への対処法をチラッと又聞きしたことがあるからですが、内容は忘れたし、詳しい事情は彼と父だけの秘密なんだと思います。

そんなふたりも10年以上前に亡くなり、もはや真相を突き止める手段は無いでしょう。

とはいえ、世の中には知らないほうが幸せなことがあると解釈しています。あの井戸も依然として健在なんだしね。

 

世にも奇妙な怖い話や都市伝説から不思議体験スピリチュアルまで…オカルト小説投稿/2chまとめサイト。1万3千話超えの厳選物語を貴方に★