【心温まる霊】サラバ勇者よ…②/HN:ロビンM

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「 ロビちゃん!」

「 ロビちゃん!」

「 ほら起きてよロビちゃん!」

俺はしゃがれた図太いオッサンの声で目を醒ました。

顔を上げるとカウンターの向こうからババ姉の太い手が俺の肩を揺すっている。

「 あらヤダ!やっと起きたわ!もうロビちゃんたら急に寝ちゃうんだもんそんなに疲れてたの? 」

「…んっ?ま、マモルは?」

「えっまもる? 誰なのそれ?それよりロビちゃんもうお店終わりなんだけどどうする? 」

「…え?」

店の中を見渡すともう俺以外の客の姿は無く、いつも閉店時間を知らせるマービンゲイの「ワッツ・ゴーイングオン」が静かに流れている。

「…ふふ、そんなに疲れてるんだったら今日は私の部屋で寝て行く?ロビちゃん♡」

「…てめぇふざけんなよ…」

「ふふ冗談よ冗談!ロビちゃんたら、あっ!そう言えばさっきから電話何回も鳴ってるみたいよ、ほらまた掛かってきた!」

見ると確かにカウンターに置かれた俺のスマホが振動している。

ズキン!!と顎が痛んだ。

咄嗟に顎を触ってみるとヌルヌルとした感触があり、手の平をみると大量の血が付着している。

「きゃーーー!!ロビちゃんどうしたのよそれ!!」

ババ姉が驚くのも無理はない。俺の顎から吹き出した血は、最近古着屋で買ったばかりの白の開襟シャツを見事に赤に変えてしまっていたからだ。

ボタボタと流れる血をおしぼりで抑えながらスマホの画面を覗くと、画面にはやはり夏美の名前があった。

「は、早く帰らなきゃ…」

今ならまだ間に合う気がした。

マモルの死に目に会えないのは辛い。

電話口で嗚咽まじりに話す夏美の後ろで聞こえていたのは、多分美菜の泣き声だろう。

ババ姉にタクシーを呼んで貰い、運転手に一万円を握らせ実家へと急いで貰った。

三枚目のおしぼりを顎にあてながら後ろから「もっと飛ばせ!!」と運転手のハゲ頭を引っ張っていると、また俺のスマホが振動した。

嫌な予感がしたが、俺は心を落ち着かせて電話をとった。

「…さっき亡くなったよ…マモル…兄貴…早く帰って来てマモルの顔見てあげてね… 」

あれから三週間が経ち、部屋に閉じ籠っていた夏美もやっと夕食の席に顔を出す様になった。

しかし美菜はまだあのショックから立ち直れずにトイレ以外に部屋から出て来る気配は無い。

マモルが居なくなっただけでこうも家の中が暗く、閑散とした雰囲気に包まれるとは正直思わなかった。

やはりそれだけ親父も居ないこの家では、彼はとても大きな存在だったのだろう。

小さな陶器の箱に分骨されたマモルの一部は、仏壇に飾られた親父の写真の隣りに置かれている。

生前、大の犬嫌いだった親父は天国でどう思っているのだろうか?俺の隣りに置くんじゃない!と怒っているかも知れない。

「…ふふ」

俺は高級ジッポで線香に火を着けた後、お凛を三回鳴らし目を瞑り手を合わせた。

「 親父、そっちでマモルの事をよろしく頼む!こっちの事は心配しないでくれ、この家は俺がちゃんと守るからな!」

チリーーーン チリーーーン

夕食に戻ろうと仏壇に背を向けた俺の背後から声が聞こえた。

『 …だからそれが余計なお世話なんだよバカ!…フガ…でも…ありがとう…さよなら…フガ… 』

「………… 」

その瞬間俺の涙腺は崩壊し、何事かと駆け寄ってきた母親の前で恥ずかし気も無く号泣してしまった。

マモル、俺はお前を一生忘れない。

有難うマモル…

【了】

2014年06月20日(金) 21:09
ロビンM ◆eBcs6aYE
投稿広場より掲載

 
  • 紫姫

    コメ ありがとう うひひ-。 結局 他の [s:18290] を 買ったのかな[s:20310] マモルが、 もしかして 早く 生まれ変わり (転生)して 又 ロビンさん 達 と 暮らしたい と 思った かもね いひひ-。 私も 高校生の頃 パグ と ビーグル犬のミックス(混血)メス♀ の ハナちゃんを 飼ってました。 その当日 周りの 人達 から 珍しがられ、 外へ ハナ と 散歩すると 必ず 声を 掛けられ 自慢 して ました。 でも 、5年後 突然 家 から 飛び出し ハナが、 行方不明 に なりました。 何度も ハナの 名前を よびながら 心辺りを 探すが、見つからず。 今でも、 あの時を 思い出す と 不思議に 思う。 家を 飛び出した 時 夕方で 周りに 人影 や ハナが、 気を 引く様な事 も 無く あの時 だけ だった から かなり、パニックに なった。 あれから、 何度も 、ペットショップへ 見に 行く事 が、日課に なりつつ、 暇潰しに、ペットショップへ 行き 癒しに なって ます。

     
  • ロビンM

    やあロビンミッシェルだ。

    紫姫氏、前歯が無いと想像以上にマヌケだ、ジャニーズ顏が台無しになっちまったよ…ひ…

    いや実はマモルはもう生まれ変わっている疑惑が浮上しつつあるんだ。
    先日妹の美菜とその彼氏との三人でペットショップに行ったんだが、色は違うが(フォーン)幼い頃のマモルにクリソツなパグの赤ん坊が俺を凝視していてね、俺も美菜も固まってしまったよ!…ひ…

    危うくATMで15万降ろしそうになっちまった… ひひ… なんとか踏みどどまったがな!…ふう…

     
  • 紫姫

    ロビンさん 顎の傷が、残らず良かっです[s:18270] ても、 歯が一本何処かに 無くなった とは、不思議だぁ(*゜Q゜*) もしかして、 マモル が、記念に 一緒に 天国へ 持って 行った かも ひひひ-。 何だかんだ マモルは、 ツンデレな 態度を 取っても ロビンさんを ちゃんと ご主人 と 認めて、 好きだと 思って いる と 思います いひひひ-。

     
  • ロビンM

    やあロビンミッシェルだ。

    血苺氏、あれ以来マモルが夢に出てきた事はない(多分…) ちゃんと成仏してくれているのかな…ひ…

    カネゴン氏、コメント有難う! 俺もこの話を書きながら涙が溢れてしまい、危うくスマホが水没するかと思ったよ!…ひひ… すまん!冗談だ!

    紫姫氏、顎の心配をしてくれて有難う!…う… 幸い傷は残らなかったが、前歯が一本何処かへいってしまったよ…ひ… 因みに美菜が最近新しい犬を飼いたいと言い出して困っている所だ…ひひ…

    てぃあら氏、マモルの声か…うむ…アキラ先輩氏というより、スネ夫氏の声を若干高くした感じに似てるかな?…ひひ…

    いつも有難う!青い勇者は残念だったな…う… 予言が微妙に当たってしまった!すまん!俺のせいだ!許してくれ…ひい…

     
  • てぃあら

    解決しましたね。
    ありがとうございました。

     
  • 紫姫

    後少しで マモルの死に目に会えなかったケド- 夏美さんのメッセージ(夢)で、マモルと話せて良かったですね[s:20294] でも、とても 痛い目に 遇って ロビンさん 顎の傷が、かなり深く 心 も 痛め とても 悲しく 辛かったですね Σ(ノд<) 美菜さん や 夏美さんの 悲しみ や ショック 切ない。

     
  • カネゴン

    号泣しました(;_;)
    久しぶりに大泣き;_;
    マモルくん、口は悪いけど愛らしいです♪

     
  • てぃあら

    ロビン・ミッシェルさん、ファンです。いつも、ありがとうございます。投稿広場からの掲載おめで~す。ひひひのひ…ひ…。

    私は、マモルの話を読んでいるとき、何故か脳内で、マモルの声は、『紙兎ロペ』の「アキラ先輩」の声になっています。

    実際には、どんな声で喋るのでしょうか?気になります。

     
  • 0.血苺

    ロビンさん…最後までマモルくんに心配かけちゃって…( T_T)\(^-^ )

    案外、お父様とマモルくんは仲良く見護ってくれているんじゃないでしょうか?

    「しっかりしろよ!」

    なんて言いながら…

     

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