【怖い話】苦狂日記 叫びの詩⑤/HN:忍冬

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多分ここに出てくる先生というのは、医者の方じゃなく宗教の方の先生だろう…
しかし線維筋痛症の激しい傷みを抑えられる薬とは何だろうか?
強力な鎮痛剤では、ステロイドやボルタレン、ロキソニン等が思い浮かぶが、もっと別の物のような気がする…
そして『一日中笑ってた』や『やる気が湧いてきた』等、今までにはない文面が急に出てくるようになった気がする…

もしかしてこれはドラッグ(麻薬、覚醒剤等)と呼ばれる物ではないだろうか?

私も詳しくは知らないが…
ドラッグには、アッパー系(興奮剤、精神を通常以上に高揚させる)
ダウナー系(抑制剤、アッパー系の逆で、興奮、緊張を抑制し急激な眠気や、強力な鎮痛作用を引き起こす)
そしてサイケデリック系(幻覚剤、その名の通り幻覚を誘発し、感覚を鋭敏にする)等があり、効果や用途も様々だという。

最近では合法ドラッグや脱法ドラッグとか色々聞くが。
酒やタバコもお国公認の合法ドラッグだというのは知ってるだろうか?

酒はダウナー系のドラッグで脳を麻痺させる作用がある。
酔う感覚を楽しんだりする人も多いが、多量に摂取すれば泥酔したり、中毒を引き起こす。
そして粘膜(直腸、膣等)から摂取すれば、急速に血中アルコール濃度が上がり、飲酒とは比べ物にならない早さで酔う事ができるし、直接注射針で体内にアルコールを注入すれば、一気に急性アルコール中毒で死に至る。
酒は中毒性、依存性の高い立派なドラッグなのだ。

逆にタバコはアッパー系のドラッグで、興奮、覚醒作用がある。
その中毒性、依存性は高いのは言われなくても解るだろう…
トリップしないよと言う人もいるだろうが、初めて吸った時や、時間を空けて吸った時に頭がクラクラした事があるだろうと思う。
あれがトリップなのだ。

覚醒剤も同じで、最初は少量で簡単にトリップできるが、使っていく内に、耐性ができて、同じ量ではトリップできなくなる。
するとトリップする為に量を増やしていく、そうやって中毒になり依存していくそうだ。

タバコもニコチンの量を増やせばトリップできるそうだが、ニコチンは毒性が強いのでやらない方がいいだろう。

日本人はドラッグに対する知識も低い。
ドラッグと知らずに手を出す人がほとんどだろう。
国が認めてるドラッグなのだから無理もないが…

あと、国が認めてるのだから比較的安全と思っている人もいるかもしれない…
しかし酒やタバコより安全なドラッグもある。
それはマリファナだ。
マリファナの方が毒性も弱く依存性も低い、ただマリファナは幻覚作用があるみたいだし、吸い続ければ廃人の様になってしまうらしいので、やはり危険な物なのだろう…

酒やタバコはドラッグなので禁止にした方がいいと言う人がいるが。
それも難しいだろう…
禁止にしてしまうと、国の税収が一気に減るし、暴力団等の資金源にも繋がってしまう。

話を戻すが。今ではその辺の主婦や高校生でも簡単に手に入れる事が出来るドラッグ。

この宗教の先生が持っていても何も不思議ではないだろう。
昔から大麻やケミカル等のドラッグは、宗教儀式やシャーマニズムで用いられてきたと言うし、神懸かり的な力があるように信じ込ませるには、ドラッグは最適だろう…

一般的なドラッグは、注射針で体内に注入するか、炙って吸引するのが知られている。

それは摂取の仕方で効果や、効果が表れるまでの時間が違うからだ。そして依存性も…

アルコールも摂取の仕方を変えれば一気に酔ってしまうように、他のドラッグも注射や吸引で摂取した方が効果的なのだ。

逆に普通注射や吸引で摂取するドラッグを経口摂取すれば、トリップ感は減るし、依存性等も低くなる。

だがLSDやリキッド系のドラッグのように、極めて微量を経口摂取するだけで簡単にトリップしてしまうドラッグもある。

そしてこの手のドラッグは無色なうえに無味というのが多いらしく、知らないうちに人に飲ます事も可能なのだ。

そして次々に作られる、合法ドラッグや脱法ドラッグと呼ばれる薬物は、それを扱ってる業者でさえ、その詳しい効果や依存性等が分からない物もあるそうだ。

この親子も、騙されてドラッグを摂取させられていたなら、日記に書かれているような事が起こっても不思議ではない。

そして外に出るな、病院も必要無しの意味もイマイチ理解できない。
これは洗脳か何かだろうか?

読めば読むほど分からない事がでてきたが、私は気にせず日記を読み進めた。

―井上陽子の日記―

平成23年6月7日 (火)

もう一ヶ月位外出していません。
私は薬がないと全身きつくて動くのも辛い
布団も敷きっぱなし、何もやる気がしない…
でも夏美に食事と薬だけは飲ませなくては…

平成23年6月10日 (金)

今日はアーちゃんが食料と薬を持って来てくれた
アーちゃんが来た日は、夏美の面倒を見てくれるので本当に助かる。
私は鬱にでもなってしまったのだろうか?
アーちゃんは今までの疲れのせいと言ったけど…
本当にそうだろうか…

平成23年6月16日 (木)

手足が痛い、動くのも辛くなってきた
病院に行った方が良いのか?
でも病院は信用できない…

平成23年6月21日 (火)

どうも痛みが取れない
全身がキシキシ痛む、薬も効かなくなってきた
でも夏美が良くなるまで、私は倒れるわけにはいかない
なんとか薬を飲んで騙し騙し動くしかない。

平成23年6月30日 (木)

毎日こんなに体が痛い、たまにこの先どうなるだろうと考えてしまう。
私はいいが、夏美には元気になってほしい
最近夏美は笑っているか、痛いと言ってるかどっちかになってきた。
食事もあまり取らなくなってきたし大丈夫だろうか?
私も薬でなんとか動いているが、薬を飲んでもフラフラするし辛い…
私達はどうなってしまうのでしょうか…

『不安は恐怖を生み
恐怖は私を支配する
思考は停止し 心に刻みつけられる
この暗い世界で あとどのくらいの時間を過ごすのだろう…
この暗い部屋で あとどのくらい耐えるのだろう…
月明かりも届かない現実に私は沈んでゆく…』

・・・・・・・・・・・・・・

陽子の容態が日に日に悪くなっていくのが記されている。
ドラッグが効かなくなってきたのか、薬の副作用なのか、ただのバッドトリップなのか?
それとも本当に病気なのか?
日記を読むだけでは判らない…

ドラッグが切れた時の禁断症状に近いものも感じるが、それもハッキリしない…
一体どのような薬物を使用してたのだろうか?

そして私は村瀬が会社を休んでる最中も、彼が気になり何度か携帯の方に連絡してみたのだが、相変わらず繋がらない上に何も連絡もない…
どんどん不安だけが募っていったが、どうする事も出来なかった。
会社の方にも一向に村瀬は顔を出さず、会社の方からも彼の携帯に何回も連絡したらしいのだが、全然繋がらなかったそうだ。

◇◇◇◇

村瀬が仕事を休んで一週間位経った頃だろうか…
会社に彼の継母と名乗る女性から電話が入ったという…

継母の話によると、彼は今原因不明、病名不明の病気になってしまい、ほとんど動く事も出来なくなってしまったそうだ…
それで多分仕事に復帰するのも難しいと思うから、会社を辞めさせてほしいという話だったそうだ。

電話を受けた上司は、取り敢えず休職という形にして、傷病手当てを受けられてはどうかと言ったらしいのだが…
継母はそれを断り、退職させてくれと言って、近いうちに退職届けを郵送させてくれと言ってきたそうだ…

仕方なく受け取る形にしたそうだが、その時村瀬の事を色々聞いたそうだ。

彼は今病院にいるそうで、ほとんど寝たきりの状態だという事だ。
この時見舞いに行きたいと言ったらしいが、人に会わせられる状態ではないと断られたという…
そして彼の借りているアパートも近いうちに引き払うと言っていたそうだ…

私はそれを聞いた時、何か納得出来なかったし、やはり継母の存在が気になった。
本当に彼は病気なのか?
前から不安に思ってた事が現実になってしまったという気分だった。

その日の仕事帰り、村瀬のアパートに行ってみたが、やはり部屋には人の気配はなかった…

それから私は家に帰ると、またいつものように日記を読み進めた。

―井上陽子の日記―

平成23年7月13日 (水)

本当に辛い…
一日中体はキシキシ痛む
何か変わった病気じゃないだろうか?
私まで難病とかになってしまったら冗談じゃない
取り敢えず調子の良い時にアーちゃんに病院に連れて行ってもらおう。

平成23年7月22日 (金)

アーちゃんが新しい薬を持って来てくれた
新しい薬はとても楽だ
痛みが嘘のようになくなる
ただ強い薬で値段も高いみたい
銀行のカードをアーちゃんに預けた
本当に色々やってくれる、アーちゃんがいなかったらどうしてたんだろ?
迷惑ばかりかけてるよね…
ごめんなさい…本当にありがとう。

平成23年8月16日 (火)

ほとんど布団の上で過ごしてる
一日中変だ、フラフラしてしょうがない
痛みはないが何か変だ…
夏美は居間で立ったままさっきからニタニタ笑いながらこっちを見ている…
声を掛けても返事をしない…
大丈夫だろうか?

・・・・・・・・・・・・・・

本当にどんな薬が使われていたのだろう?
幻覚と思われる症状まで日記のあちこちに記されてあった…
この日記は読み進めるほど恐ろしい事が書かれている。

しかし銀行のカードを預けるとは…
それほどアーちゃんの事を信じていたのだろう…

確か村瀬の話ではこの親子が遺体で発見された時は預貯金等はほとんど残っていなかったと言っていたが…

日記を読む分だとまだ残ってそうな気がするが…
260万の電位治療器や月5万もかかる神眼根も買っていたみたいだし…
高い薬と言われ銀行のカードを預けたのなら、まだそれなりのお金は銀行に預けられていたのではないだろうか…

カードを預けるほど信用してるなら、通帳等のある場所も知っていただろうし…
家の合鍵等も持っていたのかもしれない…

最初から金が目的で親子に近づいたのなら恐ろしい事だ。
それについて、宗教が関わっていたのかアーちゃん一人の考えだったのか分からないが…

そういえば、村瀬の両親は家を建てると言っていた…
もしこれも関係あるのなら父親もグルなのだろうか?

イヤ…確かいつだったか、村瀬はこんな事も言っていたような気がする…

彼が実家を出た理由を聞いた時。
継母と再婚して父親は性格が変わってしまったと…
再婚する前は穏やかな性格で、優しい父親だったが、継母が家に住むようになってから、まるで別人になってしまったかのように、常にイライラしていて急に暴力的になったり、平気で理不尽な事を言ったりやったりしてきたという…
そして継母の言う事は何でも文句言わずやっていたという…

もしかしたら継母はドラッグを利用し、父親を洗脳していたのではないだろうか?
って事は…村瀬も…

何故今まで気が付かなかったのだろう…
それなら彼が急に明るくなって常に笑顔だったのも、変なネックレスで体の調子が良くなり、何をやっても疲れなくなったというのも説明がつく…

もっと早く日記を読んでいたなら彼を助ける事が出来たかもしれない…

やはり継母は日記に出てくるアーちゃんなのではないだろうか…
この日記が村瀬に見られた事に気付き、彼にドラッグを使用して洗脳していったのではないだろうか…

父親は親子から金を取る為か、それとも他に理由があって洗脳したのか判らないが、何か思惑があったのかもしれない…

しかしあの得体のしれない怪奇現象は何だったのだろう?
あれはどう見ても説明がつかない…
あれは普通の人間に出来る事ではない…
色々考えても答えは出てこなかった…

そして私はまた日記を読み進める事にした。

―井上陽子の日記―

平成23年8月28日 (日)

一日中吐き気がする、食事も取っていない、とにかくフラフラする。
アーちゃんが来てくれました
久しぶりにメロンを食べた、美味しかった
しばらくアーちゃんはセミナーで来れなくなるらしい…
代わりに教会の人が来てくれるみたい…
誰が来てくれるんだろう…

平成23年9月8日 (木)

今日も教会の人は来てくれなかった…
いつ来てくれるんだろう
アーちゃんに連絡しても繋がらない、忙しいのかな?
そろそろ誰が来てくれないと不安です。

平成23年9月15日(木)

今日も連絡がつきません。
薬ももう本当にありません
フラフラが止まらない
教会に電話しても分からないと言われた
頭がグルグル回っています
夏美の笑い声が一日中聞こえます
頭がおかしくなりそう…

平成23年9月16日 (金)

今日も連絡がつかない、体が動かない
夏美の面倒も見れない、食事も作れない、お菓子しか食べてない…
明日は何か作ってあげたい

・・・・・・・・・・・・・・

セミナーという言葉が出てきた。
これは村瀬も参加したセミナーの事だろうか?

しかし遂にアーちゃんは親子を放置したらしい…
金を取り、薬漬けにし、まともな判断を出来なくさせてから放置…
人間のやる事じゃないだろう…
親子も辛かっただろう…
薬でバッドトリップしたのか、禁断症状なのか判らないが、日記には、目眩、嘔吐、不安感、幻覚、幻聴等で苦しんでいる様子が書かれていた。

この日記を読めば読むほど、村瀬の事が心配になった…
彼は大丈夫だろうか?

◇◇◇◇

彼が会社を辞めるという話を聞いてから一週間が経とうとしていた。
相変わらず、彼からは一切連絡はない…

この頃、一度警察に相談しようと思った事があった…
しかし、確かな証拠でもあれば別だが、今の状態では多分相手にしてもらえないと思い、辞めてしまった…

そして、暇を見つけ村瀬のアパートまで行った事もあった…

アパートの前まで行くと、駐車場には彼の車はなかった…
多分実家の方にでも置いてあるのだろう…
そしてそのまま、アパートの前を通り過ぎて行こうとした時、彼の部屋の台所の窓が少し開いてる事に気が付いた。
閉め忘れかと思ったが、気になったので部屋まで行ってみる事にした。

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