【怖い話】苦狂日記 叫びの詩④/HN:忍冬

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何か変な事に関わらなければいいけど…
と思いながらも、嫌な胸騒ぎを感じていた。

最近の村瀬の変わり様や、セミナーの事、継母の存在も気になった。
そしてそれ以上にあの日記が気になった。

村瀬はもう解決したと言っていたが、あの日記のデータを保存してた物が次々に壊れるのは理解出来なかったし。
何となくだけど全ての元凶はあの日記なのではないかと思うようになっていった…

私は日記のデータが残っている会社に置きっぱなしにしてあったノートPCが気になり、そのまま会社に車を走らせた。

会社に着くと、丁度昼休みの時間で会社の中の人影はまばらだった。
私は自分の机からノートPCを取り出すと、その場で起動させてみた。
すると普通に起動してデータも無事だった。

それから直ぐに家に持ち帰り、日記を読もうとしたが、また得体の知れない気配に壊されたらたまったもんじゃないと思って、何処か安全な場所を探したが結局良い所も思い付かなかった。

本当は友人の中で、霊感ゼロ?のやつがいて、そいつと一緒に行けばどんな心霊スポットに行っても何も起こらない、霊的なものを一切寄せ付けない、生きる御守りみたいなヤツがいたのだが…

今回は何も起きないという保証は何もないし、何かあっても責任は取れない。
多分オカルト好きだから、頼めば嫌とは言わないと分かっていたが、迷惑はかけられない。

そいつ以外でも一緒、他の人には関係ない、俺が村瀬に頼まれて相談にのった事だし、今では自分から読み進めようとしている。

絵理子には怖い思いをさせてしまったが、他の人には迷惑はかけられない…

そしてこのノートPCの中のデータが最後の日記、多分あの気配が現れるのも、あと一回だと何の根拠もない自信もあった…

絵理子には悪いと思いながらも、私は日記を自分の家に持ち帰り、自室で日記を読み始めた。

―井上陽子の日記―

平成22年12月21日 (火)

今日は大変でした
夏美の容態が急に悪くなり、朝から病院にずっといました
今は落ち着いたのか寝ています。
最近夏美の調子が悪くなってきています
オーラメディカ毎日やっているのに…
不安です
明日またアーちゃんに相談してみようと思います

平成23年1月12日 (水)

今日夏美は一日中寝ていました
もう見てるのが辛いです
助けてください
月曜日にアーちゃんが凄い人を紹介してくれるみたいです
話によるとオーラメディカを売っている会社の関係者って言ってた。
凄い忙しい人で普通の人は会えない人みたい…
普通の人は会えないってどんな人なんだろ?
どっかの社長とかかな?
なんだかよく分からないけど、私達を助けてくれる人って言ってた…
今度こそ幸せになりたい…

平成23年1月17日 (月)

今日は不思議な体験をしました
真輪光教会という所に行ってきました
周りから先生と呼ばれてる人に会い、色々話をしたんだけど
先生には何でも分かるみたいでビックリした
不思議な力がある人みたいで、何人も病人を救ってるみたいです。
漢方薬みたいな物も貰えたし
何よりも夏美の病気を必ず治せると言ってくれたのが一番嬉しかった。
ちょっと遠いけどバスに乗れば通えるし
夏美の為に頑張ろう

・・・・・・・・・・・・・・

やはり夏美の体調が良くなっていたのはプラシーボ効果で一時的なものだったのだろう。
ある日を境に日に日に体調が悪くなっていく様子が日記に綴られていた。
しかしこの真輪光教会というのは何なんだろう?
宗教団体が健康食品を売り付けるという話は聞いた事があるが…
まさかバックに宗教がついてるとは思わなかった。

―井上陽子の日記―

平成23年1月29日 (土)

今日で先生に会えたのが3回目
会う度に凄い人だと思わされる…
本当に忙しい人みたいで教会にもあまり顔を出さないみたい
それよりもアーちゃんが真輪光教会の人だと思わなかったなぁ…
だから色々知ってたんだね

平成23年2月9日 (水)

遂に私達も真輪光教会に入りました。
これから毎日頑張って幸せを掴もうと思います
神眼鏡も買ったし、神眼根も買った
神眼根は一ヶ月分で五万円はちょっと高いけど…
これで夏美が良くなるなら
何より先生のパワーが夏美を治してくれるよね

『今日天使が舞い降りて
私達は解放される
苦しみだけの世界はもう見えない…
今なら高く飛べそうなの
漆黒の翼から苦痛で錆びてしまった羽が剥がれ落ちてゆく…
やっと綺麗な翼に戻れそうな気がする
やっと自由に羽ばたいていけそうな気がする』

・・・・・・・・・・・・・・

アーちゃんが真輪光教会の人間って事は…
このアーちゃんなる人物が本当に村瀬の継母なら…

私は村瀬の事が急に気になり、彼に電話をかけてみた、だが何をやっているのか分からないが繋がらなかった…
仕方なくLINEで「セミナーって本当に大丈夫なのか?本当に宗教と関係ないのか?」
とメッセージを残した。
これで彼が見てくれれば、何かしら返事をくれるだろう。

しかし考えてみれば、村瀬は一度日記を全部見ているはずなのだ。
全部見てる上で継母の言葉を信じて、セミナーに参加すると言っていた。
やはりアーちゃんと継母は別人なのだろうか?
色々考えても答えが出てくる訳ではなかったが、ずっと考えてしまっていた。

日記のデータを入れた物が次々に壊れていったのも不思議だったし…
ネックレス一つであんなに雰囲気が変わってしまった村瀬も不気味と言えば不気味だった。
そんなネックレスを持ってきた継母はもっと不気味だったし、気持ち悪かった。
そして謎のセミナー…

元はと言えば、村瀬が実家で日記の内容をデジカメで撮り、そのデータを持ってきた事から全ては始まった気がする。

やはり私はこの日記が気になってしまった。
全て読めば何か解るかもしれない…
そう思い私は日記を読み進める事にした。

―井上陽子の日記―

平成23年3月11日 (金)

今日は夏美の病院の日でした。
相変わらず同じ検査に同じ話
本当に日本の医療は進歩しているのでしょうか?
お金ばかり取られるし、薬だって高い
でも薬がないと辛いみたいだし
もうどうしたら良いのか分からなくなってきました
雅治助けてください
先生助けてください

平成23年3月15日 (火)

今日は一日中ダルかったなぁ
最近凄い疲れを感じる
夏美の身の回りの事をやるだけで疲れてくる
家の中も散らかってきたし、掃除しなきゃ…
気が付いたら神眼鏡の前で何時間も過ぎている

平成23年4月4日 (月)

痛い、痛い、朝から晩まで
痛くない時はないの?
私だって痛い所いっぱいあるんだよ
夏美お願い…たまには私を一人にさせて…
ごめんなさい…
辛いのはわかっているの
でもね…お母さんも辛いんだよ

平成23年4月5日 (火)

わたし…何やってんだろ…
昨日はとんでもない事をした
ごめんなさい…
夏美には私しかいないのに…
私が見捨てたらどうするの…
明日はアーちゃんが来てくれる
会合もあるし、先生に会えたらいいな
先生に色々相談したい
どうか夏美を救ってください
そして私を許してください…

『理解していると思っているだけだった…
自分で自分を貶めても何も癒されない
ごめんなさい…信じてほしい…
ごめんなさい…愛してほしい…
ごめんなさい…』

・・・・・・・・・・・・・・

夏美の症状は日に日に悪化し、陽子も心身共に、疲れてきてる事が日記に記されている。
ストレスも相当なものだったのだろう。
内容こそ書いてないが、夏美に対して酷い行動をとった事も伺える。

そして病院や日本の医療に対しての不平不満…
私も難病持ちなので彼女の気持ちはよく解る…
確かに毎回同じ検査はあるし、診察でも大体同じような事しか言われない…
でもこれは仕方ない事なんだよ。
医者も治療法が分からないからね…

そして一つ気になったのが神眼鏡という物だ。
これはどういう物なのだろう…
多分、カルト宗教お決まりの売り付けられる壺や掛け軸のような物だと思うが…

あと神眼根。一ヶ月で五万と書いているが、これは多分健康食品か薬のような物だろう。
これもカルト宗教お決まりのパターン…
しかし五万は高過ぎだろう…

そしてまた日記を読み続けようとした時に、机の上に置いてあった携帯電話が鳴った。
電話に出てみると、今朝PCの修理を依頼した店からだった。

話によると、故障した原因がハッキリしない上に、データが保存してあるハードディスクまで壊れてるようだった…
これを修理するには専門の業者に頼まないといけないそうで、しかも修理に出しても直る保証もないらしい…

色々話をしたが、結局買い替える事になってしまった。
別に大したデータが入ってた訳じゃないのだが…
新しいPCを買う金が痛ましかった。

気が付いたらもう夕方になっていたらしい。
夢中で日記を読んでいた。

もう直ぐ絵理子が仕事から帰ってくる。
そろそろ日記を読むのを辞めた方がいいだろう。
絵理子は幽霊の類いは苦手で、その手に関係ある物を見てるだけで嫌な顔をする。
私はノートPCを机の引き出しの中へしまった。

◇◇◇◇

その日の夜、村瀬からLINEで「何も心配はないですよ、何かあったら途中で帰ってきますから。心配しないでください」
と返事がきていた。
私はそれ以上何も言わなかった…
凄い嫌な予感はしてたが、多分今の村瀬に何を言っても無駄なような気がしたからだ。

◇◇◇◇

それから仕事も忙しく、日記をなかなか読む暇もないまま、時間が過ぎていった。
気が付けば、村瀬が出張から帰ってきて、そのまま有休を取り、セミナーに参加してしまっていた。

私は心配で、セミナーの内容を聞く為に、何度か村瀬に電話をしたり、LINEでメッセージを送ったが、一度も連絡もなく返事がなかった。

セミナーの最中は、携帯の使用を禁止されているのかな?
と思ったが、セミナーが終わる日時を過ぎても何も連絡はなかった…
それどころか有休が終わっても、村瀬は会社に顔を出さなかった。

会社の方には継母と名乗る人物から、体調不良の為2~3日休ませてほしいという電話があったという。

私は心配になり、仕事帰りに村瀬のアパートを訪ねたが、具合が悪くて寝ているのか、それとも留守なのか…呼び鈴を何度押しても彼は姿を見せなかった。
携帯の方にも何度か連絡してみたが相変わらず繋がらない…
私はますます心配になったが、それ以上どうする事も出来なかった。

それから私は、暇を見つけては日記を読むようにした。
村瀬の事や、彼の継母の事、今までの怪奇現象について分からない事ばかり…
日記に何か手掛かになるような
事は書かれていないかと思い、読み進めた。

―井上陽子の日記―

平成23年4月21日(木)

先生ありがとうございます
薬の効果バツグンです
夏美が前のように痛いと言わなくなりました
そしてよく笑うようになりました。
今日は何が面白かったのか、テレビを見て一日中ケタケタ笑っていました。
私も薬のお陰でやる気が凄い湧いてきました。
前のように疲れもありません
流石先生の力が入った薬ですね。

平成23年4月27日 (水)

今日先生にあまり外に出るなと言われました。
外には細菌がウヨウヨしていて、夏美の病気はそれが原因と言っていました。
先生は何でも分かるみたいですね。
もう病院も必要ないと言われました。
こんな事ならもっと早く先生に会いたかったです。
外の用事もアーちゃんや教会の人がやってくれるし
これでずっと夏美のそばにいてあげられます。
ようやく光が見えてきた気がします。

平成23年5月30日 (月)

今日は一日中フラフラします
とっても楽しくもあり
辛い時もあります
夏美は相変わらず笑っています。
幸せだね、笑えれば
幸せだね、楽しければ
フラフラが止まらないので、今日は早めに寝ます。

・・・・・・・・・・・・・・

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