【怖い話】苦狂日記 叫びの詩①/HN:忍冬

苦狂日記 叫びの詩1/HN:忍冬

個人名や団体名等、一部の薬物を除き全て仮名で書かせてもらう…

そしてこれは、今でも謎が多くて分からない事だらけなのだが…
なるべく順をおって書いていこうと思う…

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「古田さん、ちょっといいスか?」

事の始まりは。会社で帰り支度をしてる時に、後輩の村瀬に相談に乗ってほしいと持ちかけられた事からだった…

村瀬とは結構仲が良く、家に遊びに行ったり、よく一緒に飯を食いに行く間柄で、相談等にもよく乗ってあげていた。
いつもは大した事のない相談で、ただ話を聞いてほしいみたいな事ばかりだったのだが、その日はいつもと違って真剣な表情で話し掛けてきた。

相談というのは村瀬の継母の事で、見てはいけない物を見てしまったかもしれないというものだった…

村瀬は10歳の時に本当の母親を病気で亡くしている。
その後、父親が男手一つで彼を育て上げ、継母と再婚するまで一緒に暮らしていたそうだ…
だが父親が再婚し、継母が一緒に暮らすようになってから、父親と仲が悪くなっていったという。

元々は父親とは仲が良かったそうだが、継母と性格が合わなかったらしく、それが原因で父親とも喧嘩をするようになっていったそうだ…

そして間もなく村瀬は、実家を出てアパートを借り、一人暮らしをするようになったらしい。

そして相談の内容なのだが…
村瀬が相談しに来る約半年位前に村瀬の親戚が二人亡くなっている。
正確には亡くなっていたと言った方が良いかもしれないが…
一人は村瀬の父親の妹で叔母の井上陽子、もう一人は陽子の娘で井上夏美。
この親子は死後1年以上経過していて、白骨化した状態で発見されたそうだ。

娘の夏美は、自室の布団の上で仰向けの状態で発見され、死因は不明…
母親の陽子は、寝室のドアノブに電気コードを巻き付け、ドアに持たれかかり、そのコードで首を吊った状態で発見された。

そしてその寝室には数万円の現金と、枕元には陽子の遺書と思われる、ノートか何かの切れ端。そして大量の睡眠薬があったという。

この睡眠薬は夏美が難病を患っていて、その病気の為に病院から処方された物だと分かった。

遺書らしきものには『疲れました… 夏美を楽にしてあげたい、私も楽になりたい』
と一行だけ書いていて、裏には日付が記してあったという…

この事から、この日付の日に親子は、無理心中したのではないかという事だった。

夏美の病気の状態はかなり酷く。日常生活も色々制限があり、陽子の介助が必要だったという。

その為陽子も仕事をせず、ほぼ一日、夏美に付きっきりの状態だったそうだ。

この事から、先の見えない難病と介護の疲れから心身共に追い詰められ、心中したのであろうとの事で警察に処理されたらしい…

だが謎も多かったという。
というのは、陽子の夫、雅次は、親子の遺体が発見される約三年前に交通事故で他界していて、多額の保険金が入っている。
他にも雅次は、地元では有名な建設会社の幹部で、かなりの収入があり、蓄えもそれなりにあったというのだ。

それが雅次が亡くなって約二年位の間に、何に使ったのか分からないが、現金は数万円、預貯金等もほとんど残っていなかったらしい…

しかも遺体が発見された時。家の窓等にはビニールシートとビニールテープで目張りしてあったそうで、死臭が外に漏れにくくなっており、白骨化するまで誰にも気が付かれないまま、1年以上も経過してしまったという。

これも不可解で。家は雅次が亡くなる三年位前に建てたばかりで、まだ隙間等は全然なく、目張りをする意味が分からない。

他にも不自然な点がいくつかあったらしいが、それ以上は警察も調べなかったという事だ。

そして先週。村瀬の携帯に父親から電話がかかってきた…

電話の内容は。どうやら父親達は家を建てるらしく、引っ越しする前に実家に残っている彼の私物を取りに来いというものだった。

村瀬は(陽子叔母さんの葬式から1年も経ってないのに、家なんて建てるなよ)と思いながらも、近いうちに取りに行くよと父親に告げたという。

そして彼は実家の合鍵を持っていたし、両親にはあまり会いたくなかったので、二人が不在の時を見計らって、物を取りに行こうと思ったらしい。

彼の父親(信治)はサラリーマンをしており、いつも帰りは遅く。継母(朱美)は総合病院で看護師をしていて、両親が家にいない時は頻繁にあったというのだ。

そして彼は暇をみつけ。両親が不在の時に実家に物を取りに行ったという。

まず自分が使ってた部屋に行き、必要な物は車にのせ、要らない物はゴミ袋にまとめていったそうだ。
そして、片付けをしてる最中。ふと、亡くなった母親の写真をあまり持っていない事を思いだし、母親のアルバムを探しに両親の部屋へ入って行ったという。

そこにはもう継母の物が色々あり。ちょっと気が引けたのだが、あまり触れないように押し入れの奥から母親のアルバムを出したそうだ。

その時。押入れの隅に見慣れないノートを見つけ、何だろう?と思い、ノートも引っ張り出したという。

中を見ると。どうやら日記のようで、最初は継母が書いた物だと思い、読むのを止めようとしたが、興味が湧いてしまい読んでしまったらしい。

すると変な事に気がついた。どうやら日記は継母の物ではなく、亡くなった陽子叔母さんの日記だという事が分かった。
一瞬形見分けのような感じで、父親が持って帰ってきたのかな?と思ったらしいが…
読んでいく内に妙な違和感を覚えたという。

日記はA4サイズのノートに。
夫の雅次が亡くなった日からほぼ毎日、何かしら書いてあったそうだ。

ノートは全部で10冊以上あり。最後の方を探して読んで見ると、陽子親子が死に至る経緯が記されてあったという。

日記に書いてある事によれば。到底心中など出来る状態ではなく、ある人物によって殺されたかもしれない事が書かれていたというのだ。

その人物というのは日記の中ではアーちゃんと記され。村瀬の考えだと、そのアーちゃんなる人物は村瀬の継母ではないかという事だった…

私は一瞬固まってしまったが、何故村瀬がそんな事を考えたのか話を聞く事にした…

「なあ、何でそんなに継母を疑うんだ?」

「聞いてくれますか?」

「ちょっと興味がでてきたからね…」

「そうですか。じゃあまず、あの日記が警察に調べられていたら、多分無理心中という形で片付けられるのはおかしいんですよね…
そして日記は実家の押入れに隠すようにしまってありました…
それと継母の名前は朱美…アーちゃんと呼ばれても不思議ではないんですよ」

「……それだけじゃあさ、俺には訳が分からないし…
第一そんなに気になるならその日記持って一度警察に相談してみたらどうだ?」

「もう半年以上前の事ですから…
第一日記を持ち出し警察に相談して俺の勘違いなら洒落にならなくなりますよ。それでなくても継母とは仲悪いんですから…」

「でもなぁ…その日記にどんな事が書かれていたか分からないし…
ただ漠然と言われても…アドバイスの仕様がないよ。」

「じゃあ一回見てくれませんか?
なんとかしてその日記手に入れますから。どう思うか一度見てくださいよ」

「分かったけど。無理するなよ、ヤバイ事になったら警察とかに相談しろよ」

「分かりました。古田さんに相談して良かった。他にこういう相談出来る人いなかったから…」

「分かったから今日はもう帰ろう。腹減ってきたよ」

そしてその日はそのまま村瀬と別れ家に帰った…

◇◇◇◇

それから3日位経った頃だろうか…
仕事の一服休みに村瀬が話かけてきた…

「日記手に入ったッスよ」

と言って、村瀬の手にはデジカメが握られていた。

どうやら彼は、流石に日記そのものを持ってくるのはマズイと思ったらしく。両親が居ない時に日記の内容をデジカメで撮ってきたらしいのだ。

私は取り敢えずそのデジカメを預かると、日記を写したデータを、会社に起きっぱなしにしてあった、自分のノートPCにコピーした。

そして村瀬も自分の家のPCにコピーしたらしいので、仕事帰りに村瀬の家に寄り、二人で日記の内容をゆっくり見てみる事にした。

仕事を終わらせると。二人で真っ直ぐ村瀬の住んでるアパートへと向かった…

彼のアパートは何処にでもある様な、外に階段が付いた二階建てのアパート…
彼の部屋は二階の一番奥で、彼の部屋の玄関ドアの横には彼の私物が並べられて置かれており。半分物置状態になっていた。

村瀬は玄関の鍵を開け「どうぞ」と言って中に入って行った…

部屋の中に入ると。いかにも男の独り暮らしって感じで、必要な物以外何もない殺風景な部屋だ。

「適当に座ってください」

彼はそう言って奥の部屋で着替えをし始めた。

私はソファーに腰をかけると、直ぐに着替えを済まして彼は奥の部屋から出てきた。

「早速日記見てみましょうか」

彼はそう言うとPCの電源を入れ起動させた。
そして日記のデータが入っているフォルダを開いた…

するとそこには膨大な数のデータが入っていた…
どうやら彼は日記の中でも後ろの4冊位を丸々写してきたみたいで、その量は凄まじく、重要な事が書かれている所を見つけるのに少し時間がかかった…

日記の内容を書いていこうと思うが、流石に全部書くとその量で気が遠くなるので、抜粋して書いていこうと思う…

―井上陽子の日記―

平成22年5月12日 (水)

何を目標にしたら良いのでしょうか?
雅次が死んでからというもの何も良い事がない
夏美の病気も日に日に悪くなる一方
本当に辛いです…

平成22年5月20日 (木)

今日は夏美の病院の日でした
ようやく夏美の病に病名が付いた
病名は線維筋痛症
初めて聞く名前だった
原因不明、治療法不明の病気らしい
難病や奇病と言われてるらしい
ますますこれからの生活が不安です

平成22年5月31日

最近夏美の身の回りの事をやっているだけで、一日が終わるような気がする…
こんな生活になってから、どのくらいの時間が過ぎたんだろ?
今はまだ蓄えと、雅次の残してくれた保険のお金があるので大丈夫だけど…
いつまでもこんな生活が続くのなら不安です
夏美の元気な姿が見たい
何か良い治療法が見つかれば良いのだけど…

・・・・・・・・・・・・・・

「古田さん、線維筋痛症って知ってます?」

「ああ…知ってるよ
線維筋痛症ってのは全身に凄まじい激痛が走る難病だよ
ていうか、この夏美って人、従姉妹なんだろ?
病気の事知らんのかい?」

村瀬は複雑な顔になってしまった…

「夏美ちゃんとは、あまり会った事がなくて…
最後に会ったのが確か夏美ちゃんのお父さん、雅次さんが亡くなった時だったかなぁ…
その時にはもう体の調子が悪かったみたいだけど…
そんな病気になってるとは知らなかったんですよ。
その後、夏美ちゃん体調悪くしてほとんど寝たきりになったっていうのは聞いてましたけど…」

と言って村瀬は冷蔵庫から発泡酒とお茶を出して、酒を飲めない私にお茶を渡し、自分は発泡酒をグビグビと飲み始めた…

「村瀬、実は俺も難病持ちなんだよ」

村瀬は一瞬固まり、人の顔をまじまじと見てきた…

「…見た目じゃ分からない病気はいっぱいあるよ…
それより難病って何で難病って言うか分かるか?」

「いや…分からないッス」

「難病とは原因不明、治療法不明で後遺症が残る可能性がある病気…
そして経過が慢性にわたり、介護等に人手を要する為、家庭の負担が重く、精神的にも負担の大きい病気の事だよ…
まぁ俺の病気は難病の中でもポピュラーな病気で、特定疾患の中に入ってるから助かってるけど…」

村瀬は複雑な顔を更に複雑にした…

「特定疾患って何ですか?」

「特定疾患ってのは難病の中でも積極的に研究を推進する必要のある疾患で、厚生労働省が実施する難治性疾患克服研究事業の臨床検査研究分野の対象指定された疾患の事だよ」

「イマイチ解らないッス…」

「簡単に言えば、難病の中でも患者数が多く、治療法の発見が早く求められてる疾患の事。
そしてその疾患者に対し、国である程度面倒見るので、研究の対象者になってくれって事だよ」

「研究ッスか…」

「言い方を変えれば、人体実験の対象者になってくれって事…
特定疾患の申請にはそういう事に対しての同意書にサイン、捺印をして申請するんだ…
しかも申請や更新する場所は役所とかじゃなくて保健所なんだよ…」

「保健所って…」

「まるっきり病原体扱いだろ?でもこの制度のお陰で大分助かってる。
無かったら大変だよ、診察、検査、薬等の病院代が治療法が確率され治るまで、延々と払わなければならないからね…
その人の症状によっては毎月莫大な治療費がかかる訳だし…
だから同じ難病でも特定疾患対象外の人は気の毒だと思うよ…
ちなみに線維筋痛症は現時点では特定疾患の対象外だよ…」

村瀬は残ってた発泡酒を一気に飲み干すと、冷蔵庫から新しい発泡酒を出してきた…
そして私達はまた日記を読み始めた…

―井上陽子の日記―

平成22年6月9日 (水)

最近夏美の容態が少し落ち着いてきた
あのリリカという薬を飲んでから痛みが和らいできたみたい
前のように痛いと叫ばなくなった
でも…
叫ばなくなっただけで痛みはあるんだろうね
夏美の辛そうな顔を見るのは何よりも辛いよ…

平成22年6月19日 (土)

信兄が再婚したらしい
真由美さんが亡くなってからもう10年以上経つし、信昭も大きくなったし、信兄も新しい人生を送りたいのかもね
幸せになってほしい
私達にも幸せが訪れないかな…
今の私には夏美が全て…

平成22年7月2日 (金)

朝から晩まで痛いと言っている
下痢も続き、外出なんて出来る訳がない
でも動かないと、筋肉が固まって余計動けなくなるらしい…
可哀想…
何故夏美なの?
私が代わってあげたい
辛いよ…見てるだけで辛い
夏美はもっと辛いんだろうね
雅次見ていますか?
夏美は頑張ってますよ
お願い…助けてあげて…

・・・・・・・・・・・・・・

>>続きを読む

 
  • 匿名

    続きが気になるう~

     

世にも奇妙な怖い話や都市伝説から不思議体験スピリチュアルまで…オカルト小説投稿/2chまとめサイト。1万3千話超えの厳選物語を貴方に★