【怪文書】アクアリウムが趣味の男

アクアリウムが趣味の男

〈…次のニュースです。昨夜○○区○○でまた通り魔による無差別殺傷事件がありました。警察は一連の事件を同一犯の犯行と見ており、日が暮れてからの1人での外出は控えるよう注意を促しています〉

まただ。
先月から、俺の住んでるアパートの周辺で通り魔殺傷事件が相次いでいる。
これでもう四人目じゃないか。

~♪
ケータイが鳴った。彼女からだ。
「もしもし?またユウジの家の近くで事件あったってニュースでやってたけど、大丈夫?」
心配性で、年下の彼女。いつ聞いてもかわいい声だ。

「あぁ、俺は大丈夫だよ。夕方に帰宅するし、夜中は外に用事がないからね。それより、かってに俺の家に来るなよ。危ないから。こっちに来るときは必ず俺が送り迎えするからさ」
「ありがと。…でも、心配だなぁ」
「大丈夫だよ。うん、じゃぁまた、週末な」
と言い電話を切った。

俺は時々、彼女は心配性すぎるんじゃないかと思う。
お互い違う会社に勤めているから、休みの日が合うのは日曜日だけだ。
いままでだったら彼女が休みの時に合い鍵で俺の家に自由に出入りしていたけど、こんな事件があったからにはそうは行かなくなった。

俺はぼーっと、水槽を見つめた。
数年前趣味としてアクアリウムなるものを始めたのだが、ハマった。
部屋が丸々水族館状態。彼女は僕のこの部屋をとても気に入ってくれている。女の子だからロマンチックなものが好きなのだろう。
彼女が楽しんでくれるから、どんどん水槽の数を増やした結果、床の実質稼働域は4畳分位になってしまったが。

週末。彼女を迎えに行き、俺の部屋で過ごすことになった。
コンビニで買った缶チューハイの入ったビニール袋を片手に彼女は「おじゃましまーす」と言い、靴を脱ぐのに苦戦している。女の靴はめんどくさそうだ。
「やっぱ俺の部屋、狭くなりすぎたかな?」
水槽を置きすぎて彼女に嫌われるのもイヤだからそれとなく確認。
「…確かに広くはないけど…でも、海の中にいるみたいで癒されるからユウジの部屋、私好きだよ」
彼女の笑顔。アクアリウム、やっててよかった。

それから僕らは酒を飲み、録画しておいた映画一緒に見て見て、シャワーも済ませた。
「そろそろ寝よっか」
水槽だらけの部屋だけど、一応ベッドくらいはちゃんと置いてある。
「お薬、飲んだ?」
電気のひもを引っ張った俺に彼女は慌てて言った。
「あ、忘れてた…てかまだ飲む必要あるかな?」
「私は飲んだ方が良いと思うんだけどな」

少し前、僕は眠りが浅いのか睡眠不足が続いていた。薬を飲み始めてから寝つきがよくなった。
でも最近特に睡眠不足を感じていなかったので、薬を飲まない日が増えた。
「薬飲み過ぎても体に悪いような気がするし、今日は疲れてないから飲まないでおくよ」
「…そう?大丈夫?」
彼女は心配そうに僕の顔を覗き込んだ。
「大丈夫大丈夫」

翌朝、僕が目を覚ますともう彼女は起きてテレビをつけていた。
〈…おはようございます。朝のニュースをお伝えします。連続通り魔が、また○○区に現れました。犯行手口、時間帯、場所から、やはり今までの犯人と同一犯と考えられます〉

「またぁ?怖いわね…あ、おはよう!コーヒー飲む?」
「あぁ、お願いするよ」
「さっきのニュース、見た?」
「うん、びっくりだよ。君が俺の家にいるときにこんな物騒なことがあったなんて。しかもさっきの映像的に、歩いて15分もかからないところにある公園のあたりだと思うんだ。…なんかだんだん事件現場が俺の家に近づいてきてないか?」
俺は熱々のコーヒーをすすりながら事件について考えていた。

「えっ、うそ…」
「最初は一番近くの○○駅のほうだったろ?たしか」
「たしか、そうね」
「んで二件目が駅から家に来る途中にあるコンビニの裏だったっけか」
「うん」
「そしてこないだのがちょっと行った先のコインパーキングだったろ。微妙かもしれないけど家に近づいてきてるような気がするんだ」
「…引っ越した方がいいんじゃ?」

「うーん、こんなにたくさんの水槽を抱えて動くのはちょっと引けるんだ。それに、犯行は絶対24時以降3時未満だろ。その時は屋内にいれば襲われることはないんじゃないか?鍵だって一個増やしたし、窓にも一応簡単な防犯シート貼ったから入ってくることはないだろう」
「そう?…もしあなたがよかったら私の家に避難してきてもいいのよ?両親にはちゃんと話すし」
「いや、守るべき人の親御さんに守られに行くなんてなぁ。それに、魚達に餌やらないとだめだし」

うーん、と彼女は何かを考えているようだった。
俺はキラキラと反射する魚達をポーッと見ていた。

事は、二週間ほどしておきた。
俺と彼女の仲は揺るがないものだったはずだ。
週末彼女が僕の家にきて、一緒に眠った。
朝起きると彼女はいなかった。
何かあったのかとケータイで電話をかけてみても「…現在使われていないか…」だ。

ま、まさか夜中のうちに何者かにさらわれてしまったのか!?いや、そんなはず無い。
彼女の荷物は、きれいに無くなっていた。歯ブラシも、コップも。
俺、もしかしてフられた……!?!?
まさか。いきなりすぎる。そんなはずはない。
落ち着こう。とにかく落ち着こう。水槽を見て心をなだめるんだ。

「あれっ?」
驚きが思わず声に出てしまった。
最近新設した水槽の、ヒトデが一匹残らずいなくなっていた。
水槽の下、チェストとの隙間になにか紙が挟まっていた。なんだろう、と紙を開いた。

〝逃げて〟

彼女の文字だ。彼女は俺のことを本当に愛してくれていたんだと心の底から実感した。
俺は夜逃げのようにして水族館のようなこの部屋を去った。

 
  • ダイ

    ヒトデはひとを食うんだろう、アクアリウムを嗜好にしたてあげたのも彼女、連続殺人鬼も彼女、無理くり寝させるのも彼女、でも男の事は本当にあいしてるから…

     
  • 匿名

    な、ナポリタン…!?

     
  • 匿名

    ナポリタン?

     
  • 匿名

    単純に考えるとヒトデ=★→ホシ→犯人
    逃げてで主人公が犯人とかになるけど、
    そんな簡単じゃないよな。
    自分を俺と僕の一人称を使い分けてたり、使い分けてる規則性があるのかないのか。
    24時以降3時…普通なら0時とするところをなぜ24としたか。
    新設した水槽のヒトデのみを無くしたのか、他の水槽のヒトデは取らなかったのか
    殺傷事件で4人の被害者が出ているが死者の数を明らかにしていない。必要ない情報として切り捨てたのか、そこに作者の思惑があるのか。
    薬を飲まなくなった話とか謎だらけだな
    ミスリードを誘っているみたいだ

     
  • 匿名

    男か女かのどっちかが犯人でわ?

     
  • 匿名

    彼女は先に逃げ出したのか?

     

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