【怪文書】完璧な代行

完璧な代行

〝草刈りから要人抹殺まで。高品質のサービスを保証します。Email*******.jp〟

とうとう見つけた。これぞ、私の望んでいた何でも屋だ。Aという名前の男が商っているらしい。
ネットで、数週間も前から良さそうな何でも屋を探していた。が、どれも〝法律に触れることはできません〟と書かれていた。やっと、法律に触れることも請け負ってくれる何でも屋を見つけた。

私は昔から根っからの怠け者で、何をするのも基本的にめんどくさい。私の代わりに動いてくれる人を捜していた。
それに私は一応会社に勤めてはいるけど、俗に言う根暗オタク。パソコンの前で過ごす時間が一番長い。パソコン、ネットはすごい。指先でなんでも出来ると言っても過言ではない。

金に糸目はつけなかった。私は早速書かれているアドレスに依頼内容を送信した。

『何でも屋A様。ホームページを見ました。法律に触れることも依頼可能とあったので依頼しようかと思います。ストーカー代行をしてほしいのですが、可能でしょうか?』

返事は、すぐに来た。

『○○様
ご依頼誠にありがとうございます。
私は個人で商いを営んでおります。多少のリスクも承知の上です。今回○○様が希望される案件ですが、もちろん引き受けさせて戴きます。
しかし、程度によっては非常に高額の報酬金を掲示せざるを得ません。それでもよろしければ、もっと詳しくご依頼内容をこちらに送信願います』

私は、会社の人間には内緒だが、今人気のあのアイドルに夢中だ。
独身、彼女なし。私には、みぃたんしかいない。みぃたんしか、私の本当の気持ちをわかってくれない。

みぃたんに、私の存在を主張したかった。
ファンレター、ライブ…みぃたんと触れあえる機会はあった。が、他のファンと同じ条件でしかみぃたんと接触できないことに私は不満を覚えた。
みぃたんと仲良くなりたい。
みぃたんを、私だけの物にしたい…

私は、みぃたんへの熱い想いを何でも屋にぶつけた。

〝何でも屋A様
私は、とにかくみぃたんの一番そばにいたいのです。みぃたんを、私だけの物にしたいのです。まずみぃたんのケータイ番号、アドレス、住所を知りたいです。
住所はファンの間で噂されてるマンションがありますが、どうもデマのようです。調べて、報告していただけますでしょうか。お金に糸目はつけません。調査だとおいくらになりますでしょうか?〟

『○○様
みぃたんさんのケータイ番号、アドレス、住んでいるところを調査、ですね?でしたら、着手金として始めに3万円、成功報酬として後に10万円、調査費として2万円、計15万円となりますが、よろしいでしょうか?
万一、私がご依頼内容を達成できなかった場合、全額返金致しますので、ご安心を。この手のご依頼ですと、期間的に2週間ほどお時間をいただきますが、よろしいでしょうか?』

満足だ。たった15万円でみぃたんに近付けるなんて。
確かに私は同期の同僚より給料は少ないし、みぃたん関連の出費で毎月カツカツだ。だが、15万でみぃたんと仲良くなれるのなら、安いものだ。

それから二週間たった頃、私の元に茶封筒が届いた。送り主は例の何でも屋Aだった。
封筒を開けると中には地図が入っていた。尺度を変えたパターンで、みぃたんの家がわかりやすく記されていた。
同封の手紙には、みぃたんの住所とケータイ番号、アドレスが書かれていた。
私は興奮して震えが止まらなかった。

茶封筒の中身として、もう一つ改まった封筒が同封されていた。
何でも屋Aへの振込用紙が入っていた。私はすかさず銀行に行き何でも屋Aに15万振り込んだ。
そしてシャワーを浴び、身なりを整えてから書かれているみぃたんのアドレスにメールをしてみることにした。

『はじめまして(^o^)みぃたんだよね?いつも応援しているよ(^o^)』

~♪
メールの着信音が鳴った。みぃたんからもう返事が来たのか!?
私は鼻息荒く震える手でケータイを開いた。

『○○様
ご依頼を遂行いたしました。もしご不満があれば、全額払い戻しますが、満足なされたでしょうか?』

なんだ、何でも屋Aからのメールか。みぃたん忙しいから、返事は遅くなるだろう。
私は何でも屋Aに返信した。

『すごく満足しました!本当にやってくれたんですね…感無量です。できれば、また依頼したいのですが、一回目の依頼よりリスクの高いものになると思います。一言で言うと、みぃたんとの私物がほしいのです。
私にも仕事がありますし、私は犯罪をしたくありません。どうか私に成り代わってみぃたんをつけ回して、みぃたんが出したゴミを漁ったりして、私にそれを送ってください。そして、最後にはみぃたんと結婚したいです。よろしくお願いします』

『はい、了解いたしました。依頼者様の気持ちになって、全て責任を持って代行させていただきます。…言い忘れていましたが、私の仕事は完璧です。このまま本当にご依頼を実行していってもよろしいでしょうか?
今一度、考えてもよろしいかと思われます。不躾なお言葉失礼しました』

完璧に実行してくれるなら全く問題はないだろう。何を今更意思の確認をしてきたんだ?あぁ、成功報酬を払い続けられるのかを心配してくれたのか?大丈夫だ。私のみぃたんにかける想いはお金に換えられないほどだ。

どうやってみぃたんの私生活を覗こうかな。すごく、胸がときめいた。

~♪
『はじめまして(´▽`)ノどぉやって私のアドレス知ったのぉ?ワラ でも私のファンって言ってくれてうれしいです(o^^o)
みぃたんより♪』

みぃたんからメール来た!!
信じられないけど、夢みたいだけど夢じゃない!現実だ。私は、みぃたんとメル友になれたのだ!

みぃたん…みぃたんの家行きたいよ…でも遠いし、不審者と思われたくないし…でもせっかく住所手に入れたし
あーどうしよう。
なんて贅沢な悩みなんだろう。
みぃたんに嫌われたくないから、みぃたんの家に行くのはまだやめておこうかな。ちゃんと行って良いか聞いてからにしよう。

それから私は、数回に及んで何でも屋Aにみぃたんの調査を頼んだ。金さえ積めば、警察に捕まらずストーカー行為ができるなんて。
みぃたんの下着も手に入れたし、みぃたんが使った後のストローも手に入れた。何でも屋Aが代わりにやってくれて、送ってくれたのだ。
貯金も保険も何もかも、何でも屋Aへの成功報酬に当てた。財産が底をついたので、闇金からお金を借りるようになった。

私のみぃたんへの支配欲は、日に日に募っていった。みぃたんとは日に2、3回メールのやりとりをしていたが、どれもたわいない内容で、本題に踏み込めないでいた。
恋愛経験もなく草食系の私は、積極的にみぃたんを何かに誘うようなことはできなかった。

みぃたんとの色々なことを妄想しながら日々を送った。
たまに来るみぃたんからのメールの返信。少し気になる部分があった。みぃたんのアドレスは、女の子にしては珍しく、初期設定のままだった。

私はみぃたんからのメールをじっと待ってる間手持ち無沙汰だったので、何でも屋Aにメールしてから寝ることにした。

『何でも屋A様
私は本当にみぃたんが好きすぎてどうしようもありません。付き合いたいです。本当に結婚したいです。お金なら出しますのでなんとかしてください』

半年後
みぃたんが突然チームから脱退して、芸能生活を引退することになった。
理由は、一般男性との結婚だった。

私は開いた口が塞がらなかった。
なぜみぃたんは私以外の男と結婚したんだ!?!?話しが違うじゃないか。
怒りのメールを何でも屋Aに送りつけた。

数十分後、何でも屋Aから返信が来た。

『○○様、なにか勘違いされておられませんか?私はなんども言いました。私の仕事は完璧だ、と。あなたは言いました。自分の代わりにみぃたんをストーカーしてほしいと。そして、恋仲になること、結婚すること。

私は完璧にこなしましたよね?あなたの代わりにみぃたんと交際し、結婚しました。なにが不満だというのです?』

それきり何でも屋A とは連絡が取れなくなってしまった。
なぜだ?…何でも屋Aめ、Aがみぃたんと結婚!?ありえない。デタラメに決まってる。結果的に私とみぃたんを結婚までもっていけなくてバックれやがったな!くそっ。こんなに腹が立つことはそうそうない。

私は、別の何でも屋、もしくは探偵をネットで探した。探しに探した。

〝ゴミ拾いから宇宙侵略まで。満足度No.1ご依頼はこちらまでEmail***********.jp〟

私は早速、新しく見つけたBという何でも屋にメールを送った。

『はじめまして。○○と言います。率直にお聞きします。Aという何でも屋を知っていますか?私は何でも屋Aに頼みごとをして、料金も払いました。なのに突然Aと連絡がとれなくなりました。Aと直接会って話したいことがあるのです。居場所や連絡方法を調べてくれませんか?』

『メール、ありがとうございます。何でも屋Bです。何でも屋Aは、私共の業界でも有名な、悪質な何でも屋です。私の元にもすでに数名、Aからの被害を取り戻したいというご依頼がありました。良い機会ですので私と一緒に、何でも屋Aを追い詰めましょう!まず着手金として2万…』

 
  • 匿名

    何か、いろいろと惜しい…。怪文書なんだからもっと過激な展開を予想してた。投稿者の真面目な人柄が逆に足枷になってる。もっと弾けてもいいんじゃないか?たまには(笑)

     

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