【怪異】 盆の湖畔②/HN:こげ

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視力を取り戻したとき
不気味な生首はもう…いなかった。
異臭がテントの中に立ち込め…
それが夢でも幻でもなかったという証が残されていた。
再び轟音…今度は少し遠い…正体は雷だった。
テントの生地が大きくはためき、
鬼哭のような音をたて突風が吹きつけてきた。
未明の急激な天候変化…
みるみる外は大荒れになる。
屈斜路湖の水を全てぶち撒けたような大雨…
ひっきりなしに聞こえる雷鳴…
天駆ける雷光…
金縛りを自力で解き、
一刀に残る全てを込めて振った疲れの為か…
異形が消えた安堵からか…
身体からみるみる力が抜け…
俺の意識が遠のいていった…

目覚めると朝…
テント生地を透かして朝日が俺の顔を照らしている。
身体に…力がまるで入らない。
ふらふらとテントの外へ這い出してみれば、
ひんやりと水気を纏った空気…
風で引きちぎられた落ち葉が迷彩塗装の様にテントへ貼りつき
外には大きな水溜りがいくつも出来ていた。
嵐の名残がしっかり残っている…夢ではなかったか…あの生首も…

隣の個人用テントからAさんが起きだしてきた。
おはようございますと挨拶すると
Aさんが意味ありげな妙な笑みをしてみせる。
なんだあの呆れたような…蔑むような…今まで見たことの無い表情…
他のテントからも続々と人が這い出てくる。
挨拶をすると…
やはり、Aさんと似た…変な笑みを向けられた。
なんなんだ一体?
一番最後にBが大あくびをしながら起きてきた。

朝飯も家族連れの方のご好意で頂くこととなった。
テーブルに並べられたサラダとハムエッグに味噌汁、
奥さんが寝る前に作って煮込んでおいたカレーという布陣。
美味い美味いとカレーをパクついていると
Aさんがにやにや笑いしながら…俺に…

「お前等、昨夜はお楽しみだったみたいだな♪
 これまで俺が一緒にテントで寝ていたから遠慮してたのか?」

と、訳の分からんことを振ってきた。
遠慮?遠慮なんかしてたのか俺…お前等というと俺とBが?

「なんですか、それ!?」

その気持ち悪い笑み…止めてくれないだろうか…
他のライダー達もにやにやしてるし…

「いやもう、あんな激しい声出してなぁ、困った困った」

「え!?あれってやっぱりアノ声だったんですか!?」

女性ライダーの一人が我が意を得たり的な事を言い出した。
なにを…確信してしまったんだあんた?
家族連れの奥様とその隣の女性ライダーが顔をしかめながら…嬉しさ四分の一位で…

「男同士でしょ?」

「いえ、男同士だからこそなのです!」

「でも、なんで…ここで…」

「きっと抑え切れなかったんです!」

とか口許を隠してひそひそと始めたじゃないか

「なんなんですか!?
 Aさん!分かるように言ってくださいよ!」

「お前等…夜中…嵐がくる前辺りまで…
 男同士でヤッてたんだろ?
 やばいくらいの喘ぎ声がな聞こえてきてなぁ
 そうかぁ~お前等そういう関係だったのか…
 他人の恋愛だから何も口出しできんが…
 あの声はもうちょっと抑えた方がいいぞ」

「いや…あの…何言ってんだあんた?
 俺とBが●モな筈がねーだろ!!」

ライダー達はリアルホ●かよ…たまんねーなと…ぼそぼそ…
女性達はおぞましいものを見るようにしながら…
嫌な光を爛々と目に湛え…薄気味悪い半月形の笑みが口に刻まれてる…
そして、容赦なしの追求が…

「では、なんだったんですか?あのテントの中で奏でられた妖しき嬌声は!?」

「ホ●は悪くないんです!●モは生き様であり性癖であり個性です!
 私は絶対に差別なんかしません!むしろご馳走です!至高のメニューです!」

「あのやすりで擦ったような荒い息遣いは尋常のものではありませんでしたよ?
 絶対に挿ってるとしか!!」

「どっちが攻めで受けなんですか!?」

「人生意気に感ず!」

荒い息遣いか…嵐が来る前…ふわりと浮く生首…
あ、あの事か…あれをホ●と…くそ!

「あれはホ●なんかじゃない!
 金縛りにあって必死にもがいてたんだ」

「またまたぁ、金縛りとか苦し過ぎる言い訳!認めなさい●モだって!!」

「いや、マジで金縛りになって大変な目に遭ってた…あの嵐もその影響かもしれん」

『え!?』×俺とB以外…

真剣さが伝わったのかAさんを含め…全員の顔色が変わった。
俺は昨夜の…自分の身に起きた怪異について一部始終を彼らに語って聞かせる。

「あれ…見て…」

立ち上がったままになってた女性ライダーがおもむろに…
ある場所を指差した。
木立に隠れるように…石碑が立って…る…
背筋がゾッとした。
そこから一同の動きは迅速を極める。
あっという間に朝食の片付けを済ませ、
荷物をまとめて車やバイクへ積み込み、
慌しく別れの挨拶を交わすと
それぞれの目的地へ向かって、
この場をいそいそと立ち去っていった。
何の為に建てられた石碑か、
誰も確かめることなく…

俺達も…
次の宿泊地である知床…羅臼を目指す…
今夜こそは怪異など起きず、ホ●にも間違われませんように…
●モ疑惑をかけられて一言も反論しなかった…
オリーブの首飾りを口ずさみ運転するBの隣で
俺は太陽へ向って真剣に手を合わせるのだった。

(了)

2014年11月08日(土) 15:15
こげ ◆.s16F9bY
投稿広場より掲載

 
  • こげ

    いっぱい感想コメントをいただきましてありがとうございます♪
    そして、皆様お返事が遅くなってしまいごめんなさいm(_ _)m
    管理人様いつも拙いお話を掲載していただきありがとうございます♪

    >[5037] 天通の七不思議様
    ●モ好きです!というか大好物?本棚のひとつはそれ系の小説から薄い本で埋まってます。
    それに…別の所で某マンガのSSを書いてたりします…(///▽///)
    以前…某子役の女の子が可愛かったドラマですが
    初回を見逃し、同僚の子から[マルモのおきて]と聞いて…
    ●モの掟と勝手に勘違いして大興奮で観ましたフ●テレビ…
    以前、チャットでその道の方にそれほど良いものじゃないよと諭されたことあります。
    ありがとうございました♪

    >0.血苺様
    いつもコメントいただきありがとうございます♪
    金縛りは自分が体験した時のことを思い出しながら書いてみました。
    ミリ飯!ウチの父が元そっち系でして…それから陸自に知り合いもいたりで
    小さい頃から基地祭とか遊びに行ってました♪
    ビジュアルですか?俺君は黒髪前髪たらりの鬼畜眼鏡でAさんがかっこいい高田純次さんで
    B君がマッチョな変態アニオタですw全然説明できてないですねごめんなさい

    >やまっち妻様
    ありがとうございます♪
    あー『妖婆死棺の呪い』観たことないですごめんなさい。
    DVD出てたら今度借りて観てみますね♪
    すごく怖いのでしょうか?

    >紫姫様
    ありがとうございます♪
    一人用テントでは熊の襲撃が怖くて屈斜路湖までは使えなかったのだそうですw
    私が社員旅行で札幌へ行った時、狸小路の外れにまで熊出没注意の看板がありました。
    私達が来る一週間前にはすぐ近くで目撃もあったとか。
    友人であります俺君とB君には目覚めて欲しいといつも祈っているのですが
    予兆がみられません

    >[5052] 天通の七不思議様
    コメントいただきありがとうございます。
    生首どうだったのでしょう?刀の事はまた後で登場しまーす♪

     
  • 匿名

    あのまま金縛ってたら 生首に殺られちまってたのかね? 盗ってきた刀が早速役に立って助かったな

     
  • 紫姫

    今回も 楽しませて 頂き 有難う。 本当に… 今までAさん 1人用テント使用しなかったのに 笑い。 主人公(俺さん)ばっかり 怖い 異界な者と 遭遇率 高い。厄介な [s:17723]時 特に(-_-;) まぁ 疑い晴れて良かったネ♪

     
  • やまっち妻

    『妖婆死棺の呪い』というソ連映画を思い出しました。

     
  • 0.血苺

    うーむ…今回は、現れたのは生首だけなのに怖いですね〜…
    完璧な金縛りの描写がリアルでした。自分の身体までもが軋んできそうで(-。-;

    このお話で嬉しくなっちゃったのは“ミリ飯”と“ケロリン”…ミリ飯はYouTubeで見た時から興味津々だし、銭湯行くと未だにケロリン洗面器使われてますものね!

    それにしても、Aさんが一人用テントで寝る事が、こんな伏線になるとは…腐ったお嬢さん方、大歓喜ですね。
    どうぞ、お三人様のビジュアルを教えて下さいな(*^^*)

     
  • 匿名

    まさかの●モ疑惑にワロタw
    こげさん、過去にも●モへのこだわりが感じられる作品がありますが…いや、考えまい。面白かったすよ。個人的には、挿●は想像の域を超えている。臭いが漂ってきそうなので御勘弁を[i:63918]

     

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