【不思議】増似語り-ゾウニガタリ-②/HN:こげ

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同じ課で一番仲良しの子に携帯で連絡を取って、製造と設計の女子だけで飲んでるという
居酒屋さんへ向かいました。
十月末ともなれば普通に雪が降る北海道の夜はとっても寒いです。
真冬用の格好で出てきて正解でした♪
お店に入って従業員の方に案内されて個室へ通されますと…

「な、なななななな何でいるんですか!?」

上座に近いほうの席に…ギター&リードボーカル先輩がいらっしゃいました。
Aさんと大人の夜の過ごし方を実践しに行ったのでは無かったのですか?
それとも…これは何か陽動作戦的な…
しかしまぁ、あれを目撃してしまったのですから、からかう以外ありません。
皆に遅れましたと挨拶しながら、先輩の隣まで行きますと

「いや、もう見せつけられちゃいましたよ先輩♪
 A係長と私達の目の前であんなにイチャイチャしてくれちゃって
 あの後、どこへ行ったんですか?
 にっひひひひひ♪」

先輩…グラスを手に持ったまま怪訝そうな顔を私に向け、

「あんた…何言ってんの?」

真顔でとぼけられてしまいましたよ、芸が細かいですね先輩♪
ここへはちょっとだけ顔を出して…あとはAさんと…という魂胆なんですよね♪
そう易々と肉欲の世界へは行かせませんよ!

「ホテルの通路をAさんと歩いていたじゃないですか!
 そりゃもうリア充一区画ごと巻き添えにして爆死しろ的な、
 Aさんとくっつき過ぎてサードインパクトが起こりそうなくらいイチャイチャで~」

「シー!バカ、声が大きい!!」

先輩、慌てて私の口を塞ごうと…
あ、気付いて周囲を見渡すと…
全員がおしゃべりを止めて、こちらに注目していました。

「Aさん?営業の?
 あんた…Aさんと付き合ってたの?」

沈黙の後、ギター&リードボーカル先輩へ、
製造部門の主任さんが代表して訊ねました。
我が社には社内恋愛をする場合、
女子社員は女子全員に申告しなければならないという、
忍の道に生きる者より厳しい掟があります。
それは無駄な鞘当てや、横恋慕を未然に防ぐと共に、
女子社員が作る派閥間抗争へ発展しない為に…

私が入社するずっと以前…
一人の男性を巡って製造部門と間接部門の女性二人による諍いが生じ…
全女子社員をまっ二つに分ける凄惨な抗争へ発展したそうです。
その事があってから製造部門と間接部門には根深き遺恨が残り…
今も冷戦的状況が続いています。
それで、あの惨劇を二度と繰り返してはならないと言うことで、
『社内恋愛に関する十一カ条』が制定され
新入社員研修で、研修施設2階の視聴覚室へ女子だけ集められ、
先輩社員による講義が行われるようになったのでした。

「いつかは報告しなければ…って思っていたんだけど…ゴメン!」

ギター&リードボーカル先輩は顔を真っ青にして頭を下げました。
私もごめんなさいと…隣に倣って…深々と…

「いや、あんたが失言してくれたから、今ならまだなんとかなりそう…
 ちょっとあっちへ連絡入れるから」

女子会の幹事である製造部門の主任さんが携帯を取り出して電話をかけました。
相手は間接部門の女子社員代表である秘書課の課長さんです。
頭同士、ホットラインは確保しておくのが近代戦争のお約束です。
主任は眉間に皺を寄せ…時には相槌を打ったりして…
固唾を呑んで見守る私達…酔いなんて吹っ飛んでしまってます。

「それでお願いします。ええ…では」

耳から携帯を離し、皆の方へ向きなおりました。
そしてギター&リードボーカル先輩と私を見て、

「あんたら会長賞を全部諦めてくれない?
 あっちに半分譲渡することでこの件はチャラにするって
 二人のことも例外で認めるからって」

会長賞の賞金は最初から二次会の足しにと考えてましたし、
了解の返事をしたら、この件はこれでおしまいって事になりました。
意外と軽く済んだことにびっくりです。
楽しい社員旅行の晩でお酒も入っていたからってことかな?
主任が気分を変えて飲みなおしだ!と提案、お店も変えてしまおうってことになり、
近くの新しいお店へ場を移して二次会?三次会?を再開
ギター&リードボーカル先輩も、なんだか胸の痞えが取れたみたいで
時間が経つにつれ、顔色がだんだん良くなっていきました。

「ねえ、あんたさっきさぁ?」

焼酎がほとんど生のままで入ったグラスをぐびぐびぷはぁって空けて
主任が私の隣に千鳥足でやってきました。
左腕でガッと私の肩を抱き、お皿のボタンエビをお箸で摘んでパクって…
私のボタンエビが…うわ、顔近いです!かお!!

「さっき、この子が彼氏と二人で歩いてたって言ってたけど…」

「はい、部長と一緒に目撃しましたよ?」

主任…胸は揉まないでいいですから…ガシッってしてモミモミが…
かかる息がもうすごいアルコールたっぷり含んでて…うぷって…

「この子、ホテルを出て最初の店からずっと私達と一緒だったけど?」

「え!?」

「そうそう!最初から私達と一緒だったよ?」

主任の言葉に同じテーブルの子達が相槌を打ちました。
そう言えば…あ、そうですよ!
最初のお店へ入った時、先輩が居たから不思議に思っていたんです。

「確かにこの子だったの?もし違う女とA係長が一緒だったら…
 また、とんでもない事になるわよ!?」

「間違う訳ないじゃないですか!
 絶対にギター&リードボーカル先輩でしたよ!
 一緒に見てた部長に確認取ってもいいですよ!」

「部長と一緒だったところにツッコミ入れたいところだけど…
 でも…じゃあ、それって…どういうこと?」

ギター&リードボーカル先輩が凄く昏くて怖い目をしてます。
俗に言うレ●プ目です…ですよねー
私のここに先輩がいるのに…誰だって見間違えで…
Aさんが別の女性とイチャイチャしてたってなりますよね…

「でも、ほんとに…本当に先輩だったんです…」

私が嘘とか冗談が苦手なのは、ここにいる女子社員は全員が知ってます。
でも実際に先輩はここにいて…やっぱり私の…見間違えって…

「あ!」

先輩が小さく声をあげました。携帯のバイブが振動する音が聞こえます。
おもむろに携帯を取り出して相手を確認すると彼だ…A係長だと…
皆で話をしろと促し、先輩が携帯を操作して耳にあてると、
スピーカーから漏れ聞こえるほどの大きな声…
電話の向うでAさんはかなり慌てて…取り乱しているみたいで、
それをなんとか先輩は落ち着かせ…
そして、Aさんに詳しく経緯を教えて欲しいと訊ねました。

「え?ずっと皆と一緒だけど!?
 え、ええええええええええええええええ!?」

もう周囲に憚りない大声でギター&リードボーカル先輩…
全員、先輩の携帯へ目が釘付けです。
食器を下げに来た店員さんも先輩を何事かと見てます。

「うん…うん…と、とりあえず切るから…うん…うん…じゃ」

パタンと耳から話した携帯を折りたたんでバッグに戻した先輩…
呆然としたような…さっきまでの怖い顔じゃなくて…
困惑…目が泳いでるみたいな…ギター&リードボーカル先輩…

「ねえ?あんたが見た私って…確かに私だった…みたい…」

「………どゆことですか?」

生き別れた双子の妹でも分裂酵母でもプラナリアでも青沼静馬なく…
ここに先輩はいながら…Aさんとも一緒だった?

「でも、あんたはずっと私達と一緒だったでしょ?」

「ええ、そうなんですよ!でも…その…」

先輩が言葉を必死になって探してるみたいな顔…

「か、彼から…今の電話の内容なんですけど…」

『うん!!』×私を含め女子全員

「私と一緒にラブホテルに入ったそうなんですけど…
 私が先にシャワーを浴びに行って…彼がベッドの上で寝転んで待っていたら
 いつまで経っても私が戻ってこないから
 心配になって浴室へ向かったら…
 私…消えちゃってた…んだって」

「え?」

「着ていた服は全て無くなっていて、
 浴槽にはつい今まで使ってた痕跡を残し…
 私がいなくなってた…って」

『え、えええええええええええええええ!?』×女子全員

「彼、今からこっちへ来るってなったんだけど…」

それで、Aさんが来るのを待っていたんですけど
来なくて…先輩がまた連絡を取ったところ…
すぐ、繋がって…今夜はずっと…今も営業課全員で飲んでるって…
先輩には一度も連絡なんてしてないって…
じゃあ、履歴を確認してみようって、先輩が通話記録を見たところ…
Aさんからの着信が…無いって…無くなってるって…
私達…先輩の電話でのやりとりを聞いてるのに…記録が無いって…
さらに店員さんが襖を開け…
待ち合わせをしている男性のお客様がお着きになられ
案内してきたのですが…いつの間にかいなくなってるって…
容姿を尋ねてみるとAさんに間違いなし…
この場にいる女子全員がパニック…
ヒステリック状態になって泣き出す子まで出て、
ギター&リードボーカル先輩も泣き出して…主任でさえ、取り乱しちゃって…
収拾つかなくなって…

ホテルまで怖くて戻れないって事になって…
部屋で独り寝してた部長を携帯で呼び出して
お迎えに来て貰いました。

(おしまい)

北海道旅行から戻って数日後、
ギター&リードボーカル先輩とAさんは別れてしまいました。
Aさん…他に付き合ってる女性が幾人もいたことがわかったそうで…

2014年11月22日(土) 09:18
こげ ◆.s16F9bY
投稿広場より掲載

 
  • こげ

    ごめんなさい、昨夜投稿するだけで限界でした。
    皆様、コメントをいただきましてありがとうございます♪

    >0.血苺様
    ハリソン・フォード!年を召されるごとに格好良くなってらっしゃいますよね♪
    あの方もいいですね~渡哲也さんもいいですね♪石原軍団でもうカップリングが…
    あ、あそこです♪書いてますよw文体から全部変えてw成人女性向けファンタージー物を!
    現実ではない幻想的なお話を書いてますw
    0.血苺様、やっぱり書かれてらっしゃったのですね♪文章が上手なのできっとそうだろうなって♪私のはもう…アレなので…お互い見せっこできないです(T_T)ヤバすぎて…

    ドッペルさんなのか生霊なのかどちらなのでしょう。このお話の次の日のエピソードが
    頭腐語りだったりします~社員旅行の二日目のお話ですw

    コメントありがとうございました♪

    >[5234] 天通の七不思議様

    ダブルでドッペルさんなのでしょうか♪ドッペル同士でデートって…凄いですよね
    会社で残業中、設計課の男子がトイレへ向う後を同じ人がついていく姿を見たって話を
    聞いた事ありますけど…以外にあるのでしょうかドッペル現象って
    コメントいただきありがとうございました♪

    >[5235]天通の七不思議様
    丼物語も読んでいただきありがとうございます♪
    あのお話…コメント欄を見たら…あんまりお気に召して頂けなかったのかなと(T_T)
    心霊スポット探検隊以外のお話もそれほど数はありませんが書かせていただきますね
    コメントいただきありがとうございます♪

    >紫姫様
    私、実は北海道って函館と札幌と小樽くらいしか知らないんですw
    あっちの方は体験者の方から聞いたお話を元にネットとかで調べたりして書いてます。
    その会社名は!女性が多いわけですね♪バトロワw
    私が勤めている会社は部署によって男女の格差がありまして…色々あります…
    人間が一番怖いって話が…(TxT)

    あ、やっぱりお赤飯にカレーは不味いんですねwシーチキンカレー♪
    ドライカレーの上にシーチキンとタマネギスライスをマヨネーズで和えたものを乗せて
    食べるのやりまーす♪冷凍保存しておいたご飯でドライカレーにしてw
    いつも温かいコメントいただきありがとうございます♪

    >鼻血ブー助様
    あは、写真は絶対駄目ですwモンハン!モンハンされてしまいます!
    黒歴史ですね~2000mほど穴を掘って埋めたいです(T_T)

    二人が飛ばした生霊…
    だとしたら私の場合は池袋とかビッ●サイトで目撃されてたりして…
    コメントありがとうございました♪

     
  • 紫姫

    こげさん O・血苺さんのコメントされた事の件。 紫姫も 一度だけ C君 と 同じ様に レトルトカレーを赤飯へ かけて 食べた事ある 経験者です。 紫姫は、深夜にお腹減っ時 たまに コンビニへ 行きますが、[s:20322]2個 (シーマヨと赤飯) 半額の為購入し [s:18262]に有った カリー屋カリー(中辛口レトルト)かけて食べた[s:20321] 結果 紫姫的に 赤飯&[s:20321]カレー 不味い。 まぁ シーチキンマヨ&[s:20321]カレー 旨し と思います。

     
  • 鼻血ブー助

    一種の生き霊ですかね?
    飲み会に出ないといけないが…二人っきりにもなりたい!…と言う気持ちで……

    部長様!…こげさんのコス写真ください!!
    セクシーな女子高生コスの写真を!!<(_ _*)>

     
  • 紫姫

    むさ苦しい 貧乏3人組 以外にも 札幌のすすきの回。 今度は、製造部門女子会& ダブル ドッペル 凄技に、[s:20268][s:20309]メロ×2 ですゎ。☆彡 私は、高卒→入社社員→製造工場→仕上げ課第二でした。男子より女子多い為、会社旅行や飲み会は 率先して 売れ残り気味女子が、新人女子に 負けじと ばかりに 新人男子&若手男子と 公認カップルなる為 激しく バトロワしまくり。 ドンチャン騒ぎの宴会ばかりの為 毎回 会社旅行の幹事は、ホテル探しが、大変と嘆きます。 大抵遠回しで断りされやすく 無理やり 某ホテルを 買収??かと 思うほど…。ある時から 毎回同じホテル。 化粧品会社K〇〇ウ 元社員でした。

     
  • 匿名

    面白い。個人的には丼物語の次に好き。

     
  • 匿名

    ダブルのドッペルなんたらとか希少過ぎる経験ですな

     
  • 0.血苺

    これは…生き霊と生き霊が接近遭遇してしまった…とゆう事でしょうか!
    うーん、新しい(*_*)
    きっと、二人とも同僚との飲み会なんかさっさと抜けて、逢いたくて仕方なかったのでしょうね。

    こげさんのコスプレ…ブラウスにチェックのスカートで、私は懐かしのtATuを思い出してしまいました!
    にしても勿体無い…渋くて茶目っ気もあるおじさま好きな私なら、フラフラ部長さんに着いて行ったなあ(長いこと理想のタイプに“渡哲也”と“ハリソン・フォード”と答えてました)。

    ところで、余談を許してください!…こげさんが作品を発表している所って、頭文字がpのあそこ…ですか?
    実は私も書いてます。違うハンネで、リスペクトしているある方への駄文をσ^_^;
    …まあ、私のは腐ってはおりませんし…あの大きなサイトでは、こげさんともお会いする事はまず無いと思いますが。

    おっと…余談が長過ぎました。失礼しました!

     

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