【怪談】同じ夢/HN:いくゆみ

同じ夢/HN:いくゆみ

何年か前の話だ。

毎日同じ夢を見る日が続いた。

決まって深夜2時頃に家のチャイムが鳴る。

ハッキリ言って住んでいるのは田舎だし深夜に来るような知り合いもいない。

だから何となく夢を見ているんだなと気づいた。

むしろスマホや携帯電話がある今、いきなり家に来る人も珍しい。

夢だと分かっていても、そんな時間にチャイムがなり玄関に行かないと行けないのは妙に怖くて当然、私は居留守を使った。

こんな時間にいない訳ないと思ったのか、ドアをドンドンと叩く音が鳴り響いた。

こんな夢が何日か続き、寝ているはずなのに寝不足を感じ始めた。

寝不足だったのもあってか思考があまり廻っていなかったのだろう。

もうチャイムが鳴ったら出ればいいのではないか?

そうしたら解放されるんじゃないか…

そんな馬鹿な気持ちになっていた。

ピンポーン

どこにでもある普通のチャイムの音。

ただオカシイのは鳴っている時間帯。

私は出る事を決めた。

ドアにチェーンが掛かっているのを確認し鍵を開ける。

そしてドアを…

ガチャ

「はい、どちら様でしょうか?」

チェーンを掛けている為、ドアからの隙間は僅かで外の様子はあまり見えない。

返事は無いし人の気配がしない。

私はドアを閉めて鍵を掛けた。

ドンドン

ドアを叩く音。

普通なら怖いのだろうが、その時の私は怒りが勝っていた。

こいつ…人をおちょくっていやがるのか…

再び鍵を開けてドアを思いっきり開く。

ガンッ

チェーンで途中までしか開かないものの、かなりの音が響いた。

「何なんだよ、いい加減にしろよ!他所へ行け馬鹿野郎!」

野郎かは知らないが叫んでいた。

今までは見えなかったがドアの隙間からギロリとした眼が見えた。

かなり怒っている御様子。

髪の長い女だった。

よく映画などで観る貞子をイメージしてくれると分かりやすい。

右手には包丁が握られている。

さっきまで怒りが頂点に達していたが冷静になってヤバいと痛感した。

「……失礼しました…」

ガチャ

何事もなかったかのようにドアを閉める。

ドンドンドンドンドンドン

鳴り響くドアを叩く音。

私は玄関でうずくまった。

「出なさいよ…」

蚊の鳴くような小さい声。

こいつ…さっき出ただろうが!

そんなツッコミも声に出せる訳もなく私は意識を失った。

「……何してんの?」

朝になり呆れた顔の母が一番最初に目に入る。

どうやら私は玄関で寝ていたらしい。

嫌な夢だ。

そう思いながら朝の日課である新聞をポストまで取りに行った。

外から見たドアには人の指紋のような跡がたくさん付いていた。

「上等だよ、殴り倒す」

あれが殴れる者なのかは分からないが、怒りがまた勝った。

それからは、その夢は見ていない。

気の持ちようなのかもしれないし、夢が何かを伝えようとしていたのかも…

そして…一番重要なのは…本当に夢だったのだろうか?

という事である。

 

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