【不思議】不思議な知人の話/HN:ウミウシ

不思議な知人の話/HN:ウミウシ

卒論、それは大学生を悩ませる難敵である。

もちろん私も例に漏れずその難敵と戦わねばならなかったのだが、いかんせん文学部の中では浮いてしまう誰も選ばないような私の卒論テーマは、物の怪であった。

卒論に行き詰まった私に、高校からの友人が紹介してくれたのは陰気な青年でどうやら同い年らしい。彼はそういうのに詳しいんだとかなんだとか。

スマホに目を向けたまま、私に彼は確かこう聞いたのだったと思う。

「幽霊とか、物の怪とかってなんでいるんだと思う?」

そりゃ無念の想いとか凝り固まってるから、じゃねえの。と答えた私に彼は立ち上がって手招きをした。

出会ってそう時間が経っていない私をどこへ連れて行くのかと、当時は不安に思ったが卒論と向き合いたくなかった私はなんとなく彼の後に続いた。

その日は午後から小雨が降っていて、あちこちに水たまりを作っていた。大学近くの河川敷の土手を歩く彼に追いつくと、彼は私の傘に入り込んできた。野郎と相合傘などしたくはなかったが、仕方ないと諦めることにした。

「ほら、あそこ」

彼が指差す方向には小さな水たまりがある。

「今からそこの上を赤いハイヒールを履いた足首が通るよ」

期待してその赤いハイヒールを待ったのだが、一向にこない。なんちゃって心霊系か、と落胆する。

「無念だとかそういう感情が残ってるとか、事件が起きたとか。そういうの関係なしにいるもんだ」

こちらを少し見上げながら言う彼に、はいはいと適当に返事をして、時間を無駄にした、こんなことなら卒論と向き合えばよかったと後悔する私の目の前で、雨にしては不自然に水たまりに大きな波紋が広がった。

「いただろ」

彼の声と傘を叩く雨音に混じって、

こつり、こつり

とハイヒールが地面を歩く音が聞こえた気がして、私は思わず彼の手を引いて一目散に大学へ逃げ帰った。

2014年12月21日(日) 03:06
ウミウシ ◆-
投稿広場より掲載

 
  • 紫姫

    霊感0でも… [s:17758]の 音 や 水溜まりの 波紋 で 存在感 解ると びっくり&恐いね 紫姫は、めっさ 鈍感 やから それさえも 見逃し しそう。 今回は、心霊が、詳しい人の お陰で 解り易く良い。 大抵 霊感持ちの人は、霊感0な人に 信じてくれない& 言っても 理解しない等 思い。 危険な事無い 限り まぁ 滅多に 言わないらしい?。

     

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