【不思議】高校生/HN:0.血苺

高校生/HN:0.血苺

私もさ、まだ若いつもりだったんだけど…そうでもないなーって思うようになったよ、最近。

あのメジャーな漫画の『4部』の主人公の名前、“ワビスケ”なんて読んじゃってたし、例の海賊漫画のトナカイさんも、ツノがついた帽子かぶった仔グマ?って訊いて娘から怒られたしね。

私、バスで出勤しているでしょ?
途中で乗り継ぐんだけど、そこからいつも、高校生のカップルと一緒になるのね。
以前は、その子たちに会う度に苛ついてたのよ…特に女の子の方に。

『今日、雨だから混んでるね~…人がいっぱい居るのってキラ~イ!』

…とか、彼氏に鼻声で言うんだよ…厭ならてめえが降りろよ!って言いたくなったよ全く…あたしなら何言っても許されるとでも思ってんのかねー…あの歳頃の子は。

…だけどね、この前彼女が一人で居るところを見かけたのよ。彼氏が来るのを心細そうに待ってるの。ケータイ確認しながら、学生が通るたびに顔上げて。

その姿がなんだか妙に可愛くってさ…ああ、あの子本当に彼の事好きなんだなあって思って。あの舌っ足らずの言動も、ベタだけど精一杯の無邪気さアピールなんだろうね。

以来、二人を見ても大らかな心でいられるようになっちゃったんだよね。

女の子を見て苛つくのって、モロにオバさんの兆しだな…と思ってたんだけど、可愛いく思えちゃうのってどう思う?…私もしかしたら、もうおばあちゃんなんじゃないの!?

だって最近、矢鱈と昔の事を思い出すんだよ。これってヤバくない?

一番思い出すのはやっぱり、あの子たちと同年代だった頃だな…

当時は別にスケバンじゃなくても皆、長いスカート履いててさ。両サイドの髪を外巻きにする為に、必死でコテあてて…そうそう、聖子ちゃんヘアー!…まあ、私たちの世代はも少し若いけどね。

うちの高校、男子が少なかったから、皆他所の学校の男子に鵜の目鷹の目だったのよ…で、私も気になる男子をみつけたの。

眼鏡掛けた横顔が涼し気でさ。背が高くて…当時から私って眼鏡フェチだったんだねー。
S校の人だとしかわからなかったから、密かに“S校の君”なんて呼んでたっけ。
…はいはい。すみませんねー、どうせ元文芸部員よ。

まだ高一だったから幼稚なもんでさ、
『今日もバスで見かけたの~!』
なんて、親友のナミに報告してはしゃいだりして…うう…イタい子どもだ…

ナミに付き合って貰って、S校の前を徘徊したりとか…よくやったものよ。
それどころか、勢い付いて家まで尾行した事もあったっけ。これって立派なストーカーだよねー。

彼は三年生でさ…彼女が居るのもすぐに分かった…

その彼女が又、気の強そうな目つきの悪い女でねぇ…彼には全然相応しくないじゃん!なんて私、憤慨したものよ。
何度か睨みつけられたりしてさ。
…まあ、今思えば…いかにも下心ありそうな女が彼氏の周りを彷徨いてるんだから、睨まれて当たり前なんだけど。
『見た?あのオンナ…爪伸ばしちゃってさ。キャバスケかよ!』
ナミと憤慨して悪口言ってたけど…本当は私、圧倒されてたんだけどね。彼女の大人っぽさに…綺麗な指先に。

もう、年が明けて暫く経った頃…S校の君も卒業を控えてあまり姿を見なくなっていて、そんな時ナミから“良く当たる占い師”の事を教えて貰ったのよ。

占いなんて、全く信じて無かったのに…いともたやすく、その気になって。
多分、女の子が初めて本気で占いするのって、好きな人が出来た時だよね。

冬休みにやったバイト代半分が見料に消えたけど…私はその占い師を信じたの。
私の性格とか家族構成とか、話して無い事ズバズバ当てられてさ。

嬉しい事に、“これから縁を作る人とは、永い付き合いになる”
って言われたのよ。
…これって、やっぱりS校の君が私の運命の人?
もう、すっかり舞い上がっちゃった。
“失くし物に注意”とか“身近な人に裏切られるかも”みたいなネガティブな忠告もあったんだけど、
その時ちょうど、部活で仲が良かった子とギクシャクしていたから、その事だろうな…って思ってあんまり気にしなかったのね。
何ったって、運命の人を予言されて浮かれていたから…

行動を起こそう!と決めたのが、間近に迫ったバレンタインデー。
初めて本命チョコ買って、文芸部員の面目躍如で手紙の大作仕上げて。
…え?…いや、ポエムは書いてないって!

学校終わってから、ナミに付き合ってもらってS校に行ってみたけど、やっぱり三年生は殆ど出て来て無かった。

…バレンタインデーだもの…彼女とデートかな?
そんな不安が過ぎったけど、
『彼の家に行ってみようよ』
ナミがそう、言ってくれたの。

…もう、当時の私って完全に自分中心。相手の都合なんかまるで考えて無かったから、あの時も何も躊躇せずに駅まで向かったのよ…彼の家に行く為に。

その時、鞄に付けてたスズメの根付を、側溝の中に落としちゃった。

私は慌てて拾おうとしたんだけど、コンクリートの蓋が重くて持ち上がらなくて…
未練がましく蓋に張り付いている私に呆れたのか、ナミは帰ってしまった。
…たかが小さな根付くらい、諦めれば良さそうなものなのに、私は諦められなかった。

その根付、叔母から貰ったものだったの。
小さい頃から我儘だった私が、遊びに来た従妹に、大事にしていた縫いぐるみを譲った事があってね…泣いて欲しがるから、しぶしぶだったんだけど。
その時、“ありがとうね”って、その子のママがくれたのよ。お財布に付いてた象牙の根付。

嬉しくて…その日から私の宝物になったの。

私が人のものを盗ろうとしているから、きっとバチが当たったんだ…そう思ったら涙が出て来て…

その時、
『どうしたの?』
声をかけられた…ビックリしちゃった!なんと、S校の君…の彼女だったから。

私はどぎまぎしながら、ドブに物を落とした事を話したの。そうしたら、彼女は躊躇いもしないで、一緒に蓋を持ち上げてくれた。

…漸く根付を拾い上げた時、彼女の爪が折れちゃったのに気が付いて…
申し訳なくて…私、バカみたいに大泣きしたのよねー…

その後、ナミとS校の君が付き合い始めたのを知った。
ナミの奴、あの後ちゃっかりと、チョコ渡しに行ったんだって!
『私はああゆう顔って興味無いなー』
…なーんて言ってたクセにさ。

「…それにしてもさ、あの占い師…やっぱ凄いよね…これから縁を作る人とは永い付き合いになる…って、見事当たったもん。残念ながら、S校の君じゃなくて彼女の方とだけど」

年下の友人はそう結んで、カウンターの向こうから私を見た。
…全く…どうしてそう、下手くそな私小説みたいな話し方をするんだか…この元文芸部員は…私は苦笑した。

「だけど、現金なものだよね。ナミと付き合い出してから改めて彼の顔見るとさ、全然格好良く見えないの…せいぜい森本レオ?」
「森本レオなんて良すぎるわ…あんな奴、連続幼女誘拐殺人魔みたいな顔よ」
「わっは…ヒデえ!」

ひとしきり元カレの悪口を言い合う。

「…あ、そろそろお店混む時間だね。もう行くわ…あ、ハナちゃん…煮物少し包んでくれる?旦那のオカズにするから」
「そうやって手抜きしてると愛想尽かされるよ」
「バツイチの人には言われたくありませーん」

覚束ない足取りで帰って行く友人を見送る…
年下だから言いたくないけど…確かにババアだよ、あんたは。

 
  • 0.血苺

    紫姫さま
    毎度、全く怖くない話に暖かいコメントをありがとうございます。
    実は、ハナちゃんは呑み屋のママでは無いんですがσ^_^;
    だけど彼女の筑前煮は絶品です。
    S校の君の事があったあと、私は彼女と一緒にバイトしまして…色んな事を教わりました。はい…
    紫姫さんの彼、モテるんですね!付きまとう女の子を不快に思うのは当然だと思いますよ。

     
  • 紫姫

    O・血苺さん と ハナさんの 親友に なった ルーツ (キッカケ)だったのね♪ まさかの… 同じ男性(S高の君み) を 巡り 熱き死闘 彼女vs片思いLOVE娘vsチョコ&裏切り娘。 ハナさんが、理由を聞かず どぶ石の蓋を持ち 爪が、折れるのを かえりみず 手伝う 優しさ 素敵な女性ですね♪ 紫姫は、自分の彼氏へ 恋心を抱く 他の女子へ 優しく出来無い 心の狭い 私です☆ 親友(ナミ)の裏切りには、 呆れます。 S高の君み最低だ!? 占い師の予言は、凄い!? いつまでも続く 親友(ハナさん)と出逢い素敵な縁 羨ましい♪ これからも 楽しい 感動する 面白い O・血苺さん&ハナさん エピソード話し 教え下さいませ♪ お待ちしてます☆★ (≧▼≦)

     
  • 0.血苺

    こげさま
    ありがとうございます。
    凄いですね〜…そんなに男子が集まるって事は、こげさんの学校にカワイイ子が多かったのでしょう。
    うちは女子校な訳ではなかったし、そんな経験は無いです(-_-)
    あ、でも一度…夏休みに矢鱈と電話(勿論、イエデン)がかかって来たことがありますね〜。
    どうやらクラス名簿が横流しされたらしく、あちらさんも“数打ちゃ当たるべ”と、片っ端からかけていたようでした←こっちの貌も知らないクセに。
    二学期になり、友人たちに確認したら皆、
    「かかって来たよ」
    って。
    一人、難しい読み方の姓の子だけかかって来なかったそうで、
    「う〜!ちくしょー!リストから外されちった!」
    「ダッセー…きっと◯◯◯が読めなかったんじゃねーの?」
    と、笑い合ったものでした。
    …こんなガサツな女たちにアタックしてきて…バカですね〜…

    私もS校の君でケチが付き、三年間でそれらしい人が居たのは、半年弱程度でしょうか^^;

    管理人さま、我儘を訊いて下さいましてありがとうございました!

     
  • こげ

    どんな風にお話が結末を迎えるのかドキドキしながら読ませていただきました♪
    私は女子高で…放課後になると近くの高校から男子が校門前に集まってきて…
    先生たちに追い払われるのですがすぐにまた戻ってきて…
    偏差値の高い高校の生徒から順番で声をかける権利が与えられていたとかヒエラルキーが存在したとかw
    お目当ての生徒がいるとか、オナ中の女子から誰か紹介してもらおうとか、色んな思惑で校門前は大変でしたね。。
    私は全然、相手にされなかったので在学中に男子とお付き合いする機会はありませんでした。

     

世にも奇妙な怖い話や都市伝説から不思議体験スピリチュアルまで…オカルト小説投稿/2chまとめサイト。1万3千話超えの厳選物語を貴方に★