【怪文書】兄ちゃんのイタズラ/HN:非常口ウラン

兄ちゃんのイタズラ/HN:非常口ウラン

「うわっ!!冷たっ!!!」

俺がシャワーを浴びていると、毎回と言っていいほど急に水温が下がって、俺は冷水を浴びる。
正直心臓に悪い。いつ冷たくなるかの合図なんてないし、ほんと参る。

原因はわかってる。兄だ。
幼稚園のころから、三つ上の兄は俺に‘冷水テロ’を起こし始めた。俺が風呂に入ってるときに給湯器の温度を下げるというイタズラだ。

俺も最初は楽しくて、幼い頃は風呂出たら服着る前に兄を追いかけてはしゃいだ。服を着なさいと母ちゃんにはよく怒られた。
兄も、給湯器の温度を上げ下げするから母ちゃんに怒られてた。それでも何年も続けた兄ちゃんは、ある意味すごいと思う。

俺も中学生になって、少し冷めたキャラ作りをした。厨二病の始まりだった。
そんな冷め始めた俺に対しても兄は冷水テロをやめなかった。

水温を冷たくしてくる兄にいちいちかまうのはもうやめよう。俺は風呂場を出てまっすぐ自室に向かった。
部屋を開けると、俺のベッドで兄はくつろいでた。

「…それ俺のベッド」
「知ってる知ってる。ちょっと借りてるだけ。てかお前さ、冷水慣れしちゃったか?なんもリアクションないじゃん」

「…そういうのもういいから。俺もうガキじゃねーし」
「あ、そう…そうだよな。ははは」

兄は少し寂しそうな顔をしていたように思う。
それが俺と兄の最後の会話だった。

高校生なのにタバコなんか吸いまくってるから悪いんだよ。兄は朝シャン(死語だよな)してる最中に倒れて頭を打った。
急いで救急車を呼んだけど、病院で死亡が確認された。

俺は悔やんだ。もっと兄のイタズラに、素直につきあえば良かった。

兄がいなくなってから初めての風呂の時がきた。
もう俺は冷水を浴びることはない。すごく、寂しい気持ちになった。

兄との思い出を一つ一つ丁寧に思い出しながら温水を浴びた。
いつもだったら急に冷たい水が俺をビビらせるのだが、そんなイタズラをする兄はもう、いない。

すごく悲しくなって、温水を浴びながら俺は泣いた。

「兄ちゃんの、バカやろう!」

俺が冷水に打たれれば兄が帰ってくるのなら、何時間だって冷水に打たれてやるから戻って来いよ…お願いだよ…

「ぉお!?」

風呂場で感傷的な気持ちになっていた俺に、突然シャワーから冷水が襲った。
当然びっくりしたが、すぐにこれは死んだ兄が霊になってまで給湯器の温度を下げるイタズラをして俺を励まそうとしているのだと理解した。

次の日も、その次の日も。

兄は今でも俺のそばに居てくれているんだ。見えなくてもイタズラで存在を示してくれる。
俺の兄ちゃんは死んでも俺の知ってる兄ちゃんのままなんだ。

ありがとう、兄ちゃん。

時は流れ俺も社会人として実家を出るときがきた。
兄が亡くなってから今日まで、ほぼ毎日兄は俺にイタズラをしかけてきてくれて、日々励まされここまでこれた。

新居にまだ慣れていないが、それなりに生活する準備は整ってきた。
初出勤をし、新居に戻り、1日の汗を流そうと慣れない蛇口に手こずりながらも俺は体を洗った。

水温は変わらなかった。

次の日も、また次の日も、俺のシャワーから突然冷水が出てくることはなかった。少し、寂しかった。

きっと社会人になった俺を見て安心したのだろう。
本当に今までありがとう、兄ちゃん。

 
  • 匿名

    俺の実家もこの現象起こるわ

     
  • 匿名

    兄ちゃんがいたずらし過ぎて実家の給湯器は壊れちゃったんだねきっと(´ω`)

     
  • 匿名

    怪文書!?感動話じゃないの?

     

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