【怖い話】ゴミ屋敷の秘密、叔父の秘密①/HN:退却のコビト

ゴミ屋敷の秘密、叔父の秘密/HN:退却のコビト

10年ちょっと前、今は亡き祖母にこんな話をされたことがある。

「昔、お隣さんが火事になってね。家にも火がうつるんじゃないかって怖かったよ」

そのときはへぇ~、本当婆ちゃん家燃えなくて良かったな ぐらいしか思わなかった。

そして先日、亡くなった祖母の法事で、その祖母の家に親戚数名で集まった。一軒家だから更地にする話もあったがどうやら叔母夫婦が居着いてる模様。

そこには武(仮名)叔父さんも来てた。武叔父さんは俺が中学生くらいまで、会う度にいつも全力で遊んでくれる大好きな叔父さんだった。

俺の親父の4個下で、子供はいない。が、子供の俺が楽しいことを次々提案して一日中遊んでくれた。俺が高校入った辺りから武叔父さんと会う機会はほとんどなかった。

そんな武叔父さんが法事のあとに、酒飲みながら俺にこんな話をしてきた。

「俺が小さいとき、隣の家、ひっでぇゴミ屋敷でさ…爺さんが1人で住んでるってことは周りが言ってたけど、そのほかの情報はほとんどなかった。もう、爺さん家の敷地全部にガラクタが積まれて、お袋からも親父からも絶対隣の家には近付くなって言われてた。近付くなっつっても道路挟んですぐのお隣さんだぜ?すでに近いっつの(笑)

丁度通学路だったし、まぁそのゴミ屋敷の敷地に入ることはしなかったけど毎日のように家の前は通ってた。小学校入学して、卒業するまで毎日な。低学年のころはビビって、わざと遠回りして登校したこともあったけど、だんだん慣れてくるんだな。5年生くらいからはゴミ屋敷のことなんて全然怖くなくなってた。

で、中学入って、だんだんヤンキーが頭角表してきて、度胸試しと言う名の犯罪がちょっと流行ってた。万引きだとかな。俺はビビりだったから万引きにはついて行けなかった。万引きするより学校でビビりビビり言われる方が平和かなって思ってな。

だんだんヤンキーの度胸試しが斜め上いっちゃってきて、とうとう俺んちの隣のゴミ屋敷突入するって話が出てきたんだ。まぁ住んでるのはヨボヨボの爺さん1人だったし、さほど危険じゃないって話になってきたんだ。

で、お前んち近いんだらお前も来いって強制させられてさ。ゴミ屋敷慣れしてないヤンキーは言わないけどビビってて、俺はもうなんも怖くないわけ。その感覚もあってゴミ屋敷突入にはさほど抵抗はなかったなぁ」

ここまで語ると武叔父さんは缶に半分ほど残ってたビールを一気飲みした。

幼い頃は体を張って俺を楽しませてくれた叔父。そして今は成人した俺を話で楽しませてくれている。叔父の話に聞き入っていた俺はとてもワクワクしていた。

「ちょっと俺君、ここじゃまずいから二階行こうか」

親戚が飲み食いしてる部屋ではこれ以上は話しにくいらしい。

俺はビール1缶、叔父はタバコを持って俺たちは二階に上がった。二階には、学生の頃の武叔父さんの部屋がある。もうほとんど家具がなくて殺風景だが、確実に叔父が過ごしていた部屋。

「あれ?武叔父さん、酒もう飲まないの?」

「あぁ、もういい」

武叔父さんの顔はさっきまでのご機嫌酔っ払い顔から、引き締まった顔に変わっていた。酔いでも覚ましたいのか、タール11㎎のタバコを二本続けて吸っていた。

「ふーー。…どこまで話したっけ?」

「ヤンキーと武叔父さんが、ゴミ屋敷突入するって辺り」

「そうか。そうだな。ゴミ屋敷突入…今考えると、不法侵入とか確実に法を侵してるんだけどな。あと戦後数年でよくあそこまでガラクタを集めたもんだよな。そんでまぁヤンキー4人と俺、全部で5人で突入する事になったんだ。もちろん夜な」

「武叔父さんは、ヤンキー怖くなかったの?」

「俺君の学生時代とは多分ヤンキーのタイプが違ったんだと思う。そもそもヤンキーって今いるの?(笑)

ここだいぶ田舎だし、都会のヤンキーとも違ったのかもしれないな。俺の知ってるヤンキーってやつらは、主に万引き、爆竹、タバコ、酒…簡単に言うと、俺大人だし!怖いものなんてないし!!って主張が強いだけの奴らかな。日常では特に害の無い奴らだったよ」

ここで叔父さんはタバコに火を着けた。

「タバコもな、あいつらから教わったんだ。あの日。

…あの日の夜1時が集合時間だった。できるだけ黒い服を着てくるようにって俺があいつらに指示しといた。もしも見つかったら後が怖いからな。できるだけ走りやすい格好で来いとも言った。あいつらおとなしく俺の言うことに従ったよ。普段は俺のことビビりって言ってくるのにな。

五分前行動主義の俺は少し早いけどできるだけ静かに家を出た。親父…お前の爺ちゃんが作った物置小屋から懐中電灯持ち出して、ゴミ屋敷の裏の畑に身を隠した。そっちの窓から見えるだろ?新しく建った二階建てのアパート。あそこが昔トウモロコシ畑だったんだ。で、アパートの前の駐車場が、昔ゴミ屋敷だった場所」

俺はビールを一口飲み、窓の外を見渡した。

「俺が畑に身を隠してすぐ、ヤンキー達も畑に入ってきた。誰も怖いとか言わなかったなぁ。たまたまガラクタが大好きな爺さんの家に侵入するだけだったからってのもあるし、ヤンキーは怖がってる素振り見せたくないものだから。

ボス的な立場の佐伯ってやつは木刀持ってきて、後藤はメリケンサック、河原は爆竹、中西は弁当持って来た。懐中電灯持ってきたのは俺だけだった(笑) 月の明かりで歩くぶんには苦労しなかったんだろうな」

相変わらず俺は窓の外を見ていた。武叔父さんの話は、目の前の土地の過去で起きている。

「とりあえず俺たちはトウモロコシに囲まれたまま簡単な作戦会議をした。屋敷の主の爺さん、結構外で目撃されてたんだ。リヤカーにゴミ集めて歩いてた。爺さんが出入りしてるのなら絶対出入り口はあるはずだって。

俺は、爺さんが出入りしてるであろうコースは何となくだがわかっていた。軽くゴミの山を登ることになるけど、玄関までのルートは過去に数回爺さんが物持ったまま通ってるのを見たことがあった。だから俺が先頭になることになった。懐中電灯もってたしな。

敷地の道路に面してる方には自転車だとか針金の柵の一部だとか当時は貴重な家電だとか、割と大物が多かった。でも一回も崩れたところは見たことがなかった。絶妙なバランスで積まれてたんたな。ん?ゴミ屋敷ってよりはガラクタ屋敷だったのかなぁ?まぁいい。

俺は普段ちょっとヤンキー共に下に見られてたがこのときはヤンキー共、俺に尊敬の眼差し向けててさ、なんかちょっと気持ちよかったんだ。爺さんの身体能力vs男子中学生。もちろん男子中学生の勝ち。思ったより簡単に俺たちはゴミ屋敷の本当の玄関までたどりついた。

引き戸で、全開だった。鍵かける家の方が少なかったからそんなにおかしいとか思わなかった。こっからは俺も知らないゾーン。まず足の踏み場はなかった。何らかの物を踏まないと進めなかった。人の家にあがるのに誰1人として靴は脱がなかった。できるだけ静かに、行けるとこまで行こうとしてた。

玄関入って右に二階へ通じる階段があって、左にはすぐ部屋があるみたいだった。小声でどっちに行くか話し合った結果、臭くない方にしようぜってことに。左の一階の部屋からだと思うんだ。なんかくっせぇの。初めて嗅ぐ臭さ。だから臭くない二階に行こうってなってなぁ」

ずっと立ってるのも疲れるので俺は窓の下に座った。ぬるくなってきたビールを一気飲みした。叔父は、何本目かのタバコに火を着けた。タバコの火がとても明るく感じると思ったら、外が暗くなってきていた。

「叔父さん、そんなに行動しといて、住んでる爺さんに気付かれなかったの?」

「…それなんだよな。未だにわかんないんだ。そのことは最後に言うつもりでいるからまぁ、順番に聞いてくれ。…俺の話、おもしろいだろ?(笑)」

「うーん、まぁまぁかな」

俺にとっては、本当にとても興味深い話ではあった。自分の話がおもしろいと自惚れてる叔父も叔父だが…

「階段は紙類で埋め尽くされていた。あとちょっとした置物もあったかな。招き猫とか。ギリ真ん中に足の踏み場があって、綱渡りみたいな感じで俺たちは階段を上った。もちろん俺らは住んでる爺さんにバレないようにしてたから、無言。でもねぇ、5人で行動しといて懐中電灯一個ってのはさすがに厳しいよね(笑)

真後ろにいる木刀持った奴と、その後ろにいるメリケンサック装備したやつはまぁまぁ無音で歩けてたんだけど、最後尾の弁当持った奴は酷かった。爆竹持ってた奴は器用についてきてた。弁当の野郎、足でなんか蹴って物落として物音たててんの。バレるとしたらこいつのせいだわって心の中でみんな思ってたね。

そんな感じで10段とちょっとの階段を上りきって、二階に到着。びっくりしたよ。小さい声でみんな えっ? って。二階、すごいきれいだったんだ。一つの大きな部屋を真ん中の襖で仕切ってて、その手前側に俺たちは着いたんだけど、きれいすぎた。

一階の悪臭、玄関までの粗大ゴミ、そこからは考えられない光景だった。畳の部屋で、懐中電灯で照らした限り畳自体も傷んでなくて、埃っぽさもない。みんなの肩の力が抜けた。深いため息をついて畳の上に寝転がるやつもいた。

んで木刀持った奴が一服するかって言ってヤンキー四人タバコに火着けた。そのとき俺は思ったね。タバコとマッチ持ってくるなら懐中電灯持ってこれたよね?って」

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