【SS】チョコ神さま/HN:いくゆみ

チョコ神さま/HN:いくゆみ

もうすぐでモテない男には辛いイベントだ。

そうバレンタインデー。

残念ながら俺は未だに貰った事がない。

顔はイケメンという程でもないし成績も中の上くらい…運動だってそこそこ。

モテる理由もないがモテない理由もない。

それなりに女の子と仲良くなって付き合ったり青春を味わえても良いのではないかと思う。

俺に足りないものは積極性ではないだろうか。

俺の持ち合わせている情報によると女性とは押しに弱いらしい。

女の子にもっとアピールした方がいいかもしれない。

「よ!」

友達の佐藤が話をかけてきた。

この学校では情報屋と呼ばれている。

ちょっと頭は悪いが悪い奴ではない。

「なぁなぁなぁ、モテないお前に朗報だ」

それはお互い様だろう。

俺は言葉を呑み込んだ。

「また相談室で怪しげな噂を手に入れたのか?」

俺たちの通う学校には相談室という生徒たちのメンタルケアをする場所がある。

専門の先生が悩みや相談を聞くのだ。

基本的に生徒は出入り自由である。

「まぁね。面白い情報が集まる場所だからな」

佐藤は明るい奴だ。

馬鹿だが口は固い。

だから情報が集まる。

「話を聞こうか」

佐藤が朗報だと言うならば何か良い話なのだろう。

しかもモテない云々言っていた事からバレンタインデーに関わる事だと推測出来る。

「義理チョコとか友チョコとか聞いた事あるだろう?」

この2月14日というのはチョコをただ配りたいだけの意味のない日になり下がっている。

本来であれば勇気の持てない女の子が後押しされて頑張る日ではないのか。

本当に嘆かわしい。

「それがどうしたんだ?」

佐藤の話の先が読めない。

「都市伝説みたいなもんなんだがな…代理チョコだ。チョコ神さまに祈りと礼金を捧げるのだ」

なんだそれ…。

そんなもんに意味があるのか。

「代理チョコなんて貰って嬉しくないだろ…」

これは俺の本音だった。

「嬉しい嬉しくないではない。男としての尊厳が大切なのだ!」

面倒臭い。

そこまでする必要はないだろう。

「チョコくらいで尊厳もへったくれもあるか」

そもそも礼金って…神さまがお金取るのかよ。

それは神さまじゃなくてお金欲しいやつが……これ以上は言うまい。

「俺はもう儀式を終えたぜ」

佐藤は満面の笑みで言う。

こいつ本当に馬鹿なんだな。

「俺はパス」

まぁ、どこにでも金儲けを考える奴がいるもんだな。

ただ、そいつの正体が誰なのか少し興味があった。

ガチャ

「ただいま」

家に戻るとチョコの甘ったるい匂いが充満していた。

「お兄ちゃんお帰り!」

妹が台所から顔を出す。

「お前さ、毎年作ってるけど渡す男なんているのかよ」

年頃の女の子だ。

好きな男の一人くらいいても可笑しくはない。

ただ…寂しさは感じる。

小さな頃はお兄ちゃんのお嫁さんになるとよく言っていた。

あ、シスコンとかではない。

断じてない。

だって家族を大切にするのは当たり前だろう?

「まぁね。渡す人くらいいるよ」

そりゃあ、そうか。

「程々に頑張れよ」

そう言ってから自分の部屋に戻った。

そういえば妹は毎年たくさんのチョコを作っている。

本命のチョコだけでなく、義理チョコや友チョコも作っているのだろう。

女の子って本当に大変なんだなと思う。

恋する乙女という奴は偉大だ。

俺もいつか、そんな本当のチョコを貰える日が来るのだろうか。

コンコン

ドアがノックされた。

「開いてるから入っていいぞ」

妹が入ってきた。

「はい!お兄ちゃんの分」

毎年欠かさずに義理チョコをくれる。

律儀な妹である。

「さんきゅー」

妹の作るチョコは旨い。

家族だから過大評価しているという訳ではない。

市販品とは段違いの美味しさなのだ。

いい材料使っているのだろう。

2月14日

「ふふふふ」

気持ち悪い笑い声と共に佐藤が現れた。

出来れば消えて欲しい。

「チョコ神さまからのチョコだ!」

お金払って買ったようなチョコで喜べるなら女性店員のいるコンビニにでも行け。

そう思ったが言うのは止めた。

「でも…あれなんだな。ちゃんと手作りっぽいんだな」

そこは感心した。

買ってきたものを下駄箱か引き出しに入れておくだけでもいいだろうに。

佐藤がニタニタしながら食べているのが気持ち悪かった。

「一粒やるよ」

佐藤が俺に手渡した。

…………………。

「どうした?」

佐藤が聞いた。

「いや何でもないよ」

俺は言う。

「妹のチョコの方が旨いな」

食べた正直な感想を述べたつもりだった。

妹の作ったチョコに少し似ているような気がしたが味が劣っている。

チョコなんて似たようなものだろう。

「うわぁ…シスコンかよ…」

シスコンではない。

さっきまで俺がドン引きしていたが今は逆転して佐藤がドン引きしている。

これはモテない男たちのバレンタインデーの話。

そして妹が誰にチョコを渡したのか兄としては気になるところである。

特に本命チョコを渡した男は誰なんだろうか。

「今年も儲けた、儲けた。来月はお兄ちゃんの誕生日だからプレゼント考えないと」

今年もちゃんと渡せた。

良かった。

いつか渡せなくなる日が来るのだろうか。

傍らには何個かのチョコがあった。

妹はそれをゴミ箱に捨てた。

 
  • 鼻血ブー助

    モテない男子の神様は…ブラコン[i:63914]

     
  • 紫姫

    なるほど~ ザ・ワールド♪ 妹さん Nice な お金儲け(笑) でも 兄 宛の チョコを 捨てるの 勿体無い!? それも モテない男子に 適用すれば 尚良し まぁ[s:20567][s:17714]の 包みの外側に カードが、入ってれば モチロン 抜き 包みの中にカード入ってる場合 有り かも…。 誰が、兄を 好きかが、判明 出来るぞ 妹よ♪ 兄も まさか 妹が、俺宛 の チョコを 毎年 捨てるとは、…。 気づかない 兄よ (笑)

     
  • 匿名

    いつも面白い話をありがとう☆
    ◆o-(´∀`*)ゞチョコどぅぞ♪♪

     

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