【SS】魔王/HN:いくゆみ

俺は、かつて勇者だった。

魔物を倒し、魔王を討伐した。

「お前が魔王だな、倒しにきた!!」

怖かった、死ぬような思いも、たくさんした。

それでも自由の為に、平和の為に戦った。

今では『王』として、この世界を纏めている。

『王』になりたいとか、そういう思いや考えはなかった。

ただ回りの人々から祭り上げられた感じだ。

「最高の王の誕生だ!我々は、これから安泰じゃのう」

人々の笑顔が眩しかった。

戦ってきた日々は無駄じゃなかったと報われた気がした。

だが平和な世界では市民の不平不満は王政へと向けられる。

「こんなに税を取られては…やっていけん!王は我々に死ねというのか」

最初は魔王を倒した俺に感謝していた人々も次第に感謝を忘れて不満を漏らすようになった。

ふざけやがって…

誰が平和な世界をもたらしたと思ってるんだ。

お前らは怯えるだけで戦う事もしなかったじゃないか。

平和になった途端に偉そうに文句か。

誰が最初に言い出したかも分からない。

日に日に王政への不満は大きくなった。

「我々を苦しめる、あいつは魔王だ!」

次第に王政打倒が掲げられる程に不満は募っていく。

「魔王を倒せ!」

「我々を苦しめる王を殺せ!」

「どんなに良い人間でも力を持つと変わってしまうんだな。王を討ち取りに行くぞ!」

王国側と反王国軍の戦争が始まった。

王国軍の兵は強かったが反王国軍の方が圧倒的に数が多かった。

次第に王国軍は劣勢になっていく。

ガタンッ

「お前が魔王だな、倒しにきた!!」

そこには年端もいかぬ少年、少女が武器を持って立ちはだかっていた。

あれは、かつての俺と同じだ。

戦い向かわせられるのは…いつでも…

若くて、権力という力を持たぬ者。

何よりも自由を願う者。

きっと彼らも求めているのだ。

自分が、なりないものを目指せる世界を。

「自由が欲しいか!ならば………」

僅かばかりの平和な日々の為に………

「戦え!!」

俺は笑った。

 
  • 匿名

    魔物の青年「魔王よ、何か言うことはあるか?」
    「あー、二つほど」
    魔物の青年「何だ」
    「俺は失敗した。次は……お前の番だ」

     
  • 匿名

    勇者「魔王倒したし帰るか」
    これを思い出した

     
    • (・ω・)

      まさにこれw

       
  • 匿名

    この流れが延々と繰り返されるわけで、どこかの国の歴史みたいだね。

     

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