【怪異】恐怖!霊道が走る家①/HN:ロビンM

田中の家がヤバいという噂が広まったのは小四の夏。

夏休みを数日後に控える俺達のテンションが正に最高潮を迎えている時期の事だった。

年中、鼻を垂らしている龍が言うには田中の家にはこの町で一番ヤバい霊道が通っており、様々な怪奇現象が起こるのだという。

好奇心が服を着て歩いている俺達がそれを見過ごす筈は無い。早速普段は根暗で漫画ばっかり読んでいる田中にアポイントを取った。

「おい田中!要件は分かってるな?」

「………」

「よし分かった!じゃあ今日の帰りに俺達がお前の家を除霊してやるから有難く思えよ!うひひひ♪♪」

田中の笑顔が引き攣っている。

「だ、誰に聞いたの?」

「そんな細けぇ事はどうでもいいんだよ田中!それよりお前の家にはどんな妖怪が出るのか言ってみろ。俺達もそれによって対処方法が変わってくるからな!うひひひ♪♪」

「…妖怪かどうかは分かんないけど、いつもいるのは首が反対に付いてるお婆ちゃん。それと真っ黒な人。あとは小さな子供達がよく壁から出て来てケラケラ笑いながら遊んでたりするかな…あとはえっと…」

「分かった!分かった!ストップ、ストーーップ!!田中もういい!ちょっと待て!!」

龍が蹲って泣き出したので、慌てて田中を制止した。

正直な所、田中の話を聞いて俺も若干帰りたかったのだが、一度言ってしまった手前今更引くのはかっこ悪い。俺達はその日の放課後に田中の団地を訪れる事にした。

メンバーは俺(ロビン)、龍(半泣き)、猛(デブ)、翔吾(イケメン)、夏美(妹)、だ。

「本当に来るの?やめた方が良いと思うよ…お母さんにバレたら絶対怒られるし」

首から下げた鍵っ子の田中が何か言っている。

「ば、バッキャロー!ここまで来といて帰るなんて真似が出来るかよ!猛!ちゃんと塩持って来たか?!」

見るとデブの猛が除霊用に買っておいた、ポテトチップス(うす塩)の袋に手を突っ込みボリボリやっている。

「あーごめんごめん、腹減ったからさー、ついつい食っちゃったよー。もう無くなっちゃったなぁ…げぷっ!!」

俺はこの日を境にデブが嫌いになった。

もう八月という事もあってまだ陽も高い。しかしグダグダしていると暗くなって怖さ倍増+アニメ(ドラえもん)の時間に間に合わない危険性がある。

かくして俺達は嫌がる田中を急かし、遂に未開の地、住みながらにしてこの街一番の心霊スポットに潜入する事に成功した。

階段だけの五階建ての団地。田中の部屋はその一階の端っこに位置している。

裏手はフェンスで囲まれた山になっており、板で出来た長い階段を上がって行くと朽ちた鳥居があるが、その先は立ち入り禁止となっている。

山のせいで日当たりが悪いのか、ここら一体は昼を過ぎると薄暗い。

カチャン…

団地特有の重たそうな鉄製のドアを開けると、ギイーーと錆びついた音が階段に響いた。その瞬間、生暖かい風がふあーっと俺達全員の顔を撫でた。

「ほんとに入るの?絶対やめた方がいいと思うんだけど…」

丸眼鏡を掛けたのび太実写版の田中が何か言っている。

「しつこいぞ田中!俺達は一度決めた事は絶対に曲げねぇんだ!ちょっと見たらすぐに帰ってやるからとっとと家にあげてくれよ!」

「そ、そそそ、そうやで田中!兄貴をナメてんのかいな!俺達はな、ぜ、全然怖あないねんで!!」

初めて知ったが、龍は恐怖を感じると関西弁になるようだ。

「…わかった…後悔しても知らないよ。僕のせいじゃないからね…」

団地の玄関は子供でも狭く感じる。六人が靴を脱ぐには一例に並び順番に脱ぐしか無かった。

夏美、翔吾に続いてデブの猛の順番だが、太りすぎていて紐履を解くのに手間取っている。

イライラしながら猛の肩越しに部屋の奥を見ると、半分程開いた襖の向こうにお婆さんが一人座っているのが見えた。

頭は白髪、柄物の紫っぽい着物を着ていてにこにこと微笑んでいる。

「あ、あれはまさか幽霊じゃないよな…」

後ろの龍にも見えているか確認しようと振り返ると龍がいない。奴はどうやら逃げたようだ。ちっ!

もう一度部屋の奥を見ると婆さんはいなかった。というよりも襖自体が無かった。そこにあるのは真っ白な洗濯機だけで、その向こうは茶色い壁になっていたのだ。

「!!!」

「なんだ兄貴にも見えてたの?」

夏美が不安そうな顔をして言った。

夏美のこんな顔は珍しい。

既に、デブの猛とイケメンの翔吾は田中と共に左手のリビングへと行ったようだ。

「兄貴、この部屋思ってたよりもヤバイかも…兄貴にも見えてるぐらいだし普通じゃないよ。田中君のお家におばあちゃんはいない筈よ。もう帰ろうよ!」

「…………」

すると夏美の後ろにある壁に白いモヤの様なものが掛かかったかと思えば、ゆっくりとまるで水面が波打つ様にぼやけ、また先程の襖が現れた。

そして半開きの襖が音も無くすーっと開き、中からあの婆さんが出て来て夏美の背後でピタリと止まった。

近くで見ると、夏美より頭一つ分高い婆さんの目には白目の部分が無く、全てが黒だった。婆さんは夏美の肩に両手を乗せるとニンマリと笑った。口の中には歯が一本も生えていない。

夏美は目を見開き、恐怖の余り身動きも取れないようだ。

い、いきなり出るかよ!!

内心、怒りが込み上げてきたが、余りの婆さんの迫力に声も出せず全身に鳥肌が立ち後退りしてしまった。

すると婆さんはパクパクと口を動かしながらこんな事を言った。

…あ…まんさ…がな…さ…

汗が額を伝い目に入り、瞬きした瞬間に婆さんと夏美はそこから消えていた。

「どうしたの?あれ?夏美ちゃんは?」

翔吾がリビングから顔を出した。

「き、消えた…」

「消えた?」

バン!バン!バンバンバン!バンバンバン!バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン!!!

突然、洗濯機の後ろの壁から大勢の人間が同時に思いっきり壁を叩いた様な物凄い音がした。

気付くと俺は靴を脱ぐのも忘れて、翔吾と田中達のいるリビングへと逃げ込んでいた。

PS. また夏美が最初の犠牲者になってしまったのか?果たして次の犠牲者は?
どうやら俺達は踏み入れてはいけない場所に足を踏み入れてしまったようだ…ひ…

【続く】

 
  • 匿名

    …あ…まんさ..がな..さ…
    「まあよくきたね~がまんさえしてれば命がなくなることはないよ さあこっちにおいでぇ~」
    これ?どーっすか?

     
  • ボサノバ

    続きが楽しみです。

     
  • 紫姫

    面白かった。 タイトル横に ? と 書いて有る ので 次を早く 読みたいです。

     
  • 匿名

    面白い。続き待ってます。

     

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