【奇妙】奪い合いのゲーム/HN:風香

『怪盗ロワイヤル』が全盛だった頃、同じようなテイストの奪い合いのゲームに夢中になっていたことがある。
アバターのデザインの可愛さに惹かれなんとなく始めたが、意外とのめり込んでしまった。

プレイヤーは魔法使いで、モンスターを倒してコレクション(以下、コレ)を集め、魔法契約をしていくという大人数参加型のMMORPGだ。
プレイヤー同士の奪い合いが前提になっていて、その気になればいつでもレアなコレを奪うことができる仕様になっていた。
弱い者は奪われる、完全な弱肉強食のゲーム。
もちろんゲームから離れている時も容赦なく奪われる。

序盤はわりと容易に魔法契約することができるが、中盤くらいからコレの必要数とドロップ率がかなり鬼畜になり、自力収集が厳しくなってくる。
ドロップ率が0.1%に満たないコレを何十個も集めなければならない。その作業が延々と続く。
それはプレイヤーの心を折る、恐ろしいほどのマゾゲーだった。

てっとり早くコレを集める方法は、他のプレイヤーから奪うこと。
そして少しでも早く魔法契約をして、コレを消費してしまえばいい。
しかし、当然奪ったら奪い返される。奪った相手だけでなく、そのプレイヤーと仲の良い人たちも敵にまわすことになる。
 

コレを集める方法は大別すると3つある。
モンスターを倒しての自力収集。
他のプレイヤーからの交換、または譲渡。
他のプレイヤーからの強奪。
『Hunter×Hunter』のグリードアイランドをイメージしてもらえれば分かりやすいだろう。

プレイスタイルもさまざまだ。
自力でモンスターから集める者。
上位のユーザーから譲り受ける者。
無差別に奪う者。
ターゲットを決めて奪う者。
奪い合いにはいっさい参加しない者。
 

奪い合うことが前提に作られているゲームだが、プレイヤー間では奪い屋は悪とされた。
ゆえに目立つ奪い屋は制裁された。

「奪う」という選択肢があるゲームなのに、その行為を否定する。
ゲームのルールを否定する。

思えば不思議だった。
みな、奪い合いがあるゲームだと理解したうえで始めたのに。
 

レアなコレを根こそぎ奪われて、やる気をなくしてしまうプレイヤーもかなりいた。
自分の主義を変え、一転して奪い屋になるプレイヤーもいた。
もともとはゲームのデータ上の存在でしかないコレ。しかし、それを得るためには膨大な時間とお金(課金あり)を注ぎ込んできた。

データ上の存在でしかないコレだが、プレイヤーにとっては、それはお金と同等の価値があるといっても差し支えはないだろう。
奪われて心が折れ、自暴自棄になってしまうのも当然のこと。

病んだ人、人格が変わってしまった人も増えてきた。
ゲームの掲示板は、日に日に混沌としていった。
 
 

現実では犯罪行為である強奪が、このゲームではルールの一つとして組み込まれている。
強奪から守る手段も、またその守備を打ち破る手段も、ご丁寧に用意されている。(ともに課金要素あり)

 
奪い合いが前提のゲームだが、奪い合いを許さない風潮ができあがった。
法のないゲームの世界で、プレイヤーたちが法を作っていった。

もっとも旧くからある法律。
『目には目を、歯には歯を』

やったらやり返される。
この暗黙の了解がプレイヤー間で自然発生的に生まれた。
 

無差別に奪う者は、報復を受けてもダメージの少ない者。
言い換えると、何も持たざる者。
そして上位のプレイヤーになると、よりレアなコレを多数所持している。
奪われたら困る人たち。
言わば、富める者。

富める者=強者がルールを作り、それを破った者へ制裁を加える。
それはまさしく現実の社会の縮図だった。

 
 
プレイヤーの心を摘むこの奪い合いのゲームは、今はもうサービスを終了している。
今後、ふたたびこのようなゲームが流行る時が来るのだろうか。
 
 
友情、協定、裏切り
 
 
シンプルなマゾゲーだったけど、いろいろなことを考えさせられた。
大袈裟かも知れないが、原始社会の成熟期を疑似体験できたような気がした。

 
  • (´・ω・`)

    誰か特定よろ

     
  • (・ω・)

    こんな特徴的なゲームなら終わっていても多少は情報が有るはず(・ω・)

     

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