鍋パーティ


鍋パーティ


Aの家の近くの川にはJRの鉄橋がかかっており、その下には沢山のホームレスが青いビニールテントを張って生活しているそうです。


ある日Aが飲み会の帰りに鉄橋の側を通り掛かると、ホームレスの人達が空き缶集めの縄張り争いか何かで言い争いをしていました。

Aは、しばらく野次馬根性でそこに立ち止まって成り行きを見守っていたそうです。


そうしていたらホームレスの一人が妙な事を口走りました。


「お前らが鉄橋の下でやってるパーティーの事ばらしてやってもいいんだからな! そしたら俺もお前等も全員終わりだ!」


すると、今まで顔を真っ赤にしていたもう一人のホームレスの顔が豹変しました。


みるみる顔色が青くなり、しかし目の奥にははっきりとした殺意が宿ったのが見て取れたそうです。

もちろんAには何の事だか分かりませんが、ヤバい雰囲気だけは感じ取れたそうです。


次の瞬間、顔色の青いホームレスがすごいパンチをもう一人の顔面に叩き込みました。

殴られて倒れたホームレスの上に殴ったホームレスはのし掛かって更に殴ろうとします。


流石にAも慌てて仲裁しに行きました。


殴ったホームレスは悪態をつきながらどこかへ去って行き、Aは殴られたホームレスの顔に濡らしたハンカチをあててやりました。

Aはそのままホームレスを近くの公園のベンチに連れて行き、そこで腰を下ろして聞きました。


「さっきの『鉄橋の下でやってる事をばらす』って何です? 僕あの近くに住んでいるんですよ」


しかしホームレスはロクな話じゃないと渋ってなかなか話してくれません。

それでもAが食い下がり続けると、やがて数枚の紙を渡してきたそうです。


「俺は何も言えない。何か教えたり言ったりしたら俺が危険になる。その代わりそれを見て考えてくれ」


Aはその紙を見てみました。


一枚には手書きで「鍋パーティー200円」といくつもの四角い枠の中に書かれています。

どうやらこれはチケットの様で、これを200円で買って何処かへ持って行くと鍋物が食べられる様です。


他の数枚には、第一回は欠けていましたが第ニ回鍋パーティー、第三回鍋パーティーなどと書かれており、あみだくじがその下に書かれていました。

あみだくじの上部には名前がそれぞれ書かれており、下には当たりという意味なのか一つだけ×印が書かれていました。


Aには良く意味が分かりません。

戸惑いながら数枚の紙を代わる代わる見ていると、隣りでホームレスが呟きました。


「減ってるんだよ……。当たった人がな」


Aはあみだくじの紙をもう一回じっくり見てみました。


確かに、×印に当たった人は次からのあみだくじから名前が無くなっています。

全体の人数は増減していますが、当たった人達は全て例外なくあみだくじから外されていっているのです。


やがてホームレスはAからその紙をひったくる様に奪って


「もう十分だろう、後くれぐれもこの紙を俺から見たと言うなよ」


と言って去って行きました。




――ここまでAは俺に電話で話してきました。


俺には意味が分からず、どう言えば良いのか迷っていると、Aは更に続けてきました。


「ホームレスもああ数が増えるとさ、一人当たりの空き缶の取れ高も減るんだよ。いくら一生懸命空き缶を集めても皆必死だ。雀の涙ぐらいの金にしかならない」


「なんとか食い繋いでいくには、他のホームレスが減れば良いってわけだ」


Aは沈黙します。


しかし俺も何て言えば良いのか分からない。

やがてAがゆっくり言いました。


「ホームレスは他のホームレスを減らしたい。腹も減ってる。……定期的に行われる鍋パーティーに使われている食材、何だと思う?」



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