【怪文書】口煩い彼女/HN:0.血苺

「あたし、幼児言葉話す男ってダメなのよね」
「幼児言葉?」
「そう。“ねえ、チューちても良いでちゅか?”とか、“ボク、あれが欲ちいの”とかさ」
「何、それ…居ないだろ、そんな奴」
「結構居るんだって!あんたはそんな言葉使わないでよね」
「使わないよ!」

俺の彼女は口煩い。

友人は皆、“あんな女と良く付き合えるな”と感心している。
確かに辟易する事もあるけれど、俺は彼女の話を聴くのが厭ではない。
“お前、Mだもんな”…友人たちはそんな風に納得しているらしい。

 
「あたし、あれムカつくの!Yo※Tubeとかに、自分の唄ってるとこアップしてるヤツ!」

今日も彼女は怒っている。

「ヘンに成り切っちゃってさ…気持ち悪いったらないわよ!勿論、アップするのは勝手だよ?あたしが許せないのは、タイトルにもサムネにも、アーチスト本人を載せてる事!
間違ってクリックしてさ、シロートのナルシストな姿見ちゃった時の悔しさったら…あ~虫酸が走る!」
「…うん」
「それとか、ゲームの実況動画も苛っとするよね!単にプレイしてるだけの動画なら見たいけど、どうして詰まらないコメント入れるのよ!…こうゆうのも、タイトルに“実況”って入れてない奴が多いんだから!」

どうやら、違法にアップロードしている事自体は問題じゃないらしい。
…寧ろ、動画サイトは好んで見ているが、シロートの顔や声が許せないのだ…ということが分かった。

「始まってシロートが出てきたらとめればいいんじゃない?」
「うっかりクリックした事が悔しいのよ!」

俺は、彼女のお気に入りのアーチストの動画を確認してやる事にした。

…成る程、成り切りのなんちゃって動画って、結構多いんだな…

しばらく見ていたら、彼女から電話がかかって来た。

「今何やってんの?」
「ん?…今、あれだよ…チェック中」

 
彼女は無言で電話を切った。

 
以来、全然会ってくれない。

 

 
  • 匿名

    そう、全てはふりだしに戻る!わらた

     
  • 早坂正彦

    すごく引き付けられる文章でした。
    面白かったです。

     

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