【怪談】腐る目

俺がまだ小学校低学年だった頃の話をしようと思う。

当時俺は、父親の仕事の関係で東北某県の片田舎に住んでいた。住居は○○電力の社宅。結構立派な建物だったという記憶がある。

コンビニも無いような辺鄙な町だったが、俺はまだガキだったから特に不便も感じず、転居して一年経った頃にはその地特有の方言も使いこなせるようになり、クラスメートとも毎日仲良くやっていた。

俺が後に、怪談ジャンキーへの道を邁進するようになるきっかけとなったのが、実はこの、東北で過ごした二年間なのだ。

といってもその間に恐怖におののく心霊体験なんてのがあったわけではなく、兎に角よく遊んだという楽しい思い出が殆どだ。休みの日には渓流遡って釣糸を垂らしたり、山の中探検したりね。

ただ、俺には気になっている事がひとつあった。「あそこは入っちゃ駄目」と友人から立ち入りを禁止された山道がいくつかあったのだ。理由が何と「お化けが出るから」だった。

なんでもその昔、噂を信じずそこに入った子供がいて、化け物を見た後失明してしまうという悲惨な事件があったらしいのだ。

その子の目は閉じたまま開かなくなり、検査したところ眼球が既に腐敗していたそうである。

クラスの仲間たちは皆それを頭から信じているようだった。イタズラばかりしてしょっちゅう先生に怒鳴られていた悪ガキでも、絶対にそこに足を踏み入れようとしない。

俺が何故その道の存在を知ったかというと、よく行く渓流釣りのポイントまでの道中にその道があったからだ。

当時はあまり深く考えないから気付かなかったが、今思えば、それら進入禁止の山道、全て同じ場所に繋がっているとしか思えないのである。

立ち入り禁止の立て札がある訳ではなく、鎖やフェンスで行き先を阻んでいる訳でもない。しかし、進入を頑なに拒んでいるかのような不気味な物がそこには確かに存在していた。

苔むした地蔵である。

いかにも素人がこさえたような、不細工な、目鼻の無い地蔵がいくつも、入り口から奥の方へ何体も並んでいるのだ。

あのただならぬ雰囲気、圧迫感は、お化け云々の話を知らなくても思わず後退りしてしまう程の迫力があった。

だから俺は好奇心はあったが、地蔵を目の当たりにした時点でその先の探索を断念したのだ。(お化けの話は本当だ)と確信してしまった訳である。

それでも釣りに行く時は必然的にその前を通るわけだから、ちょっとした変化に気付いてしまう事も多かった。

手向けられた花や、足元にポツンと置かれたコップに入った白い液体などだ。

おそらく牛乳であろうその液体からオカルトマニアが連想する東北の怪談といえば…

 
 
 
 
 

先日、当時の事を思いだしてネットでその山の航空写真を出してみた。長年想像していた通りやはりその山の中腹には沼があった。

ただ、その存在を知ったからといって探索するつもりはない。というか出来ない。

 
  • 匿名

    中に何が入っているパンなのかと楽しみにして食べてみたら、何も入ってなかったみたいな読後の気分を味わえた。タイトルも腐る目なんだが、それが話の核心にすらいない。

     

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