【怖い話】幾つもの目/HN:ロビンM

今から二十年前にこの場所である強姦殺人事件があったらしい。

ソースは龍の父親だが、話によると複数の人間に乱暴された後、証拠隠滅で顔に硫酸を掛けられた挙句に燃やされた女子中学生が、この一面砂利で覆われた広い駐車場のある場所に埋められていたのだという。

「兄貴!親父がいうにはこの辺りらしいですよ…」

龍はある場所を指差して得意げに笑って見せた。

その場所には他と比べてこんもりと土が盛られてあり、六十センチ大程の細長い石が乗せてあった。その石には小さな字で色々と彫られていたが、長年の劣化により目を凝らしても読めなかった。

「そうか、昔ここでそんな事件があったのか…いつの時代にもどうしようも無い外道っているもんだな」

龍は無言で頷くと車のコンソールから割と大きな手鏡を取り出してきた。

「でね兄貴、それからここである噂が流れたんですよ!この墓石に向かって鏡を向けると怪奇現象が起こるそうなんです。ひひ面白そうでしょ?やってみますか?」

「何?マジか!それもやっぱり親父情報か?」

「はい♪」

全く龍の家族は親子揃ってアレだなぁと思いつつも、そういう都市伝説的な物が大好きな俺は龍の提案に乗る事にした。

この場所は大きな国道に面している為人通りが多い。もし何かあっても誰かが助けてくれるだろう。

龍が早速婆ちゃんの部屋から借りて来たという丸い鏡を石に翳した。

「……… 」

だが、これといって何も起きない。

龍を見るとおかしいなという顔をして、鏡を石に近ずけたり離したりしている。

「おい龍、やり方それで本当にあってんのか?」

「……… 」

数分経ち、鏡に何か異変があったのか二人で覗き込む。しかし別段さっきと変わりない普通の鏡で、俺逹二人の顔が写っているだけだった。

「まあ、こんなもんだろ…」

俺はポッケから煙草を取り出し火を付けた。すると龍が鏡を覗き込みながら「えっ?えっ?」と言っている。

なーーああああああああ!!!

突然、どこからとも無く猫の鳴き声とも取れる絶叫が響いた。

とその瞬間、龍の持っていた鏡がバリン!と音を立てて粉々に飛び散った。

「大丈夫か龍!」

龍は割れた衝撃で仰向けに倒れ、空を仰ぎながら両手両足をバタバタとさせている。

「ぐううう….ぐえううう…」

龍の目は白目を剥き、泡を含んだ涎を流しながら苦悶の表情を浮かべている。顔には割れた小さな破片が幾つも突き刺さっていた。

「大丈夫か龍!おいしっかりしろ!」

龍の上半身を抱えながら大きく揺さぶり、正気に戻る様に即したが龍は既に気絶しているのかグッタリとしている。

なーーああああああああ!!!

またあの気持ち悪い声が響いた。

しかも今度はすぐ近くから聞こえた。

しかし辺りを見渡しても誰もいない。俺はとにかく龍を車に乗せる為、抱き抱えようとしてそれに気付いた。

龍の周りに沢山の目があった。

正確には龍の周りに飛び散った鏡の破片の中。異様に白目の多い幾つもの見開いた「目」が全ての破片から俺をジッと見つめていた。

龍があの時、鏡の中に何を見たのかは龍が記憶を失っている今となってはもう誰にも分からない。あの時いつの間にか俺の両手についていた肉の焦げた様な酷い臭い。それも今となっては分からない。

しかしあの時徐々に近付いて来たあの声から想像するに、もしかすると鏡の中にソレはいたのかも知れない。

【了】

 

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