【怪文書】手紙に隠された謎/HN:早坂正彦

「早坂先生どうもお久しぶりです。」と挨拶も早々に突然、訪問してきたのは学生時代の後輩である戸島一樹だった。

人懐っこい面立ちに、屈託ない笑顔で玄関に立っている。

「おやっ?戸島君か久しぶりだねぇ。」
と懐かしい後輩の訪問に驚きはしたが、快く迎え入れることにした。

「どうぞ上がりなさいよ…まぁ散らかっているけど、先輩後輩の間柄なんだ、気にしないだろ?」

「先輩が昔からだらしないのは知ってますからね。」

ニコニコしながら言う後輩を見ながら、こいつ昔とちっとも変わってないなと思った。

戸島一樹は、N大学時代の後輩でバイト先も一緒という仲。

昔から悪気はないが誰に対しても失礼なことをいう所謂デリカシーの無い奴だった。

しかし人から好かれる魅力的な雰囲気を持っており、特に笑った時の顔は女性ならキュンキュンするに違いなかった。

そんな戸島がアポも無く、急に訪ねてくるということは何かあったのかしら…私は不意に奇妙な感覚に落ちいった。

居間に通すと、戸島の分のインスタント珈琲もだしてやり自分もソファーに落ち着いた。

私は戸島に向かって「卒業して以来だな~ええ、元気かおい、今何の仕事してるんだ。」と聞いた。

やや恥ずかしそうに戸島は

「今ですか…不動産業です。まだ新人なんで半人前ですけどね。」

戸島にしては、やや謙遜した言い方だった。

「そういえば、早坂先生の本見ましたよ。」と珈琲を啜りながら戸島が言った。

「ほう。」

こいつ本なんて読むのかと多少驚きながら相槌を打つ。

「先生の本は…まぁ暇潰しに最適でしたね~ほら【小野原家の悲劇】でしたっけ…あれって自殺が正解でしょ?ミステリとしては簡単すぎますよ(笑)」

やはり、こいつにはデリカシーというものが無いのか…多少の苛立ちを抑えながら

「ははっ、次作はもう少し捻ったものにするよ~それこそ戸島君が唸るようなね。」

屈託ない笑顔で戸島は「期待してますね。」と言って珈琲を飲み干した。

 
「ところで戸島君、久しぶりに会ってまさか私の本の感想を言いにきたわけじゃないだろう。」

「あっ!?そうでしたね、実は早坂先生に折り入って相談があって…。」

急に戸島は神妙な面持ちになる。

「相談…何かな?聞こうじゃないか…とその前に、その先生っていうのはやめてくれよ…私もまだ新人作家の半人前だ。ここは昔みたいに先輩後輩の仲に戻ろうじゃないか。」

少し照れくさそうに私が言うと

「そうですね、じゃあ早坂先輩に早速ですが本題を打ち明けますね。」

そう言って、戸島は自分の身に起きたある出来事を語りはじめた。

「先月、僕の幼馴染みが自殺したんです…でも前触れはあったんですよ。」とここで戸島はスーツの内ポケットから封筒を取り出した。

「自殺した幼馴染みの名前は秋元啓。自らの命を絶つ何日か前から様子がおかしいなと思ってたんです。」

唇を噛み締めながら戸島は拳を震わせていた。

「ふん。なるほど、様子がおかしかったというのはどんな風にだい。」

私が問うと…

「深夜にいきなり電話してきたかと思うと、昔話をしてきたり自分が死んだらなんて話もしてました。」

戸島の拳がますます強く握られる。

「あの時は、何言ってるんだよと冗談半分に受け流してたんです…今思えば自殺する兆候だったなんて…。」

戸島はがっくり肩を落とし、握られた拳を解放した。

「……それでその封筒はなんなんだい?」と私が問うと

「秋元が最後に書いた僕宛の手紙なんです。」

戸島は封筒を私に向けて差し出す。

「この手紙は秋元が自殺する前に書いたもので、まぁ読んで貰えばわかると思います。」

「ふん。どれどれ」

戸島がそう言うので私は封筒から手紙を取り出し読んでみた。

―――――――――――――――――――――――――――――――

【To:戸島一樹様】

君がこの手紙ん読む頃、きっと僕はもうこの世にいないでしょう、この手紙を書いた後、自らの命を絶つことに決めたから…僕はある人物を恨む。
しかし、その恨みある人物の名前をここで挙げようとは思いませんし、戸島君には、何故僕がこんな手紙を書いたのかを書くことにします。

だから、僕が何故自ら死を決断したのか、恨みある人物への当てつけといえばそれまでだが、僕は君にだけは僕が恨みを抱いている人物が誰かを分かって貰えるよう、この手紙にある仕掛けを施します。

明日中に僕は自らの命を立ちますが、この手紙を見て君が仕掛けに気づき、僕が誰を恨んで死んでいったのか、分かる日が来て欲しいと願っています。
やがて、君が仕掛けに気づいた時は、僕のことを思い出し線香のひとつでもあげに来てやってください、それでは一足先にあっちにいってるな。

          【from:秋元啓】

―――――――――――――――――――――――――――――――

「ふうむ。」

私は手紙を読み上げ戸島を見て言った。

「何も違和感のない手紙だな…しいて言えばこれから自殺するにしては呑気な文章のような気もするが。」

「僕にもさっぱり分からないんです。」

困り果てたように戸島が呟く。

「でも戸島君なりに自殺した秋元のことは調べたんだろう…。」

私は戸島に問いながら、もう一度、手紙を再読した後、手紙を返した。

「はい…まぁ幼馴染みですからね…秋元はどうも三角関係の渦中にいたようで、それが原因でどうも自殺したようなんです。」

「はぁ~三角関係ねぇ、大方恋愛のもつれで自殺というのはよくあることなのかね…。」

戸島のデリカシーの無さが移ったのか私まで気づけば不謹慎なことを言っていた。

「三角関係の相手は岸田彩という女と那須進という男が絡んでいたようなんです。」

私の不謹慎な発言には構わずに戸島が口を開く。

「秋元は岸田と交際してる間に那須に彼女を奪われたようで…」

「なら、その二人のどちらかを恨んで秋元が自殺した可能性が高いということだね。」

私は戸島が調べた情報を頭の中で反芻しながら何故、秋元が自殺したのかを考えた。

「早坂先輩ちょっといいですか…単純にこの手紙どっかを縦読み、または斜め読みしたら元凶の名前が出るってことはないですよね。」

思いついたように戸島が言うので、私は戸島ともう一度手紙を読み返した……

…長い沈黙の後

「駄目だな…どこを縦に読んでも名前にはならない。」

「普通に縦や斜めに読むだけじゃ駄目ですね…。」

私と戸島は途方に暮れた。

一体、この手紙にどんな仕掛けがあるというのか…私たちは透かしてみたり、裏返しにしてみたりと色々調べたが一向に分からなかった。

そして秋元と三角関係にあったという疑惑の男女、岸田彩と那須進…この二人のどちらかを恨み秋元は自殺したというのか…。

 
     【読者への挑戦】

さて、皆さんにはこの手紙に隠された秘密が解りましたか?

実は秋元啓が書いた手紙には、ある法則があります。

解答編に入る前にじっくり考えてはいかがでしょうか。

※これより下は解答編になります。

 
 
【手紙に隠された謎—解答編】

私は、戸島と二人で手紙と睨みあっていたが一向に埒があかなかった。

「早坂先輩、駄目ですね…全然わからないっす…。」

戸島は2杯目のインスタント珈琲を飲みながら、呟いた。

「何かを見落としている気がするんだよなぁ~」

私も唸るように呟く。

「でも先輩、秋元の手紙読んでて、なんか変じゃないですか。句読点やピリオドの使い方っていうのか…。」

戸島の一言でハッとする。

何かを見落としているような違和感、その違和感の正体が喉元まで出掛かっているようなそんな感覚なのだ…。

「ちょっと黙れ戸島!」

私は思わず叫んでいた。

私の体が熱を帯びたように熱くなる…視線の先にある秋元啓が書いた手紙がパズルのように紐解かれていく感覚。

「そうか…分かったよ。」

私は戸島に向かって言った。

「えっ!?先輩分かったんですか。」

驚いたように戸島が口を開く。

「あぁ…この文章のある違和感に気づいたんだ。」

「先輩どうわかったのか説明してくださいよ。」

 
痺れをきらしたように戸島が言うので、私は戸島と向かい合い、秋元の書いた手紙を戸島のほうへ向けて説明する。

「この手紙にはピリオドが5ヵ所しかないんだ。つまり本来ピリオド(。)をつけなければいけないとこにピリオドはないんだよ。」

「あっ!!」

戸島も気がついたように叫んだ。

そして二人でもう一度手紙を確認する。

 
―――――――――――――――――――――――――――――――

【To:戸島一樹様】

【君がこの手紙ん読む頃、きっと僕はもうこの世にいないでしょう、この手紙を書いた後、自らの命を絶つことに決めたから…僕はある人物を恨む。】

【しかし、その恨みある人物の名前をここで挙げようとは思いませんし、戸島君には、何故僕がこんな手紙を書いたのかを書くことにします。】

【だから僕が何故自ら死を決断したのか、恨みある人物への当てつけといえばそれまでだが、僕は君にだけは僕が恨みを抱いている人物が誰かを分かって貰えるよう、この手紙にある仕掛けを施します。】

【明日中に僕は自らの命を立ちますが、この手紙を見て君が仕掛けに気づき、僕が誰を恨んで死んでいったのか、分かる日が来て欲しいと願っています。】

【やがて、君が仕掛けに気づいた時は、僕のことを思い出し線香のひとつでもあげに来てやってください、それでは一足先にあっちにいってるな。】

          【from:秋元啓】

―――――――――――――――――――――――――――――――

 
 
 
「分かりやすいように第1ピリオドから第5ピリオドまでを【】で閉じた。」

私は戸島にもう解っただろうと言わんばかりに手紙を差し出す。

「つまりこの第1ピリオドから第5ピリオドまでの「。」の前、つまり最後の文字を繋いでいけば…。」

な、す 、す、す、む

戸島も納得したように頷き呟く。

「秋元から彼女を奪った相手だった、那須進(なすすすむ)になるわけですね。」

「そういうことだ…戸島君、きみの幼馴染みは岸田彩を略奪した那須進を恨んで自殺したのだね。」

私は悲しげな表情で幼馴染みを亡くした、戸島を見つめながらぼそりと言った。

目に涙を浮かべながら戸島は

「馬鹿野郎…つまらないことで自殺なんかしやがって…馬鹿野郎。」と言って泣いていた。

外はどんよりした曇り、私たちの心は曇った空のように暗かった。

暗い気分で帰宅した戸島はふいにもう一度、秋元から届いた手紙を読み返していた。

嘘であってほしいという気持ちを抱きつつも現に幼馴染みの秋元は死んだ。
早坂の解釈が正しいのかもしれないと思いながら、手紙を読み終えた時だった。

戸島は気づいてしまった…早坂すら見落としていたもう1つの真実に…秋元の恨みある者に…。

 
  • 匿名

    かい きさ さきサ-ン
    この作品にちなんで思ったんですけど
    怪談=かい
    奇妙=きさ(奇沙)
    自演のため=さき
    思いつかないので=あ…
    時間の経過で=匿名
    こんなとこっすか?

     
    • 匿名

      すまん、何を伝えたいのかよくわからん。

       
  • 匿名

    これは久々に楽しめました(^^)
    作中の早坂さんが出した解が全てなんじゃないのかな?
    怪文書なのでわからない部分と解読できる部分があるのが面白味のひとつでもありますね。

     
    • かい

      解答まで用意してるのに結局うやむらに終わってるのが納得できません。
      下で解説してる人たちのコメントも所詮推測に過ぎないからね。

       
  • 匿名

    解読方法は単純

    手紙の内容に
    「君にだけはわかってもらえるように」とあるので戸島だけに宛てた内容の手紙であろう。

    「自殺は恨みを持つ者への当て付け」
    当て付けであれば自殺の理由を本人にわからせないと無意味ですよね。

    「気付いたら線香でも」
    幼馴染みなら、すでに葬式なり知らせを受ければ線香くらいあげに行きますよね。

    二人の名前は出てくるが、戸島を入れた3人に恨みをもっているのでは?

    情報が少なすぎて確定が難しい。もやもやしか残らない駄作

     
    • さき

      それな。長々と読ませる作品にしては、これほどの駄作はあまり見ないな

       
    • かい

      確かに。
      この人の作品は長くダラダラした印象で中身がない。
      自分の文章に酔ってしまっている印象をうけますね。
      結局、うやむやな内容になってしまうから誰が犯人にもなり得てしまう。

      解答編…しかも【読者への挑戦】てまであるのに、うやむらに終わるって…

      自信を持っていることが悲しいです。

       
  • 匿名

    仕掛けに気づいた時には(中略)線香のひとつもあげに~と、一足先に行ってるの文章が気になる。那須ともうひとりの名前に気付いたらって事だよな?その条件を満たしたら墓参りに来いと。墓参りに来て線香をあげたらどうなるんだろうか?本当の狙いは戸島だったりと。墓の下に農薬から作った爆弾と数千の釘が仕掛けられていたりしてなw

     
    • 匿名

      機種によって縦読みできるのと出来ないのがあるのかな・・那須以外の名前が出てきません。

       
      • 匿名

        回答編の【】で区切られている方を読んでみてくれ。先頭文字を縦読みしていくと、もうひとりの名前が出てくる。漢字の場合は、金玉なら「き」として読む。

         
        • 匿名

          なるほどですね!こういう仕掛けかー気づく人たちがすごいなと素直に感心しました。

           
    • きさ

      自分も墓の下に爆弾があって戸島を狙ってるんじゃないかと思いましたww
      称賛批判の多い作品だけどこういうのも意外と楽しめますね。

       
  • 匿名

    最後が気になります。
    解決したと思ったらまた謎が
    戸島が気づいたのは何だったのか

     
  • 匿名

    俺様解説の出番かな
    まぁ読めて来そうなのは、秋元君がその2人にも同様の封筒を送ってるって事。
    戸島君は、呪術の媒体のため利用されてること
    恨みが叶ったなら、お線香で開放されること
    そして強い恨みを送ってるのは、先頭の名前ね。
    拳が震える(憑依or感化)
    縦読みは基本、暴力的なメッセージが多い

     
  • 匿名

    最後の文字じゃなくて最初の文字。

     
    • 匿名

      ある法則に従って最後の文字を後ろから繋いでいけばいいみたいよ。

       

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