【不思議】番人

従弟の厚が小学5年生ころの話。

その日の夕方、彼は自宅の敷地内で遊んでいて、庭にあるナマコ壁風のボロボロな蔵のあたりにいるのを家族が目撃していたのを最後に行方不明になった。

 
警察の懸命な捜索やビラ配りなどで情報提供を呼びかけても何一つ手掛かりが掴めないまま20年余りが過ぎたある日、叔母が蔵の整理をしようと戸を開けてみると、そこには彼が立っていたのだ。

驚愕する以前に、諦めかけていた我が子に再会を果たした喜びが勝ったのは言うまでもない。

むしろ驚愕すべきは、彼が行方不明当時の姿のままで全く歳を取っていなかったことだ。

なんでもイタズラ半分に蔵へ侵入したところ、中で見知らぬ老婆が箒を手に掃除しており、いきなり凄まじい剣幕で厚を叱りつけたという。

ごめんなさいと頭を下げて出ていこうとするも、お仕置きとして監禁されてしまった。

だが最初は恐ろしかった老婆も怒った後は嘘のように優しくなり、食事もきちんと与えてもらえた。
そして訊きもしないのに厚や家族の将来を語り、その内容は決して口外してはならぬと釘を刺す。

そんなことよりもお婆さんは誰?いつここから出してもらえるのかと問うと、ニコニコするばかりで答えてくれない。不安のあまり泣きそうになりながらも逃げるタイミングを窺っていると戸が開いた。と、こんな具合。

その老婆の人相風体には誰一人として心当たりは無いし、蔵で過ごしていたのは2日間くらいに感じたが、実際には20年もの歳月が流れているのだ。

厚は昭和44年生まれなので本来ならば46歳になっているはずだけど、未だ26歳の青年である。

とにかくこの事件で相当な時間が飛んでしまったため、浦島太郎のごときギャップを埋めるのにかなり苦労したようだ。

 
件の蔵がまもなく取り壊された際、土台の地中から身元もいつの時代なのかも分からない小さな墓石が、倒れた状態で発見された。
無縁仏として改めて供養を行ったこいつが関係しているのだろうか。

さらに俺としては前述の老婆の予言が気になるものの、やはり厚は一切話してくれない。
もし口にしようものなら、瞬時に20年歳を取ってしまうというペナルティだと脅されたらしい。
やっぱり若いままのほうがいいもんな。

 
ここに限らず古い物置小屋なんかに棲みついていそうな物の怪に御用心としておこう。

 

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